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フルーツロール

フルーツロール🍎です(*´∀`)🌹

名前の由来は、“その時食べたかったから”です。

どうぞよろしくお願い致しますm(__)m

小説は基本、ピカレクスロマン🔫の要素が強く、波瀾万丈な物語。そこから少しずつ、幸せを勝ち取っていくような物語だと思います🔫🍀

よろしかったら、フルーツロールの物語を、楽しんで頂けたらと思いますm(__)m

第十二回ブログで感謝企画🍫Valentine特別編💗②


*第十二回ブログで感謝企画🍫Valentine特別編①💗の続きです。下記からメインストーリーを再開致します。↓

――――*


…―森の中を歩き続けながら、絵梨がため息をついた。『…スイーって、行きたいな…自転車とかで…』と。
すると、二人は顔を見合わせた。『やってみる?』『うん』と、そう話ながら…――


瑠「アイテム召喚、乗り物!出来れば自転車二台っ!!」


すると、もくもくもくっと途端、辺りは白いモヤに包まれた。『わっ何も見えない…!』と、そう騒ぎながら、二人は白いモヤが引いていくのを待った。すると次第に、モヤの中から、何かのシルエットが浮かび上がって見えてくる…――


瑠絵「ん??」


モヤの中へと、必死に目を凝らす二人…――

〝あのシルエットは…――〟

すると、モヤの中から〝ヒヒィィーン!!〟と、鳴き声が聞こえてきた。


瑠絵「へっ?!」


そして二人の目の前へと、金色の鬣を生やした一頭の黒馬が現れたのだった。


瑠「まさかこの子がっ?!」


絵「…この特徴、この子多分、スパイダーとバンパイアが動物園から連れ出してた子だよね…」


瑠「〝グルファクシ〟?!」


すると黒馬がヒヒィンと鳴いて頷いた。やはりどうやら本当にグルファクシのようである。

〝じ、自転車じゃなくて、馬が来た…〟

困惑しかない二人であった。

二人は困惑している。だがすると、先にオレンジ花リスとハートキャットが、嬉しそうに『チュチュ!!』『ミュゥミュゥ!!』と鳴きながら、グルファクシの背へと乗った。グルファも『ヒィンヒィン』と、快く鳴いている。――どうやら、動物たちはもう打ち解けたようである。

――そして動物たちの不思議そうな眼差しが、じっと瑠璃と絵梨を見つめた。彼と彼女らの瞳は言っている。〝で??アンタら乗らんの??〟と。


瑠「のっ乗ります…!」


絵「よろしくお願いします。グルファさん…」


――こうしてグルファクシの背に乗って、二人はペースを上げていくのだった。

すると【役目を果たしたなら、そのお馬くんは現実世界へと戻れるよ!】と、ゲームのアナウンスが入るのだった。…――どうやらそうらしい。

二人はグルファクシの背を乗りその背を優しく撫でながら、『呼んでしまってごめんね』『来てくれてありがとう…』と、そう話している。


――二人はグルファクシの背に乗って、どんどん森を進んで行った。

すると途中、何かの気配を感じ取ったかのように、グルファクシがピタリと足を止めた。グルファクシはじっと、真っ直ぐに森の闇の中を見ている…――

瑠璃と絵梨、二人に緊張が走る。ごくりと生唾を飲み込んだ…――

…――すると暗闇の中から、『きっきは手下たちが世話になったようで』と、そう話しながら、不気味に笑った男が歩いてきた。


瑠「っまさか、さっきの山賊たちの…――」


そして男の後ろには、やはり他の手下たちもいるようだ。

するとゲームのアナウンスが【山賊のお頭が現れた!!】と。

やはり手下を大勢連れたこの男が、山賊のボスのようだ。

二人はゴクリと生唾を飲み込んだ。


絵「逃げようよっ!」


【お頭を倒さないとクリア出来ません。本当に逃げますか?】


絵「っ逃げられないじゃん…」


〝まっまた戦うしかない…〟と、覚悟を決めて、二人はグルファクシの背から下りた。


瑠「グルファ、この子たちを連れて、下がっていて!」


不安げな顔をするオレンジ花リスとハートキャットをグルファクシに預けると、瑠璃と絵梨は山賊たちの前へと足を動かした。


瑠「よし!またライフルと爆弾を!」


【一度召喚して使ったアイテムは、既に現実世界へと戻っているよ!】


瑠絵「えぇ~?!」


〝また、レア武器出るまでゴミで戦えと?!〟と、先が思いやられる二人だった。

二人は顔を青くしている。――だが敵は待ってはくれない。ボスが『お前たち、やっちまえ!』と、手下たちに声をかける。
すると、武器を振り上げながら、手下たちが一気に襲い掛かってくるのだった…――!!

