第十三回ブログで感謝企画🌸春のスペシャル版🌠④
第十三回ブログで感謝企画🌸春のスペシャル版🌠③の続きです。
【前回のあらすじ】
入り替わり状態のまま、日常生活を送る両者四人組。だが『絶対に可笑しい!!』と、入り替わりオーシャン四人組は、体の持ち主たちの幼馴染みたちから怪しまれた挙げ句〝憑依している悪霊扱い〟である。〝向こうじゃ逆に、お前らの幼馴染みたちが悪霊扱いだからな?!絶対にそうだ!オレたちだけ悪霊扱いなんて、絶対ぇ認めね~からなぁぁ~!?〟
――その頃入り替わり雨神四人組は、体の持ち主たちの知り合いである瑠璃に遭遇。果たして瑠璃は異変に気が付き、彼らを〝悪霊扱い〟するのか否か?――
―――――*
街で会った瑠璃とカフェでお茶をする事になった、入れ替わり雨神四人組。さぁ、瑠璃は気が付くのか?気が付くも何も瑪瑙が暴露したにも関わらず、“陽介の瑪瑙ネタ”扱いであった。
そしてカフェの席に座りながら雨神四人組はソワソワとしていた。四人は小声で話をしている。『さっき彼氏いるって言ってたよな?!だ、誰?!まさか、この中にこの娘の彼氏いるのか?!』『ぅわっどうすんだよ?!』『まず“陽介は違う”って事はさっきの会話で分かったけど…』と。
そう、彼らは難題にブチ当たっていた。〝この中に、瑠璃の彼氏はいるのかいないのか?!もしもいたなら誰なんだ?!〟と。それによって瑠璃に対する“自然な対応”というものが変わるだろう。
灰「なぁ、オレとの関係、どう思う?」
黒「あ、オレとの関係も、どう思う?」
黄「なら、オレとの関係も、どう思っている?」
瑠「……。は??」
〝は?何言ってんのよ?〟と思いながら、ポカンと口を開けている瑠璃。
“彼氏ではない”という確証を得ている陽介の体に入っている瑪瑙は、頬杖をつきながら四人を眺めている。
…――するとそこに、全員分のコーヒーが運ばれてきたのだった。
灰簾と黒曜と黄玉は自分を指差しながら〝オレとの〟と言いながら、じっと瑠璃を見ている。そして瑠璃はまだ、〝は?〟と言ったようにポカンとしている。
瑠「はい?え?どうしたの?……まぁ、雪哉は何かちょっと……どうかと思う……“あの子”を泣かしたら、許さないからね?…――」
灰「………」
〝何だかいきなり怒られた~……雪哉のバカ野郎~…!!……〟
瑠「聖は……――」
黒「………」
瑠「う~ん。また飲みに行こう。」
黒「そうだね。また今度…――」
瑠「純は…――純と私、一対一の絡みってあんまりなくない?」
黄「……そうか。安心した」
瑠「っ?!」
〝あ、安心って?!何?!私と一対一では絡みたくないって意味ですかぁ?!〟
瑪「黄…――いや純~、それないよ~……そんな言い方したら、瑠璃勘違いしちゃうじゃん…」
瑠「陽介っ…やっぱりこの面子って、私に優しくしてくれるのは陽介だけなんだよね!まったく!酷いわよ!この間だって、何だか雪哉と聖と純よりも敵の大鷹の人の方が優しかったんですけど!どういう事?!」
瑪「え?ダレ木倉?」
瑠「いや木倉さんはちょっと……“木倉さんの部下”が優しかったんだよね!」
瑪「ならアレは?雨神の瑪瑙さんと海風さんは?」
瑠「優しかった!」
瑪「良かったね~♪」
瑠「良くない!!敵だから!!」
瑪「はい。ごめんなさい……」
だがその後も『じゃあじゃあ!!結婚するならと、恋人になるならと、お兄ちゃんにするなら、それに瑪瑙さんと海風さんと木倉さんを当てはめるなら??』と。瑠璃は『え~、何その三択~。どれに当てはめられても悪い気がしないやつじゃん?!瑪瑙と海風と木倉しか得しない質問じゃない!?』と。
〝お前は何を聞いているんだ…〟と、黄玉が呆れたように瑪瑙の頭をパシッと軽く叩く。
すると瑠璃が『え?!今日の純、お手柔らかだね?!』と。
〝っ…純、お前はいつも、陽介にどのように接しているんだ?!〟と、目を丸くしている黄玉だった。
