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フルーツロール

フルーツロール🍎です(*´∀`)🌹

名前の由来は、“その時食べたかったから”です。

どうぞよろしくお願い致しますm(__)m

小説は基本、ピカレクスロマン🔫の要素が強く、波瀾万丈な物語。そこから少しずつ、幸せを勝ち取っていくような物語だと思います🔫🍀

よろしかったら、フルーツロールの物語を、楽しんで頂けたらと思いますm(__)m

第十三回ブログで感謝企画🌸春のスペシャル版🌠①

皆様いつも、本当にありがとうございます!第十三回ブログで感謝企画🌸🌠始まります!


――――*


これはある春の夜に彼らがやらかした、奇跡の話である。(※細かい時系列は気にせずに楽しんでね☺️)


――流れ星が消える前に、三回願い事を言うと、願いが叶うって言うだろう?

…いやいや迷信だろうって?そもそも、流れ星が消える前に三回願い事を言う時間なんて、ないだろうが……――って、思っているだろう?

それが、無理でもなかった訳だ…――



――ある春の夜の事、雪哉、聖、陽介、純の四人は一緒に街を歩いていた。すると何気なく夜空を見た瞬間に、流れ星が流れる…――


聖「あ、流れ星…」


聖が思わずそう呟くと、他の三人も夜空へと視線を移した。だがそこにはもう、流れ星はない。


陽「え~!聖クン良いなぁ~!オレも見たかったぁ~」


だがすると今度は雪哉が『お、また流れた!』と。陽介は『ウソッ?!』とすぐにまた夜空を見上げた。するとスマートフォンを眺めながら、純が言う。『流星群だとよ。スマホのニュースに書いてあった』と。


陽「ならまたすぐに流れるじゃん!ラッキー~!!なぁにお願いしようかなぁ~!!」


雪「三回なんて唱えられなくねぇか?」


陽「ユッキー!!夢の無いことを言うな!!三回唱えられないだと?なら一回は?…」


雪「あ?けど流れ星には三回…」


だがすると、陽介は言った。


陽「ボクたちは〝四人もいる〞じゃないかー!!」


雪聖「「ッ?!つまり?!」」


純「あ?いやよく分からねぇけど…三人でやってろ」


すると陽介はいつも通り『純さま冷たーい!!』と。…―だがさておき、彼は〝三人いればどうにかなると踏んだ〞らしいのだ。


聖「あっ三人で同じ願いを!」


雪「それでも願いを言い切る前に、流れ星は消えるんじゃねーか?」


陽「唱えなきゃいい!〝ォラッ!!〞の一声に全てを乗せるんだ!!ラリアットかますような勢いで!!」


雪「なっなるほど?!」


聖「天才?!」


――そして三人は、呆れた様子で腕組をしている純をよそに、『じゃあ次流れたら実行しようぜ?!』と。
――すると、流れた…――


陽雪聖「「「ォラッ!!」」」


『よし!願いが叶う筈!』『あ?そういや、何願った?』『世界平和!』『将来安泰!』『一攫千金!』…――『ダメじゃねぇーかよ?!バラバラで!?』
三人で〝ォラッ!!〞に乗せる願いは同じでないと、三回唱えた事にならない筈だと、三人は何を願うかを話し合い始めた。だが…――『あ!流れ星!』すると反射で三人は願わぬまま『『『ォラッ!!』』』と…――。そしてその頃純は、星には願っていないが、何気なく思っていた。〝奴らの情報を探る手段があったらなぁ~〟と。そう、一連の事件の裏で糸を引いていた黒幕組織であった、中国に拠点を持つ裏組織、雨神(ユーシェン)の事についてだ――。(完結編の敵・番外編/完結編Ⅲから登場)

――そして彼らはその時、気が付いていなかった。陽介と雪哉と聖の『『『ォラッ!!』』』に、純のその願いが乗ったことに…――



――そしてその頃時を同じくして、違う街の夜空の下にもある四人組がいた。

雨神日本支部の幹部である四人組、鉱石の和名をコードネームと定めた〝瑪瑙、灰簾、黒曜、黄玉〟である。

そして彼らも…――


瑪「分かった!三人一緒に乗せれば良い!〝ォラッ!!〟ってエルボーかますような勢いで!!」


灰「っ…気が付かなかった。その手があったか!」


黒「メェくん、天才なの?…」


そして『ではまず、“ォラッ!!”の練習を~』と、言うことで…――流れ星が流れた瞬間三人で『『『ォラッ!!』』』と…――
――そしてその頃、黄玉は三人の茶番には付き合わずに、ただ一人で思い耽っていたのだった。〝エンジェルの残党の協力者の中に、どこの組織にも属していない謎の四人組がいたな。奴らは一体何者だ?奴らの情報を得られたなら…“と…――。



