ファン
71

フルーツロール

フルーツロール🍎です(*´∀`)🌹

名前の由来は、“その時食べたかったから”です。

どうぞよろしくお願い致しますm(__)m

小説は基本、ピカレクスロマン🔫の要素が強く、波瀾万丈な物語。そこから少しずつ、幸せを勝ち取っていくような物語だと思います🔫🍀

よろしかったら、フルーツロールの物語を、楽しんで頂けたらと思いますm(__)m

第十三回ブログで感謝企画🌸春のスペシャル版🌠⑤


第十三回ブログで感謝企画🌸春のスペシャル版🌠④の続きです。

【前回のあらすじ】
それぞれ入れ替わった体の持ち主たちの、目の上のたんこぶだと推測される人物と食事に行く羽目になり、胃が痛い思いの入り替わり両者四人組。さぁ、どうする?そして彼らは今回こそ、自分の体に戻れるのか?――


―――――*


〝上手く接待しないと、撃たれるに違いねぇ!!〟

さぁ、ウルフに『飯行こう』と誘われた入り替わり雨神四人は、一体ウルフとどこの店へ行く?…――

ウルフは近くのパーキングにバイクを停めると、改めて四人の元へと。そして『どこ行く?』と、やはり軽い口調である。

だが〝いやこのフットワーク軽い感じに騙されんなっ!撃たれるぞ!〟と四人。
…―そして四人は小声で話している。
『コイツらにとってウルフって、目の上のたんこぶみたいなものだと思うんだ…』『間違いねぇ。絶対そうだ!』『……なら“あの店”連れて行こう。“目の上のたんこぶ”が気に入っている店』『…お前…それもしかして、本部の海風の事言ってんのか??…』…――すると『ああ。』と言って黄玉が頷く。〝いや海風目の上のたんこぶて…〟と、吹き出しそうになるのを必死に堪えた他の三人だった。

そして四人は、体の持ち主である四人の立場を想定した上で、『良い店があります。ウルフ兄貴』『兄貴も気に入って下さるかと…――』と。
〝ウ、ウルフ兄貴?と言うか、なぜ敬語?〟と、ウルフは目をパチパチとさせているのだった。


W「あぁ…なら、そこに行ってみるか…」


〝何か違うな~〟と首を傾げながらも、四人について行くウルフだった。

そして『兄貴、ここです』と。ウルフはポカンと口を開けている。目の前には、風情ある立派な料亭が佇んでいる。


W「…いやお前らさ…オレ、ファミレス行くような、軽い気持ちで来たんだよね…お前ら絶対食い終わった後にオレに言うつもりだろう?〝ご馳走さま〟って」


それがちょくちょくあるパターンである。だが、流石にこんな立派な料亭ではそんな事を言われた事がない。と言うよりは、この面子で高級料亭など行った事がない。

だが四人は『そんな訳ないではないですか!』『オレたちは兄貴の為に!』と。


W「……まぁ、お前たちには苦労を掛けたからな。よし、オレが食わせてやるよ」


四人「ッ?!」


ウルフはそう言っている。だが四人は…――
〝騙されんな!!コイツァもしかしたら、オレたちを始末出来る理由を探しているのかもしれねぇ!頷いた瞬間、無礼な態度を理由に理不尽に撃ってくるに違いねぇ!!〟と…―。と言う事で四人は『何を言いますか、兄貴…!』『偉大なウルフ兄貴に喜んで頂きたく、オレたちは!』と。
ウルフは『いや気持ちだけで十分だから…金も大変だろうし…何だか変だぞ?どうした?』と。
四人は『金の心配には及びません。領収書きりますから』と。

〝その領収書の宛名は何処だよ?!〟と、ウルフは目を丸くしている。

――そして言った後に四人も〝あれ?うちの組織の経費で、エンジェルのウルフにご馳走するのだろうか?オレたちは…〟と、首を傾げているのだった。

だが今は、〝撃たれない為にもウルフを良い気分にさせないとならねぇ〟と、四人は『いいからいいから。兄貴、細かい事は心配なさらずに』と、そう言ってウルフを料亭の中へと連れて行ったのだった。