…――そして瑪瑙は『瑠璃それで~?』と。
瑠「え?!何で?!その三人と関わらなきゃいけない設定なの?!」
瑪「え?!何で?!そんなに関わりたくないの?!」
瑠「え~仕方ないなぁ……じゃあ関わらなきゃいけない設定っていうのを大前提に考えるならぁ…――う~ん。瑪瑙が時々すれ違う犬の散歩してる人で~、海風が時々行くカフェにいる人で~、木倉が時々目の前通過するジョギングの人~ってところかなぁ?…――」
〝この子“時々”って言葉で、全員と上手く距離取ってくるぅ~…!!〟――その“時々”の言葉の使い方は、お箸でグリンピースを避ける行動に似ている。
〝敵なんだから、傷付く必要はないよ~…〟と、ポンと瑪瑙の肩を黒曜が叩いて慰めているのだった。
…――すると瑠璃の視線が、ふいに黒曜へと向いた。瑠璃はじっと、黒曜を…――と言うよりは聖を眺めている。視線に気が付いた黒曜は不思議そうに瑠璃を眺め返した。すると…―
瑠「ずっと言おうと思っていたんだけど…――」
黒「??」
瑠「それ、すごいね!?誰がそんなハイクオリティなゴシックメイクしてくれたの?!黒ハット使ったファッションもメイクに合ってるし!?」
〝そう、黒曜が聖の体でいつも通りのメイクをして、ハットを被っている〟
『すごっ』と言いながら瑠璃はマジマジと眺めている。
〝今更だが、これはさすがにバレるのではぁ?!〟と灰簾と黄玉がヒヤヒヤとしている。
そして瑠璃は『すごっ…何だかスパイダーとかに気に入られそうな雰囲気になってるよ?!』と。黒曜本人は既に、あのハロウィンコンビに気に入られ済みである。
『すごい』と言いながらメイクを褒める瑠璃を前に、黒曜は目をパチパチとさせている。そして…―
黒「キミ、人に対して肯定的ないい子だね。オレこんなんだから、人の目が極端なんだよね。好きな人は“すごく好き”って言ってくれる反面、偏見の目で見てくる人も多いから」
瑠「んっ?!…―」
瑠璃は目をパチクリとしながら、黒曜IN聖をじっと眺めた。
黒曜はミルクを入れたコーヒーをスプーンでかき混ぜそこに視線を落としながら、嬉しそうに口元を綻ばせている…――
…――瑠璃はギョッとした。〝聖が人の良いところを褒めながら、優しく微笑んでいる?!〟
瑠「聖っ何だかいつもよりも…――雰囲気がフンワリとしていて、な、内面の清さみたいなものが滲み出てない?!どーしたの?!いきなり優しいお兄さんみたいになっちゃって?!」
『え?』と言って固まる黒曜。
〝…何だか今日、この四人いつもよりも…―〟と、そう考えながら瑠璃は、四人を順番に眺める。
瑠「ん?!純、何だかソレ、珍しいね」
黄「ん?何だメガネのことか?視力はあまり良くないらしい。取り敢えずコンタクトは止めたから、先程不便に感じてかけた」
瑠「あ、そっか…!純って普段はコンタクトだったんだったね!…――それで、あの、珍しいね…“本読んでるの”。いつもはバイク雑誌とかしか見てないじゃない」
黄「バイク雑誌?…――いや、すまない。オレは男だが、バイクに憧れた事はあまりない…」
瑠「えぇ?!も、元暴走族なのに?!今更それが本音~?!」
黄玉は『暴、走族?』と言いながら、目を丸くしている。〝そうか、コイツは暴走族をやっていたのか〟と、そんな事を思っていた。
瑠璃は〝純が記憶喪失にでもなっているじゃないか〟と、そう思ったくらいである。そう思ってしまうくらい、純の体で黄玉が『暴、走族?』と、不思議そうに呟いていたのだ。
そして灰簾は瑪瑙、黒曜、黄玉を順番に眺めながら〝いやそもそも何でコイツら、途中から素になってんの??〟と、そう思っている。そう、何故か途中から皆、他人の体で自分自身の経験や価値観の話をしている。
瑠璃は改めて、四人を順番に眺める…――