――*そう、彼らそれぞれ四人組は、同じ夜に互いに“敵側の情報を得られたなら”と、そう流れ星に願った訳である…――

さぁ、あの流れ星は一体、彼らの願いをどのようにして叶えただろうか?…――



――
――――*

…――確か昨日の流星群の夜、あの後四人で雪哉のアパートへと行った筈である。

そこで皆で飲んで食べて…―そしてそのうちに、寝てしまったのだろう。

…―目が覚めた時、まだ空は暗かった。夜中にふと、目が覚めたのだろう…――

――だがそうして夜中にふと目を覚ました陽介と聖は、ポカンとしたまま言葉を失っていた。

寝ていて夜中にふと目が覚めた筈なのに、なぜか自分は突っ立っていて……〝いやいや、オレどれだけ器用なんだよ?〟って、一瞬そう思ったのだが…――辺りを見渡せば、そこには白塗りの知らない通路が広がっていた。

――そして隣に、知らない男がいる。歳は自分たちよりも、いくらか年上だろうか?おそらく二十代後半くらいだろう。

聖の隣には、黒髪に赤いメッシュを入れた男が立っている。

そして陽介の隣には、黒髪に黒いハットを被り、ゴシックメイクを施した、やたらと個性の強い人が立っている。


聖陽「「だっ誰??…」」


二人は互いを見ながら誰?と…――。そして気まずく思い、思わず視線を反らしてしまう。すると、窓ガラスに自分たちが映った。
『へ?!』と、二人はまた目を丸くした。
なぜかガラスに映った自分まで、知らない人である。


陽「え?!何何何?!このガラス、誰を映してるんだ?!何でオレ、赤髪メッシュの知らない人になってんだ?!」


聖「個性強ぇ人いると思ったら、これ、ガラスに映ったオレじゃね?!どゆこと?!……ねっ寝ている間に、こんなにハイクオリティなゴシックメイクをオレにしたのは誰だ!?いたずらレベルじゃねーぞ!てかっ…髪まで黒髪にされてるし!…」


だがその後に聖は『…いや…あれ?…でもこれ、本当にオレか…?…メイクするとオレ、こういう顔になるの?…何だか、違う気がする…』と、そう言って首を傾げている…――

〝そもそも、アイツらはどこに行った!!〞


陽「てか、純様にユッキー、“聖”はどこにいるんだよ…」


聖「あ?はい。“聖で~す”!」


陽「え?!聖だったの?!ぜんっぜん分からなかった!誰がそんなハイクオリティなゴシックメイクをしてくれたんだ?!」


聖「あ、ごめんなさい……キミ、誰だっけ??」


陽「聖くん…オレだよオレ。“陽介”!!」


聖「へ??」


「「………――」」


――自分たちの身に何が起こったのか、その事情に勘づき始めた二人は、みるみるうちに顔を青くした。正直、聖の顔色はメイクのせいで分からないのだが…――。そうこれは…――


陽聖「「だっ誰かと入れ替わった~~!!」」


〝入れ替わり〞である。

陽介と聖は焦った。〝この体はどこの誰だ?!〞と、取り敢えず身分証などを持っていないかと、自分に対してボディチェックでもしているかのように、体を両手で叩いて探った。すると…――


陽「ぅわっ?!何でコイツ銃持ってんだ~?!」


聖「オレも持ってる~?!ついでにオレたち、剣も持ってる~!!…」


そもそもこの体の持ち主たちは、同じような格好をしていた。これは私服ではなくて、何かの集団の制服のようなものだろう。
二人はバッと、羽織を開いた。すると羽織の内側に、筆記体の刺繍が入っている…――


陽「〝Agate〟…」


聖「オレの方、〝Obsidian〟…」


アゲートの和名は〝瑪瑙〟。オブシディアンの和名は〝黒曜〟。

――こうして、全てを察した陽介と聖であった。

そうこれは〝陽介IN瑪瑙〟と〝聖IN黒曜〟である。

二人は絶望した。そして陽介は聖を指差しながら『という事は、メイク落としても聖ではないんだな…』と。聖はハッとした。――そう、最初は誰かの高度なイタズラかと思っていたが、この体が黒曜だというのなら、メイクを落としたところで、鏡に映るのは自分ではなく黒曜でしかないだろう。
…すると聖は『そんなっ…たっ確かめる!』と。そして陽介も『まっまだ希望はある…!確かめよう!』と。