〝絶体絶命!!〟


瑠「え、何これ?!今さらだけどコレ、バレンタイン編だよね?!」


絵「っ…―そ、そうの筈…!クリスマスに引き続き…空気をまったく読まないブログ世界っ……」


瑠「プロローグっぽい辺りで、まともな恋愛ストーリーを期待していた皆に、どう謝ればっ…―!……」


絵「バレンタインキュンキュンストーリーを期待していた皆様、今回も…―〝謝罪致します〞!!」


チョコを届ける為に、女たちが死ぬ気で戦う回。正真正銘、熱い👊🔥バレンタイン編である。


瑠「フツーはこっちの〝熱い💑❤️〟じゃないのかな?!」


――さておき、ここを出てチョコを届ける為には、この迫りくる敵をどうにかしないといけないのだ。


瑠絵「おっお助けアイテム召喚っ…」


〝戦うしかないっ〟と、泣く泣くアイテム召喚をした二人だった。――さぁ何が出たかな?


【レア武器レベル2⭐️⭐️!番外編 Ⅲ より〝椿 弥生作・胸キュン逆ハー恋愛小説〞!!】


瑠絵「どう戦えと~?!」


困惑しながら取り敢えず小説を掴んだ。…――武器を振り上げながら、敵は迫り来る…――

――〝何か策でも書いてあるの?!〟と、そんな事を思いながら、パッと小説を開いた。すると…――

\パッパラパッパッパ~~ン!!🎺/


瑠「ぅわっ?!何何何?!いきなりやたらとめでたい感じの音楽流れ始めたぁ~?!」


【恋愛小説で女子力がUPしたよ!!魅力数値1→5!!】


〝だから何のゲームだよ?!〟と、口をあんぐりと開けてしまっている二人だった。

だがすると…――敵の何人かが、ハッとしたように、ピタリと足を止めた…――


「えっ?!すっすげぇ可愛い女の子たちじゃん!!」


「可哀想で、攻撃なんて出来ねぇよ!!」


「こんなこと、や~めた♪」


瑠絵「「………。……」」


〝そういう事かぁぁ~~?!〞

〝つまり、丸腰の女相手に掛かってくるクズばかりだと思っていたら、こっちの魅力数値が1だったからって事ですか?!〟

――こうして数人が『お頭!自分、女の子いじめられねぇッス!!』と言いながら、去って行ったのだった。


頭「ッ!!あの裏切り者共がぁ~!!…――くっ……だが、仕方がないか…――残ったお前たちで、コイツをやっちまえ!!」


「勿論ッス!お頭!!」


…―だが、敵はまだまだいる。二人は再び窮地に立たされた。〝またアイテムを…―〟と、思った、その時だった…――!!

\ランランラン♪ラランランラ~~ン♪/


瑠絵「「……もう、驚かないよ……」」


【レベルUP!!✴️助っ人スキル⭐️解放!!】


瑠「ん?!助っ人?!」


【〝助っ人召喚〟の掛け声で、ランダムで助っ人を召喚出来るよ!!助っ人として現れる人物は、何かしらキミたちと関わりのある人たちの中から、ランダムで選抜されるよ!!】


〝あっ、つまり、いつものランダムキャラくじ引き…〟

察している二人であった。


――その頃、黒幕非モテ男は画面の向こう側で高笑いしているのだった。『アッハハハハ!!だがそう、“助っ人は関わりある人物に限る”ってなぁ!!誰が出る?ひ弱な女友達かな??知り合いのお兄さん??フン!!男が出たって、相手は武器を持った山賊さぁぁー!!』と。

…―だがその頃、瑠璃と絵梨はと言うと〝何かしら、関わりのある人が出るって?!あっ!警察とか元暴走族とか裏社会の人とかっ…―私たち、強そうな知り合い結構多くないか?!やった!!強い人出ろ~~!!〟と、このスキルに大変喜んでいるようである。


――さぁ、誰が出るかな?…―


瑠絵「「助っ人召喚っ!」」


ランダムキャラくじ引き、発動である!!

