愚図

Ranunculus.


小さかった蕾はいつの間にか開いて美しく咲く。
咲かなかった私は煙草ばかり吸っている。


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堕落したみたいな週末を過ごす。
コントロールが出来ないのは呼吸が浅いからで、呼吸が浅いのは嫌な夢ばかり見るからだろうか。
私を置き去りに君はいつもどこかへ行ってしまう。
感傷的ではないのは私が冷たい人間だからだろうか。
バンビは私を冷たい女だ、と言った。
お前は賢いかもしれないけれど、冷たい女だ。

汚れていなかったら良かったなと何度か思ったけれど、思っても思わなくても大差はないのだし脅しも励ましも大して変わらないよ、とコジコジが言っていた。概ね同意である。
子供のことばかり考えるのは良くないことだ。
どちらにせよ苦しいのだと知っている。
だからといってないものだと思って過ごすことも出来ずにくさくさしているのだ。
絶望は必ずあるもので、私は君から離れるのかもしれないと思うと悲しかった。
まだ一緒にいたいのに。
これからのことを話す君の何割が本当のことなのか、などと考えて途方に暮れる。
時間が流れれば流れるほど、きっと薄れてしまうであろう君とはっきりと濃く悲しみに打ちのめされるであろう私では高低差があり過ぎて、
孤独や苦しみを分かち合おうとする君の無邪気にさえ私は蹲って黙り込んでしまうのに、一体どうしてこの先戻ることも進むことも出来ずに誤魔化すことに徹底するのだ。
寒天の中みたいにぬるい夜は私を孤独にして、抱き合うときの大きな身体や色の白さや藤棚のせいにまでして取り繕う。
あのひとからの連絡が来なければ来ないほど、より一層。
愚図で鈍間な私を正すあのひとの、私を見つめる数え切れないほどの夜を失ってしまわないように。




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