――こうして二人は、黒曜をスッピンにしようと、水道を探して雨神日本支部の内部を駆け回るのだった。


陽「水っ道どこだぁぁ~~!!」


聖「誰かクレンジングオイルをくれぇ~!!」


叫びながら通路を疾走する二人の事を〝瑪瑙さんと黒曜さんが、発狂している?!〟と、目を丸くしながら部下たちが眺めているのだった。

…すると目の前から、見知らぬ女がやって来て『瑪瑙さん、黒曜さん、どうしたんですか?』と。陽介と聖からしたら“見知らぬ女”であった。だが彼女は桃簾であった。


陽「おっお姉さん!ちょうどいい所に!あの、水道の場所を教えて下さい!あ、案内してくれませんか?!」


桃「瑪瑙さん、どうされたんですか?水道の場所に案内を?場所なんて、分かっているくせに…――もしや瑪瑙さん、この桃簾と一緒に並んで歩きたいが為に、そんな事を?そういう事なら、遠回りしましょうか?」


陽「いや、すぐに行きたいんで!遠回りせずにお願いしますっ!!」


桃「シャイなのですね♡瑪瑙さんがそう仰るなら、仕方がありません。遠回りは止めましょう♪」


聖「あの…クレンジングオイル……お借り、出来ないでしょうか…??…」


桃「黒曜さんまで私を口説くのですね♪…―神様、罪な桃簾を、お許し下さい♪♡」


――こうして二人は桃簾の案内で一番近くの水道へ。


桃「二人の恋のキッカケを生む、約束のクレンジングオイルです♡」


聖「ありがとうございます。じゃあ手に何プッシュか…」


桃「いいえ。ボトルごと、お貸ししますわ」


聖「え?いや…」


桃「返しに来て下さいませ。また会えますわ!」


そして桃簾は、クレンジングオイルをボトルごと貸して、走り去って行ったのだった。
二人は目をパチパチとさせた後に互いを指差した。そして『あの女の人、黒曜のこと好きなのか?』『あ、いや、瑪瑙のことを好きなんだろう?』と。謎は深まるばかりである。彼女は瑪瑙にも黒曜にも灰簾にも黄玉にも、一律あのような態度である事だろう。

――そして運命の瞬間がきた。〝この体は本当に、オレではなくて黒曜なのか?…〟と。陽介もハラハラとしている。

カラコンを外し、聖は目を背けた。〝瞳の色が、オレと違う気がする…いや、きっと気のせいだ…〟と。

そしてついに、ゴシックメイクをオフした。鏡に映った自分を見て、聖は『あぁ~?!』と。


聖「黒曜っお前…!!…スッピン童顔だなぁ~…!!…」


陽「聖くん、そこ?!…いや、確かにそうだけど…」


やはりメイクを落としてもそれは、雨神日本支部の幹部、オブシディアン黒曜の〝スッピン〞でしかない。

『ぅっ(泣)手を見た時点で、本当は気が付いてたんだ!オレの手じゃないって…』と、涙ぐみながら両手で顔を覆う聖であった。


陽「ひっ聖くん!泣かないで!!瑪瑙の胸に飛び込んでおいで!!」


聖「陽介ぇ~~!!」


こうしてバッと、友情のハグを交わす二人であった。

――そしてそんな二人を眺めつつ、部下たちは首を傾げて通り過ぎて行く。〝いや、確かに幼馴染みで、仲が良いのは知っているんですけどね…〟と、“今日の瑪瑙さんと黒曜さんはどうしたものか”と思いながら。