\ランランラ~ン♪/


【鈴菜!!】


瑠絵「「ッ?!……」」


〝ちっ違うの…!!すっ鈴菜さんが嫌とかじゃなくてっ…あのつまり…――!!普通の女の子出ちゃったよって…そういう事でっ!!〟

――そして『え?!ここどこ?!』と目を丸くしている鈴菜が目の前へと現れた。因みに彼女の腕の中には、チョコレートを溶かしたボウルがある。そう、今日はバレンタイン。


瑠絵「ごめんなさいっ鈴菜さぁぁ~ん?!」


鈴「へ??」


〝彼女にもっ私たちと同じ思いをさせてしまうなんてっ…〟と、キュッと胸が苦しくなる二人だった。

――そして画面の向こう側ではやはり男が笑っている。『ホラなぁ!やっぱし女友達か!しかもこの女、チョコ作ってやがったな?!ちょうど良い!一緒にゲームの世界をさまよえ!!』と。

『かくかくしかじか……と、いう事でして…巻き込んでしまい、ごめんなさい…』と、謝る二人。

だが鈴菜は目をパチパチとさせた後に、ハッとしたように、顔を赤くして片手で口を押さえた。


鈴「っつまり今から私たち、ちっ力を合わせて戦うのね…!!そ、それって、それって…まさに美しい“友情”…!!」


瑠絵「「………」」


〝そうだった!?鈴菜さんって、“友達ほしい人”だった!!〟


鈴菜は溶けたチョコレートの入ったボウルを、地面へと置いた。

すると『チュチュ♪』『ミュゥミュゥ♪』と嬉しそうに鳴きながら、オレンジ花リスとハートキャットがチョコレートを舐め始めた。隣でグルファも穏やかな表情をしている。

――そして鈴菜は高らかに宣言するのだった。


鈴「彼との同意があれば、バレンタインなんていつだって出来るのよ!〝バレンタインデート〟って約束して、チョコ渡せば良いんだから!!」


絵「っ?!鈴菜さん、さすがです」


瑠「っ?!そうよね!事情を説明して分かってくれないようなバカな男となんて、付き合ってないつもりだし…!」


鈴「けどねぇ…――〝友情が芽生える瞬間のいうものはっ逃したならもう二度、来ないかもしれない〟のよー!!」


〝たっ確かにその通り?!〟と、納得してしまう瑠璃と絵梨。


そして鈴菜は画面の向こう側かと思われる斜め上の空中を、ビシッと指差した。


鈴「そこから見ているんでしょう!非モテ男ー!!アンタ彼女もいないけど、そんなんじゃどうせ友達もいないんでしょ!!」


するとまた、ズギシャッ!!と、空中で鋭い音が響いたのだった。言葉のナイフという名の攻撃である。
そして案の定、画面の向こう側で男は『ぅっ』と痛む胸を押さえているのだった。

瑠璃と絵梨は〝鈴菜さんやる~!!〟と、感心している。

…―だがやはり…――


鈴「さぁ!戦いましょう!友情の誓いにバトルを!えいっ!!食らえ!変な色のキノコ!!」


鈴菜はむしり取ったキノコを山賊に向かって投げた。すると、スパン!と、キノコは山賊の持っていた剣にぶつかり、真っ二つになったのだった。


鈴瑠絵「………。」


―ポトッと虚しく、切れたキノコが地面へと転がる。

…――するとギロりと、不機嫌な山賊の眼差しが三人へと向いた。


鈴瑠絵「キャャャー?!」


やはり鈴菜では、山賊に勝てっこないだろう。


―そして再び『お遊びは終わりだ!!』と、山賊たちが武器を片手に走ってくる――

『キャャ~?!』と、大絶叫しながら取り敢えず三人は走る…――


瑠「こっ今度こそ…!裏社会の人とかこい!助っ人召喚っ!!」

\ランダムキャラくじ引き発動!!/

\ランランラ~ン♪/


【シラー!!】


すると『あら、ここは一体どこですの?』と、そう首を傾げながらシラーが現れた。

鈴菜と絵梨は『へっ…おばあちゃん…』『こういう時に限って、男が出ない…』と、顔を青くしている。だが瑠璃が『…いや、シラー様…すごいよ…』と。『『へ??』』と鈴菜と絵梨。