瑠「えーと……まず雪哉、地図は読めるし、何だか賢くなった?陽介は、いつもとあまり変わりない?いや、けど少しだけ落ち着いて、大人っぽくなった?聖は何だか、前よりも他人に興味を示しているみたい。褒めてくれるし…そして純は、何だかいつもよりも穏やかだよね?ついでにメガネと本で、見た目まで落ち着いて見える…」
黄「穏やかなのは、体がいくらか楽になったからだ。体が重くない」(コクの料理のお陰)
瑠「体軽いって、それって?!」
黄黒瑪灰「ん?」
瑠「な、何か変なものでも取れたんじゃないの?!」
黄黒瑪灰「変なもの?…」
瑠「あ、“悪霊”とかっっ…――」
『へ??』と言いながら、目を丸くしている入れ替わり雨神四人組。
『悪霊でも取れたんじゃない?!』と、ちょうどあちらの四人組が、憑依した悪霊扱いさせていた頃の話である。
――一緒にカフェをしてみてどうだった?結果、瑠璃は気が付かない。
――こうして入り替わり両者四人組は、この昼の“知り合い襲来”と言う危機を何とか乗りきったのだった。…――まぁ知り合いと言うかは雨神日本支部の“幼馴染みの襲来”を受けた陽介たちは、この時点で八割がたはバレていたのだが…。だが彼女たちも入り替わりとまでは気が付いていないだろう。…――けれどさておき、一先ず危機を乗りきったと言っておこう。
…だが災難にもこの日の夜、両者四人組にまた“知り合い襲来”と言う危機が迫る事になるのであった…――
ではまずはこのまま、入れ替わり雨神四人組の危機の話をしよう。
昼間体の持ち主の知り合いに会い、ヒヤヒヤとした四人は、現在街中の夜空の下にいた。
〝とにかく流星群の夜に可笑しくなったんだ〟と、ため息をつきながら、四人で夜空を見渡している。〝…まさか流れ星のイタズラか?〟と、そんな嘘みたいな事を考えながら…――
だがそうして夜空を眺めていると、四人の前に一台のバイクが停まった。
『ん?』と言ってバイクへと振り返る四人。すると、オリーブブラウンのサラサラとした横髪を夜風に小さく揺らした、アンバーの瞳の男がそこにいて、バイクに跨がりながら『こんなところでどうした。何かあったのか?』と、そう落ち着いた声で問い掛けてくる。
四人は〝また知り合いかよ?!運悪っ〟と、眉尻を下げながら固まっている。
そんな四人を前に男も『ん?どうした?』と。
…――だがそこで、黄玉が気が付いた。そして彼は他の三人に『レッド エンジェルのウルフだ…』と。すると黒曜も目を見張りながら『そうだ。間違いない…』と。瑪瑙と灰簾は『え…?』と言いながら、男を二度見した。――そう、目の前にレッド エンジェルのウルフがいる。
〝瑠璃は敵でも女の娘だから良かったんだよ…ぅわ~…敵側の一角とも言えるような奴が来ちゃった~…入れ替わったオレらの体、コイツの仲間が有している訳だし…それってある意味、人質当然じゃね~かよぉ…ぅわ~下手げな事は出来ね~…〟――と言うことで、彼らはやはり仲間のフリをする事を決意する。だがそこで瑪瑙が、“こんな事”を言い始める…――
瑪「あ、オレ実はさっき瑠璃から“去年のGW”の話、詳しく聞いたんだ!面白そうだったから!そのデタラメ世界では人と人のポジションが変わってたらしくて!」
黄黒灰「………」
瑪「オレが陽介、黄玉が純、黒曜が聖、灰簾が雪哉……そして“海風”が“ウルフ”だったらしいぜ!」
黄黒灰「……はい?」
瑪「コイツ、中身海風じゃね?!だったら仲間だぜ!!」
小声で三人に話しながら、瑪瑙はウルフを指差している。
ウルフは〝何を話しているんだ?〟と、不思議そうに四人を眺めていた。
そして黄玉と黒曜と灰簾は『…はぁ?え?…』と言いながら、じぃっとウルフを眺める。さぁ、目の前に現れたのは、ウルフなのか、それともウルフの体で現れた海風なのか…――
黄玉と黒曜と灰簾は、難しい顔で首を傾げている。
灰「何だか違くねぇか?海風ってバイクで登場しねぇと思うんだ…」