依然二人は通路でハグを交わしている。…―するとその時『何してんだ?そこのアホ二人』と、どこか冷たい声が二人に問い掛けた。
『へ??』と言って振り返る陽介と聖。

――するとそこには、冷ややかな眼差しでこちらを眺める、銀色の髪をした男が立っていた。

〝誰この人?いきなり酷くね?オレらを眺める目が冷たいし…けど何かこの冷ややかさ、誰かに似てねぇか?〟

すると、銀色の髪の男が言う。


「お前ら…――陽介と聖だろう?」


聖「わ!すげぇ。良く分かったな」


陽「まさかっ?!純サマですかぁぁ~?!」


すると『そうだ』と言って男が頷いた。


聖「純!会えて良かった~。てか、やっぱり純もか……――で?その体、誰のだ?」


純は陽介と聖がやっていたように、バッと羽織を開いて内側を見せた。するとそこには〝Topaz〟と。


純「〝黄玉〟」


陽介と聖はそれぞれ純に『オレ瑪瑙』『オレは黒曜』と。――黄玉、瑪瑙、黒曜、全員雨神日本支部の幹部である。そして彼らには、思う事があった。〝この流れ、絶対ぇ雪哉もどこかにいるよな〟と。そして更に〝なら雪哉も、幹部の男になってんじゃねぇのか?〟と…――


聖「確か瑠璃が言っていたよな。日本支部の幹部の奴らの名前。瑪瑙と黒曜と黄玉と…―確かあと…」


純「翠玉と灰簾だ。ちなみに翠玉とは会った。翠玉は明らかに雪哉じゃねぇ。本人だ。そもそも女だったしな」


陽「ならユッキー、かなりの確率でIN灰簾してんじゃねーの!?」


〝妥当な推測!〟と、三人は頷き合う。そして『よし!ユキを探す為に灰簾を探すぞ!』と。当ては灰簾として、灰簾を探し始めるのだった――


――そしてその頃、雪哉はと言うと…――


「テメッ…?!バカふざけんな!誰だ!どうせ陽介か聖だろう?!」


そう、寝ていた筈だったのに、いきなり何かをブッかけられて、目が覚めた。
〝どうせ陽介か聖のイタズラだろう!〟と、そう反射的に思い口に出して言いながら、現在バッと目を開いたところである。だがいざ、目を開いてみると…――


「あ?…」


なぜかシャワーを浴びている。〝どうせ陽介か聖のイタズラだろう!〟と、そう思っていたのに、どうやらイタズラでも何でもなく、自分はシャワーを浴びていたらしいのだ。

〝はっ?!オレってまさか夢遊病?!怖っ?!〟

“まさか”と、雪哉は顔色を悪くした。“こんなのは初めてだ…自分が怖ぇ…オレ、夜な夜な動き回ってんのかな?”と。
だが、ため息混じりに顔を上げると、鏡に映った自分が、随分とイメチェンしている。

〝あれ?光も絶賛なオレの赤茶髪が、グレー髪に青のバングカラーに変わっているのは、何故??…いや、待てって…そもそも…〟


「この人オレじゃねーよ?!何だこれ?!まさか、鏡に仕掛けが?!ドッキリな鏡?!」


〝鏡に仕掛けが?早く確かめよう…〟と、誰かの家のバスルームから出ると、脱衣場で違う鏡を見る。だがやはり鏡への映り方は変わっていない。
〝自分の目しか信じられねぇ〟と、前髪や横髪を掴んで自分の目で確かめる。やはり、グレー髪に青のバングカラーである。手だって自分の手と形が違う。


「うわ~…何だコレ…夢だと言ってくれ~…」


手早く体と髪を拭くと、取り敢えず腰にタオルだけを巻いて、脱衣場から出た。そして家の中を見渡しながら、目についた扉を開く…――するとそこに、知らない女の人がいる。雪哉からしたら知らない女の人である。だが彼女はサリナであった。

〝うわ~…誰かの体で家の中裸で歩いてたら、女がいた~…なんだこれぇ…どうしよ…この男女は一体、どんな関係なんだ~?!〟


サ「唯吹くん…えっと…あの…」


サリナは顔を赤くして、思わず視線を反らしている。

〝うわ~…何でそんなに恥ずかしそうな顔をするんだ~…まさかコイツら、ただの知り合い?!ヤバッ…裸で出てきちまった…!ただの知り合いだったとしたら、すげぇ攻めてくる奴みたいになってんじゃん!!〟

“やってしまったぁ~”と、雪哉は内心焦っている。〝唯吹の人間関係ごじらせる訳にはいかね~し…オレ責任重大かよ…〟と。


雪「あ、なんか悪い。無神経だった。暑くてつい……服着てくるから…」


〝服、脱衣場に置いてあったのか?置いてある筈だよな〟と、脱衣場へと戻る為に雪哉は翻した。だがその時、前方にある扉が開いた。


雪「っ?!」


すると開いた扉から、また別の女が入ってきた。雪哉からしたら、当然知らない女である。だが彼女は、やむを得ない事情を得て呼び出され、数年ぶりに日本支部へと帰ってきていた柘榴であった。