「おい!何だババァ、怪我したくなかったらそこ退きなぁ!」


すると『…あら、何です?騒がしい…』と言いながら、瞳に鋭い光を宿したシラーが男たちの方へと振り返る。


シ「わたくしと、やり合いますか?…――」


瞬間、シラーはサッと、両袖の中から隠し持っていた暗器の刃を取り出した――


鈴絵「えぇ~?!」


そして二本の刃を華麗に操りながら、早々と山賊を二人程片付けてしまった。

絵梨も鈴菜も、他の山賊たちも皆、鳩が豆鉄砲を食らったようになり固まっているのだった。


瑠「さ、さすがシラー様…!」


シ「これはどういう事です?柴山さん。…――けれどまぁ、事情は後で聞きましょう。今は、この方々をどうにかするのが先のようですね」


鈴「おばあちゃんカッコいい!!」


『えぇ。わたしくに任せなさい』とシラー。だが…――


シ「ぅっ…―!!はっ……やはりだっダメですわ…!!…こっこれ以上交戦するとっ…こっ腰が…―いってしまいそうですわ…―はぅっ…―」


瑠絵鈴「シラー様ぁぁ~~?!」


〝やっぱりダメだったぁぁ~?!〟と、シラーをグルファクシの元へと避難された三人だった。


瑠「グルファ!シラー様をお願いね!」


「ヒィィン!」(任せろ!)