――こうしてウルフは四人に連れられて、日本食の高級料亭へ。
立派な座敷の個室からは、花々の咲き乱れる日本庭園が覗いている。

〝オレ…接待でもされんのかな…??〟と、終始開いた口が塞がらないウルフであった。


――そしてその頃、海風に〝あの料亭に行きたいな〟と言われた入り替わりオーシャン四人組は…―

〝あの料亭てどこ!?どうせ高級店だろう?!ダメダメ!!本部のチャイニ~ズ兄さん!!ワガママは許しません!!〟

純がスッとスマホを取り出し、画面を眺めながら『定休日ッスね~』と。調べたフリの嘘である。〝純!ナイス!〟と思っている他の三人。心なしか海風がシュンとしたように見える。そして『なら仕方がないね…』と。


海「どこか良い店はある?」


四人は顔を見合せ、小声で『どこ連れて行きゃいいんだ?ここ日本だから、オレらが案内してやらないと』『これファミレス許されないパターン??』『けど手持ちで間に合う店しか行かないからな?』『和食を食わしてやりゃ良いと思うぜ?』と。だがすると海風が『キミたちの行きたい場所でいいよ』と。
…すると、海風がそう言った瞬間『本当スか?!ヤッタ!』と、四人の“気を使わなくてはいけない”と言う配慮の気持ちが一気に吹き飛ぶ。海風がニコリとしながら頷く。すると四人は顔を見合わせ頷き合った後に、海風に正直に今の気分を話す…―


聖「行きたくなった場所があるんです!」


陽「何だかオレら、チャイニーズの兄さんと会ったら、あの場所に行きたくなっちゃいまして!!」


海「言ってごらん。そこに付き合うよ」


聖陽雪純「〝横◯中華街!!〞」


海「っ…――あぁ…想定外だったぁ…」


配慮の気持ちが吹き飛んだ瞬間、どうやら彼らの思考は〝中国から来てくれてんだから、和食の店に案内してやろうぜ~?〟から〝お兄さんと一緒に、チャイナな気分を味わいたくなっちゃいまして~!!〟に、変わったらしいのだ。
中国から来た仲間の幹部を日本の中華街へと連れ出して、より自分たちがチャイナ気分を満喫する為の必要な要員になってもらうという、まさに配慮の“は”の字もない、自分たちの願望の為の無遠慮で斬新なスタイルである。神経の図太い提案だ。

こうして、心なしか先程よりもシュンとしているように見える海風を連れて、四人は中華街へと足を踏み入れた。

『お兄さんお兄さん!どれが本場の味に近いスか?!』『オレも知りた~い!』と、彼ら四人は本部の海風幹部を立てるどころか、逆にお世話になっている始末である。海風が振り回されている。
『いやホント、土産買うなら兄さんが“コレ!!”って言ったヤツを買って帰りたいです!!』『“チャイニーズの兄さんが本場の味”って言ってたって言うだけで、土産貰った日本人、数倍喜ぶんで!!』と、なぜか海風は日本に来てまで、日本の中華街で日本人への土産選びに付き合わされている。


海「あ~……すごいねキミたち…幼馴染みで仲が良いって言うのは知っていたけど…男四人揃うと、こうなっちゃうの?…」


四人「ん?」


〝え?何が?〟と言ったように、甘栗の袋を片手に、それを食べ歩きながら振り返る四人。


海「…男子校の…修学旅行生みたいな元気さだね…驚いたよ~…歳はオレと同じくらいなのに…キミたちって…すごく若いんだね~…」


四人「………」


〝オレらコレ、サラッと引かれてないか?!〟

四人のはしゃぎぶりに、やや海風が引いているようである。
修学旅行生と引率の先生のような温度差である。
だが彼らは〝敵の体と入れ替わってる今がチャンスだ!!中華街でどれが本場の味なのか、敵のチャイニーズお兄さんから聞き出してやる!!こんな機会、なかなかねぇ!!〟と、スーパーポジティブ野郎共である。
〝敵の情報が欲しい〟と言う、彼らの願いを聞き入れて入り替わりを起こした流れ星も、ガッカリとしている事だろう。〝収集するべき情報は、本場のシュウマイの味情報じゃないだろう!!〟と。


――そしてその頃あちらでは、料亭を出たウルフと入り替わり雨神四人組が、夜の街を歩いている頃だった。

するとその時『そこの兄さんたち、寄っていきな』と、声が掛かった。
〝何かのキャッチだろうか?こういうのは無~視〟と、振り返らずに歩き去ろうとする。
だがすると先回りされ、サッと先程の声の主が目の前に現れた。
〝わっびっくりした!〟と、目を丸くしている五人。
するとその者が『手相を見てあげるよ!』と。
〝はい。無~視〟と、また去ろうとする。だがそこで、瑪瑙が気が付いた…――