顔を上げた柘榴はいくらか目を丸くした。だが、落ち着いた様子で『あ、灰簾、勝手に入ってごめん。』と。

そして雪哉は〝唯吹だか灰簾だか知らないが、こっちが裸でも、この人は全然動揺しねぇじゃん!これ、こっちの人が彼女じゃねぇか?…だとしたら、向こうの人はやっぱし……あ?これ、大丈夫か?修羅場になったり、しないよな?〟と、かなりヒヤヒヤとしているのだった。

そして柘榴は『そうそう帰って来れないから、皆に会っておきたくて』と、そう淡々と話しながら、まるで自分の部屋へと入るような軽快さで、部屋へと足を踏み入れてくる。そしてサリナがいる部屋の方へ…――


雪「そっちはダメだ!」


柘「え?何で?」


―ガチャ


〝何で?〟と問いながら、こちらが答える前に柘榴が扉を開いた。柘榴とサリナが対面する。

サリナと柘榴は、互いを見たまま一瞬固まった。パチパチと瞬きをする…

だが次第に、サリナの表情が悲しそうに曇り始めた。雪哉もハラハラとしている。だが柘榴はケロッとしながら『あ、もしかして彼女?いろいろタイミング悪かったね。ホントごめん』と。雪哉とサリナは『え?』と言いながら柘榴を見る。

サリナは安心したようだった。そして雪哉は柘榴を見ながら思った。〝分かった!この人、姉ちゃんじゃねーか?!姉ちゃんだから裸見ても無反応だったし、当たり前みたいに部屋に入って来たんだ!間違いねぇ!!〟と。


雪「姉ちゃん?!」


柘「……。へ??」


雪「へ??……」


柘「え??」


柘榴はポカンとしながら雪哉を…―と言うよりは灰簾を眺めている。だが次第に、柘榴は可笑しそうに笑い始めた。


柘「なに灰簾?可っ笑しい!!“姉ちゃん”って…――フフ…灰簾がそんな事を言ってくるとは思わなかったわ!まぁ確かに私たち、兄弟みたいなものだけど」


相当可笑しかったのか、柘榴は灰簾を指差しながら、片手でお腹を抱えて笑っているのだった。

――するとその時、また扉がバンと開いた。〝今度は誰だ?〟と雪哉はうんざりとしながら振り返る。
するとそこには、赤メッシュと銀髪と黒ハット、三人の男が立っていた。それぞれ入れ替わっている陽介と純と聖である。


陽「そこのお兄さん!キミの誕生日は12月17日じゃないのか!!」


雪「何でそれを?!確かにオレの誕生日は…――」


柘「はい?何言ってるの?灰簾は12月8日だよ!」


陽雪純聖「「「「………。」」」」


〝そこのお姉さん、これには深い訳が…!ちょっと静かに見守っていてくれ!!〟


陽「ちなみにオレの誕生日は7月10日だ!!」


雪「まさか陽s…――」


柘「瑪瑙は1月4日でしょ!」


〝ちょっ…お姉さん、本当にゴメンッ!!〟


そしてその後も『オレは11月13!』と聖。『黒曜は11月7日でしょ!』と柘榴。『8月8日!』と純。『黄玉、4月1日でしょ!』と。

雪哉は確信した。〝コイツらは陽介と聖と純だ!〟と。そして三人も確信した〝やっぱり雪哉だ!〟と。

…だが、四人にピンチが訪れる…――


柘「ねぇ、可笑しくない?大丈夫?私の誕生日、覚えてる?!」


四人「っ?!」


だが次の瞬間雪哉が『0111!!』と。

〝テキトーなこと言うなって、ユキ!?〟


柘「…なんだ、覚えてるじゃん」


四人「っ?!」


〝え?!すごくね?!ユキ、当てずっぽう?!〟と陽介が雪哉に耳打ちする。雪哉は〝いや…―〟と。…――すると続いて柘榴が『琥珀の誕生日は?言える?!』と。


陽「はい!!〝74〞!!の数字が痛いくらいにボクの頭に浮かびます!!7と4が瑪瑙の胸に突き刺さっていますっ!!」


柘「っ?!…あ、安心した。…――けどなんだか、瑪瑙のテンションが可笑しい……“瑪瑙の胸に”とか、じ、自分で言うんだね…」


〝あ、そういう事か。体がアイツらのものだから頭に浮かんだんだ〟と、それを察した四人であった。

――さておきこうして一先ず、四人は入れ替わりの状態のままではあるが、再会を果たしたのだった。


遊びに来ていたサリナを送ってから、四人は再び灰簾の部屋へと集まった。
〝どうすれば自分の体に戻れるのか〟、それを考え話し合う為にだ。
四人は真剣な面持ちで頷き合う。〝さぁ、話を…――〟と、思ったのだが…