そしてシラーは座ったグルファクシの隣に寝転がりながら『もうわたしも、若くはないのですね…』などと、ポツリポツリと言っているのだった。

――振り出しに戻り、三人は再び、大絶叫しながら山賊から逃げ回っている。

〝というか何で?!バリバリ動ける青年出ろよ!?うちの男共、こういう時に当選しないで何やってんだよ?!〞

ランダムだから仕方がないが、三人に苛立ちが募るのだった。


瑠「三度目の正直っ!!バリバリ動ける青年っこ~い!!助っ人召~喚!!」


\ランダムキャラくじ引き発動!!/

\ランランラ~ン♪/


【翠玉!!】


〝敵じゃん?!あっけど、もしかしてこの人、戦える人??〞


すると『あれ??ここどこですかぁ~??黄玉さぁ~ん??皆ぁ~??』と、困り顔で翠玉がやって来た。


翠「え…うそ…また私、はぐれちゃった??…う~ん…けどいつの間に、森に迷ったんだっけなぁ…」



瑠絵鈴「………。」



〝え??この人、可笑しな世界に飛ばされた事に、気がついてない?!〟

『あ、あの…』と声をかけると、『わっ!!』と言って翠玉がバッと振り返った。

〝え?この人、私たちいることに気が付いてなかった?!この人大丈夫かなぁ?!〟

翠玉は『ん?誰??』と言いながら首を傾げている。

――だがその時『また可笑しな術で人を呼びやがったな!!』と、そう言いながら山賊が切りかかってきた。

四人はハッとする…――そして『キャャ~?!何ですかアナタたちはぁぁ~?!』と、叫びながらも翠玉が剣を抜いた…――

〝おぉぉ~!!〟と、思っている瑠璃と絵梨と鈴菜。そして翠玉は…――


翠「嫌ぁぁ~?!来ないでぇ~?!キャャャ~ー!!」


――と、泣きべそをかきながらも剣を振るい、ズギシャ!!ズギシャ!!ズギシャ!!と、山賊を倒している。


瑠絵鈴「おぉぉ~!!すごーい!!」


鈴「頼もし~い!」


瑠「気が楽になった~!」


絵「現実世界に戻ったなら、この人が敵なんて~!」


瑠絵鈴「〝気が重くなった~!〞」


…――そして数十分後、依然泣きべそをかいてはいるが、山賊のお頭以外を翠玉が全員倒したのだった。

〝おぉぉ~!!〞と、興奮気味でパチパチと拍手をする三人だった。そして翠玉は…――


翠「ぅっ…こ、怖かったぁ……」


と、言いながら裾で涙を拭っている…―が、地面へと伸びている山賊の手下たちに『お…お前がな…』と、ツッコミを入れられている。

――そして残る敵は、お頭ただ一人である。

キュッとしっかりと涙を拭うと、翠玉はサッと、お頭へと剣を向けた…――


翠「…――どうやら、アナタがこの人たちのリーダーのようですね。私と、勝負しますか?…――」


「…っ…――良いだろう。勝負してやろうじゃねぇか…小娘…―!」


翠「手加減はしません。アナタのようなリーダーは、一度痛い目に遭うことをオススメ致します」


『何だと小娘!』と山賊のお頭が声を荒らげる。…――すると、彼女の目尻に溜まっていた涙が、キラリと光って見えた――


翠「…―“アナタのようなリーダー”には言って良いでしょう。まったく好感が持てませんもの。手下たちが全員やられてしまうまで、アナタはそこで何をしていたんです?…」


『黙れ生意気な奴め!』と言いながら、山賊のお頭も剣を抜いた。

こうして勝負は一騎討に…――

――互いに剣を構えると、二人は駆け出した――

…――彼女の瞳は、しっかりと相手の剣を見切っていた――


――――――――――――――――――――
…―大違いですね。私の、好きな人とは――
――――――――――――――――――――


そして、サッと振るった刃が、標的をとらえた――

山賊のお頭は地面へと倒れ、そこに立っているのは翠玉である。

…―彼女は剣をおさめ、振り返った。

そこで見ていた三人と、順番に目が合う。

瑠璃と絵梨、鈴菜は『ありがとうございました』と…――。すると翠玉は、ふっと柔らかく口元を綻ばせたのだった…――


――こうして山賊の一味に勝利した瑠璃と絵梨は、動物たちと助っ人たち、皆と一緒にゴールである宝箱の元を目指した。

ゴールはもう、目と鼻の先だ。

…――そしてついに、宝箱を見付け、一同は足を急がせた。

…――宝箱を開くと、〝ゲームクリア〟の文字が表示される。

途端、彼女たちは目映い光に包まれた…―――


…――彼女たちは強い光から逃れるように、ギュッと強く目を瞑っていた。

だが次の瞬間、〝ドンッ!!ガシャン!!〞という凄い音が響き渡り、彼女たちはびっくりしてとじていた目をひらいた。

すると…―


瑠「へ?!ここどこ?!誰の家?!」


訳が分からずに、彼女たちはキョロキョロと部屋を見渡した。…―知らぬ部屋だ。だが、この部屋の雰囲気を見る限り、ここは“現実世界”だろう。

――すると彼女たちは、そこで口をあんぐりと開け固まっている、例の非モテ野郎の存在に気が付いた。どうしやらここは、現実世界の彼の家のようだ。

瑠璃と絵梨は男を指差しながら『あぁー~!!』と。

だがすると男も顔を青くして指差しながら『あ?!あぁ~!!』と。男が指差している方向は、瑠璃と絵梨を飛びこえた向こう側である。

『え?なになに?!』と言って、彼女たちは男の指差している方向を振り向いた。すると…―


「ヒヒィーーン!!」


一同「!!」


一緒にゲームの世界から帰ってきたグルファクシの前足の下に、無惨な姿に成り果てたテレビがある。

彼女たちは『グルファ、良くやった!』と。そして男は『なんて事を?!この馬っ…―』と言って、キッとグルファを睨みつける。…―だがすると、フンと鼻を鳴らしたグルファに、男はギロりと睨まれる。思わず怯む男。グルファは一声鳴くと、前足を振り上げた…――そして、ドン!!バキッ!!と、家の床を破壊した。

頭を抱えながら『あぁ~?!』と、更に顔を青くする男。

『なんてお利口なお馬くんなのかしら!』と、〝もっとやっちゃえー!!〞と思っている女たち。


鈴「グルちゃん!やっちゃえ!家電家電!全家電破壊の刑!!」


「ヒィーン!!」


バキーン!!グシャッ!!ドーン!!バキン!!