瑪「そこはウルフの体だから、“体が勝手に状態”なんだろう!」
灰「いや、ねぇって。海風って足組みながら、高級車の後部座席に座ってるような奴なんだよ。アイツの足は組むものであり、バイクに跨がる為に開くものではない!」
黒黄「「それもだいぶ偏見…」」
だが瑪瑙は『絶対ぇ海風だと思うんだ!』と。そして笑顔で振り返り…――
瑪「海風~♪オレだよ瑪瑙だよ~!皆入れ替わっちゃった~!」
名前を呼んでみた。…――ウルフか海風か。さておきウルフの体で現れた男は、バイクに跨がったまま、じっと澄ました面持ちで瑪瑙IN陽介を眺めている…――
W「海風?オレが?そして陽介が瑪瑙……」
瑪「そう!」
すると、ウルフの体で現れた男が、難しい顔をする…――
W「いや、まだGWには少し早いだろう。そのネタはいいから」
瑪「え、海風じゃねぇの?!」
W「止せ。陽介…〝止めてくれ〞。海風などと呼ばないでくれ。アイツがオレに、何をしたと思っている?…――」
〝え?!海風、ウルフに何したんだ?!〟と、四人。すると目の前の男が、苦々しい面持ちで語り始める…――
W「去年のGW、瑠璃と絵梨が迷い込んだデタラメ世界で、そう、オレと海風はポジションが逆になった仲なんだ。…―だがアイツが、第九回ブログで感謝企画で、オレに何をしたと思っている?…――」
四人「え?いや…知r……」
W「ランダムキャラくじ引きで役決めしたら、アイツ一人だけ、〝王子役〟当選しやがったんだぜ?…まぁ、だがランダム、不可抗力だ…だが、許せない理由がある…――」
四人「はぁ~……」
W「オレが何の役に当選したと思っている?…――【⑭王子様に想いを寄せ、ヒロインを陥れようとする貴族の娘】…――そう、〝王子〟とは海風だっ!!……何だこれはっどんな屈辱だこれは?!」
四人「…いや、それも不可抗力……」
W「…一人だけ王子当選したことも抜け駆けだったのに、追い討ちをかけるようにオレにこの役目っ…―天は奴の抜け駆けを助けた挙げ句、オレには奴に想いを寄せる娘役を与えたんだっ…―屈辱が何倍にもなって押し寄せる、それこそっ一番最悪の役目こそが⑭っ…――おのれ海風っ…抜け駆け野郎っ…――!!……」
〝いやコイツもう、正真正銘“ウルフ”だわ…!!〟
そう、四人の目の前に現れたのは、入り替わりでも何でもなく、本物の〝ウルフ〟だったのだ。
――そしてその頃、雨神日本支部へと帰ってきた入れ替わりオーシャン四人組の前に、黒塗りの高級車が停まったところである。
四人は〝お、さすがヤバい組織の人たち~。高級車、カァッコいい!!〟と、そんな事を思いながら通り過ぎ、サッサと組織の中へと戻ろうとする。
…――だが背後から車のドアを開く音がしたと思ったら、少しして『やぁ、久しぶりだね』と、誰かに声を掛けられた。
『あ?』と言いながら振り返ると、部下が開いた高級車の後部座席から、濡れ烏のように艶のある黒髪をハーフアップにした、スッと背の高い男が出てきた。男はその至極色の瞳を細めると、ゆっくりと口元を綻ばせる。
四人は〝いや誰~?!何だか偉そうな雰囲気の人来ちゃったぁ~?!〟と、対応に困っている。〝コイツは一体この組織において、どのようなポジションの人間なんだ?!立場がありそうな奴が来たぞっ〟と。
小声で『誰?!良い車の後部座席から出てきたし、何だか風格があるぞ?!』『ボス?』『いやボスだったら若すぎるだろう』『あ、ならつまり…――』と…――
四人「本部から来た若頭!?」
だがすると、目の前の男は可笑しそうにクスリと笑ってから『お世辞は止して』と。
四人は『あ、良かった。若頭じゃないって』『え、じゃあ同等じゃね?コイツらも幹部だろう?』『つまりこの人、中国の本部の幹部?』と。
〝何だ同等か!びっくりさせんなよ~!〟と、四人はいくらか安堵したようだった。?