雪「何かねぇかなぁ…」


何を探しているのか、雪哉が灰簾の部屋を見て回っている。


純「雪哉、お前なにしてんだ?」


すると灰簾の体で振り返った雪哉が、真剣な面持ちで言う。


雪「なぁ、灰簾何派だと思う?やっぱ映像かな?それとも紙媒体?」


純聖陽「「「………。」」」


雪「取り敢えずパソコン開いてみるか…」


純聖陽「「「………。」」」


雪「ああ、けどなぁ…他人の体で他人のパソコンで検索するの、少し罪悪感あるよな…うわ~…どうしよ…」


純聖陽「「「………。」」」


聖「検…策履歴から入ると…半減するんじゃね??罪悪感」


陽「うわ、聖ナイス!」


純「雪哉、聞いてたか?だとよ」


〝よし、実行!!〟と、雪哉は検索履歴を見始める。そして『はいはいはい。どれどれ??…―』と、他の三人も一緒になってパソコンを覗き込み始めた。――だが検索履歴を遡りながら、四人は〝なんだと?!〟と、顔色を悪くした…
ダン!と雪哉がテーブルを叩く…――


雪「なぜだ!なぜエ◯動画の検索履歴がないんだ!灰簾の奴っ!今この体はオレが預かっているんだぞ!履歴がなくて残念がるのはお前の体だからな!不親切な奴め!いや、これは自虐行為同然だ!✕押して履歴を消した事を後悔しろ!」


履歴を消した前提の話である。


陽「ユキ!何だよ〝後悔しろ〟って!つまりその体にお預けさせんのかよ?!今精神はオレらなのに?!◯ロ動画見んの諦めんのかよ!」


雪「そんなっ…―そんなつもりで言った訳ではっ…!オレが悪かった!」


聖「はぁ~…ドイツのパソコンを開けば履歴がそのまま残っている…黒曜か瑪瑙か黄玉か…」


純「お前ら女々しいぞ。アホじゃねぇのか?ダンダンダンターン!って、さっさとキー打って検索すりゃ良いだろう?見てぇなら」


『じゃあ純打って』と聖。『世話が焼けるぜ』と純がキーボードの上に手をかざし構える…――
すると、陽介と雪哉と聖はハッとした。


陽「っ?!何だ何だ?!すげぇ…これからエ◯動画検索する筈なのに…?!」


聖「黄玉の体で指構えると、これからピアノを弾くかのような気品が漂うぞ……」


雪「すげぇな…?!これ、何ていう現象だ!?」


純は『黄玉に聞け』と言いながら〝ダンダンダンターン!〞と、華麗にキーを打ち検索をかけたのだった。

〝オレたちも体の持ち主たちも男!!精神と体に不一致などない!!最早8人グルだぜ!!さぁいざ!!〟

…――だがその時、またもやノックも無しに『灰簾~?』と呼びながら、柘榴が入ってくるのだった。

〝ぅわ?!姉ちゃん?!タイミング悪っ…―!!〟と、未だに柘榴を灰簾の姉だと思っている雪哉だった。

…そして柘榴が四人の元へとやって来た時、もうそこにはパソコンは無く、『…煩悩と戦う事にしました…』と言いながら、四人は切なそうな顔をしていたという。

〝は?〟と、柘榴は首を傾げて目を疑っている。そして彼女は〝久しぶりに会った幼馴染みたちに…“脳みそが退化したんじゃないか?”って……そんな印象を受けるのは…どうしてだろう…〟と、頭を悩ませていたのだった。

――そしてこの夜四人は“話し合った”。
〝他人の体なんだから、ある程度節度を持った行動を心がけようぜ~?〟と。果たしていつまで持つか、今のところは一応、煩悩と戦う方針である。
こうして、本来集まった理由については話し合わぬまま、夜は明けていったのだった。

――さぁ、一体どうなる?②に続く!②は4/6中には公開予定!

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