グルファクシにより全家電破壊の刑に処された男は、戦意を喪失し、床へと崩れたのだった…―〝成敗〞である。


瑠「これに懲りたらもう二度と、こんな事をしない事ね!」


絵「…――今回は特別に、警察にも元暴走族の友人たちにも突き出さずに済ませてあげます」


鈴「…―そうね。今回だけ特別に、裏組織の知り合いたちに突き出さずに済ませてあげるわ」


〝っ…―え、なんだコイツら?!そんなにヤバそうな知り合いがいる奴らだったのか…?〟と、男はまた顔を青くしている。
〝今回は突き出さずに済ませてあげる〟と、瑠璃、絵梨、鈴菜…――だが次の瞬間、彼女たちがニッと悪い顔で笑いながら、サッとシラーと翠玉を差し示した…――


瑠「…まぁ私たちが黙っていてあげても…――」


絵「……―裏の組織に属しているシラー様と翠玉さんに、アナタを許す気がなかったのなら…――」


鈴「私たちの慈悲なんて、何の意味なんてないけどね~?…――怖~い人たちに、怖~い事されちゃうかもね~?」


『ギャャ~~?!ごめんなさぁ~い?!』と、顔を真っ青にしながら頭を下げた男だった。

そしてシラーと翠玉はと言うと、何故かゲームの中から抜け出てきてしまっていた、オレンジ花リスとハートキャットをモフモフしていたところである…
『なんて可愛らしい!モフモフですね!』『連れて帰りたいわ!』と翠玉とシラー。そして笑顔で振り返り…――


シ「こんなクズ男でも、この子たちの生みの親なのですね」


翠「良いでしょう。今回は多めにみましょう。この子たちの生まれた世界を守る為にも、ゲームの作り手であるアナタは必要です」


――こうして、オレンジ花リスとハートキャットのお陰で命拾いをした男だった。

そして彼女たちは『っ…待ち合わせが!』『早く帰らないと…』と、そんな事を話しながら、この家を去る…――


瑠「じゃあね!キノコのデザイン微妙なくせに、モンスターのデザインは最高な非モテ男!」


「っおいお前たち、そっちは玄関じゃないぞ!」


一同「えっ??」


「ヒヒィーン!!」


―ドカーン!!


絵「あ、“玄関そっちじゃない”って教えてくれて、ありがとうございました」


鈴「けど、お気遣いなく!本当の玄関ではなくてもたった今……―!」


一同「グルファが前足で、玄関に変えてくれましたから!!」


『……もう本当にっ…早く帰って下さいっ…涙が止まりませんっ…』と、ズタズタになった我が家を前に、彼女たちを泣いて帰したがっている男であった。


…――彼女たちは急いで男の家を飛び出し、時計を見る。そして目を丸くした。
…――空を見上げて見ればそこには、駅の前までやって来た頃と同じ、徐々に暗くなり始めた空があった。
何時間もゲームの中にいた感覚は確かにあったのに、あの世界で過ごした時間は、現実世界の時間の中では、ごく僅かな時間だったのだろう…――

『…やった…間に合う』と、呆気取られながら、瑠璃と絵梨は顔を見合わせる。

すると鈴菜は『ならまた、チョコの材料買って帰ろうかな』と、皆に別れを告げると、近くのスーパーマーケットへと走って行った。

シラーはまず『グルちゃんのことは任せて下さい。部下に元の場所へと帰しておいてもらいますから』と。そして『…――バレンタインは本来、男性から女性に花を贈るのが主流なのです。…私も部下を呼び帰ります。あの人が何を用意してくれているのか、とても楽しみですもの』と、そう話して口元を綻ばせていた。

瑠璃と絵梨は〝部下が来るまでもう少し待つ〟と、そう話すシラーと、そして翠玉に別れを告げると、また駅を目指して走り始めた。…――バックに手を入れて、そこにちゃんとチョコレートがあるのを確認して、ワクワクと胸を踊らせながら…――

…――そして翠玉もシラーに『では…―』と、そう一声掛けると、足を動かし始める。
少し歩いた場所で彼女は一旦足を止めると、内ポケットから、ラッピングしたクッキーを取り出す…
じっとそれに視線を落としてから、彼女はため息混じりに、クッキーを内ポケットへと戻した…――
彼女の背中は、暗くなり始める街の中へと消えていったのだった…――



…――夜はこれから。今夜はバレンタイン。

好きな人へと、形にした愛を、伝える日――

…――どうか今夜は、いつも伝えきれない私のこの気持ちが、アナタへと全て、余すことなく、伝わりますように…―――




♡――【Valentine特別編・end🍫❤️】――♡




ありがとうございました。ではまた、第十三回と本編でお会い致しましょう✨

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