…―だがそこで、陽介が気が付く。
陽「あっ!この人、ランダムくじで王子になって、相手は忍だし、想いを寄せてくる娘役もほぼ男当選してて、そんな散々な劇をやらされてた、運良いのか悪いのかが良く分からない、チャイニーズマフィアの人だ!!」
雪「あ、そうだ!間違いない!」
聖「ん、つまり、去年のGW、デタラメ世界でウルフとポジションチェンジだった人じゃないか?」
純「あ?今思えばオレらの入り替わり、去年のGWの話と同じ奴と入れ替わってんだよな…―」
すると四人はハッとした。
〝つまり今目の前に、敵のチャイニーズマフィアの体で現れた、この男はもしやっ!!〟…――
四人「ウルフッ!!」
海風はニコリと笑いながら『ん?』と。笑顔とは裏腹に、彼の頭の中にはハテナが浮かんでいる。
依然四人からは〝ウルフッ!!〟と言う熱い眼差しが注がれている。
そして海風は後ろを振り返った後、部下たちに『“狼”…しばしば邪悪、貪欲なんてイメージで表されるような生き物だね。オレに“ウルフ”って、どう言う意味だと思う?…――』と。部下たちはハッと顔色を悪くした。
「大哥っ(アニキ)落ち着いて下さい。…決してそのような意味で言ったつもりはないかと…――」
海「…なら、何だと思う?」
「っ…―あぁ~……あれじゃないですかね?女ペロッと食べちゃうみたいなお茶目な感じ!」
海「それのどこかお茶目だと?それこそ“貪欲”だ。…――酷いな…オレはそんな、見境のない下品な男じゃないつもりだよ。女性との夜は上質な嗜みだろう?勿論、嗜み以上の情を求められるような関係も作りはしない…――」
「っ、あ、ではあれですね!!……世の女共が一方的に大哥に“狼になってもらいたい”と願うのでしょう…!まったく、図々しい女共め!大哥、お気になさらず!彼らは世の女共の代弁として、色男である大哥を〝ウルフ〞と呼んだのです!」
海「……?嫌だな。そんな呼ばれ方は…」
「お気になさらずっ!あれは世の女の一方的な願望の代弁に過ぎませんっ!…――願望を聞き入れるつもりがないのならば、〝無視して構わない〞のです!」
海「あぁ…そうか…――」
陽聖雪純「〝ウルフッ!!〞ウルフなのか?!」
「大哥っ!!聞き入れるつもりがないなら、その話題はスルーして良いのですっ!!それは返答不要の黄色い悲鳴の代弁のようなものなのですからっ!!」
海「久しぶりだねキミたち~!う~ん。瑪瑙以外とは半年ぶりくらいだったかなぁ?…――」
陽「ぅわー?!この人スゲェ勢いでスルーしてきたぁ?!結局中身はどっち~?!誰ー?!」
四人は『誰?!』と。…―すると海風の部下たちは流石に憤りを感じたのか、表情をしかめた。〝テメーらさっきから失礼すぎるだろうが?!〟と。…――だが海風は身を乗り出しそうな部下たちを〝いいよ。大丈夫〟と、そう言ったように片手で制した。そして海風はニコリとしながら四人に『今日のキミたちは面白い冗談を言うね。〝沙海風〟だよ。沙海風。…――まさか、本気で忘れた訳じゃないだろう?…――』と。だが四人は…――
四人「沙…海風(シャハイフォン)……?」
四人は〝え?何それ?〟と言ったようにポカンとしている。何と言うか彼の〝名前〟である。他でもなく、彼らが『誰?!』と言ったからである。だが四人は、聞きなれない中国語を前に、名前である事にさえ気が付いていないようだ。
四人は小声で『な、何の話だ?!』と。そして『本場の人だから発音良いだけじゃね?!〝シャハイ〟って〝シャンハイ〟じゃないか?!上海(シャンハイ)!』と。するど全員〝なるほどっ!?〟と納得する。そして『じゃあ“フォン”ってどういう意味だ?!』と。
聖「え?“フォン”って何の漢字スか?」
海「〝風〟だよ。〝風〟。」
四人「!!」
すると四人の中で、繋がった。
〝上海風!つまりその“風”、ミラノ風ドリアと同じ“風”じゃね?!〟と。
そして四人はまたしても小声で『え?どこら辺が上海風なんだ?!』『オレらが上海風なの?』『いや、上海風の定義が分からねぇ』『何を指して上海風と呼ぶ?』と。
そして海風は四人が連呼している〝シャンハイフウ〟と言う言葉を聞きながら、目を見張っている。
海「シャハイフウ?…」
聖「シャンハイフォンって“シャンハイフウ”ッスね~」
陽「日本語の音読み音読み~!」
すると海風やその部下たちがハッとする。〝中国の読み方と、日本語の読み方を組み合わせたのか!なんてオシャレなんだ!〟と。
海「それは、とてもオシャレな響きだね…」
四人「ん?…」
〝え?どこら辺が?〟と思っている四人。…―これはつまり、〝出身国以外の言葉を混ぜるとオシャレに感じるアルアル〟・チャイニーズ目線番の現象である。
『まぁ、気に入ったなら何よりッス~』と軽い調子の四人。…――だが少しして、それが上海風の話ではなくて〝彼の名前の話〟であった事に気が付いた彼らは、地味な罪悪感に見舞われる。だって彼らが〝シャンハイフウ〟の響きを気に入ってしまったようだから。もう言い出せはしない。〝その風の役割、ミラノ風ドリアの風と同じッス〟とは…――
因みに四人は彼の名前を〝上 海風〟だと思い込んだままである。彼は〝沙 海風〟である。
そしてこの頃にはいい加減四人は感じ取っていた。〝あ、この人入り替わりでも何でもなく、ご本人だな…〟と。その通りであった。
…――こうして両者四人組の前に、それぞれウルフと海風が現れたのだった。
そしてこの後両者四人組は、ある選択を迫られていく…――
…――バイクに跨がったままのウルフに、入り替わり雨神四人組は『飯でも行くか?』と、軽い口調で誘われる。
だが、ウルフの軽い口調とは反対に、四人は生唾を飲み込んだ。彼らは思っている。
〝っ?コイツらの関係って、こんなに軽いノリがアリな仲なのか?!…―いや、コイツは殺し屋組織、レッド エンジェルの末裔で幹部でもあったウルフだぞ?!こんな友達みたいなノリなんてあり得ないっ!友達みたいなノリで返したら撃たれるに違いねぇ!…―なら、接待すれば良いのか?…――〟
…――そしてその頃入れ替わりオーシャン四人組は、明日ここ(日本支部)で開かれる会議の為に本部から来たと言う海風に、『また、あの料亭に行きたいな!』と、笑顔で話されていた。
四人は〝ん?〟と思いながら、ニコッと笑った海風を眺めている。そして、ハッとする。彼らは思っている。
〝“連れて行って”アピールのスマイルじゃん?!いや、その料亭がどこだか知らないし、そもそも料亭って高級店だろう?どっから金出せばいいんだよ~?…え?経費で落としていいのか?お前らの事情知らねぇしさ~、手持ち金でどうにかなる店しか行けないんスけど~…!!〟
――これは入り替わり両者四人組に降りかかった、胃が痛くなるような展開であった。
次回、ハラハラドキドキのお食事会!そしてついに、クライマックスが?!⑤に続く!⑤は4/9中に公開予定!
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