瑪「あぁ!この人知ってる~!普通だったら予約2ヶ月待ちの人気の占い師~!〝果巻の母〞ー!!」


〝いや果巻の母て…ま、まさかそのまんまの意味?…〟と思っているウルフ。さておき他の四人も振り返る。占い師は『ちょうど予約のキャンセルが出てね』と。


瑪「やった~!ラッキー!手相見て下さ~い!」


黄「おいお前、その手相(陽介の)見てもらって、どうする?……」


瑪「ッ?!…――」


〝そ、そうだった?!オレの体じゃないっ〟と、瑪瑙はガックシと肩を落とした。
だが占い師は『さぁ、こちらへ』と。
瑪瑙、黄玉、黒曜、灰簾、四人は〝はぁ~〟とため息をついた。そして瑪瑙が、ポンとウルフの肩を叩く。


瑪「はぁ~…譲ってやりますよ。兄貴…アンタ自分の体っしょ~?」


W「ん?!自分の?!…いやオレは別に…」


だが『はい。お兄さん毎度あり。こっちこっち~』と、ウルフが手相を見てもらう羽目に。ウルフは占い師へと、サッと手を見せる…――


「…――うん。どれどれ。…――う~ん。アンタ…不器用な男だねぇ~。アンタ素直じゃないのよっ!!もっとスキスキ甘えれば良いのよっ!!まっったく!!」


W「え、あ、ちょっ…あの、止めて下さい。恥ず…――言わないでくれ…!!…コイツらも聞いてるからっ……という、何だかオレ怒られてる~…!!…」


「不器用っとにかく不器用!!…―うん。今の彼女大切にしなね?!アンタそれ以外の結婚線、先にはないよ!?逃げられたらアンタ大変よっ!!」


〝ちょっホント恥ずかしいから~……〟と、片手で目を覆っているウルフ。


「…アンタ何だか、自分の殻に籠っちゃってるところがあるのよ!!…ホントのアンタ、もっと自由な人なのっ!!」


『ホラ!頑張りなさい!』と、パン!と手を叩いてくる占い師。〝いや痛いから!けど当たってる~!〟


――そしてその頃、中華街では陽介が『中華街来たなら手相っしょ!!』と。


純「おい、その手相(瑪瑙の)見てもらって何になる?…―」


陽「っ?!そうだった?!ぅわショック~……はぁ…譲ってやりますよ。チャイニーズ兄さん…あんただけだもん。自分の手相見てもらえるの~」


ため息をつきながら、ポンと海風の肩を叩く陽介。
そして海風は〝いや別に…〟と思いながらも、『はい。オバチャンこのチャイニーズ兄さん見てあげて~』と、半ば強制的に陽介に椅子に座らせれらた。仕方なく、海風は占い師に手を見せる。


「はい。初めまして。〝果巻の婆〞です。…――どれどれ…――うーん。アンタ……人たらしだねぇ~。アンタって善意で人に親切にしても、周りから人たらしみたいに見えんのよっ!!何でだか分かる?!まっったく…――」


〝何だかオレ怒られてる?〟と、ポカンとしている海風。


「アンタが仮面被っちゃってるからだよ!!裏があるように見えんのっ!!周りがホントのアンタ、どれだか分からないの!!」


『ホラ!損するのアンタだよ!頑張りな!』と、パン!と占い師が手を叩いてくる。そして『アンタこの結婚線の人が一番いいよ?!誰だか分かる?!ん?!しっかりしなさい!!女の娘そのうち怒るよ?!…――あ~、で、アンタ今の仕事、合ってないよ!!』と、半ば説教のような勢いである。そして陽介たちは〝敵さん仕事合ってないんか~い!?…マフィアの兄さん!!〟と、何とも言えない気分で海風を眺めている。

そしてやはり見ていた陽介が『オレもやりたかった~』と。
すると占い師のオバチャンがバッと陽介の…―と言うよりは瑪瑙の手を掴んで掌を見始めた。すると『う~ん。あら、コレあんたの手じゃないんだわ!!残念!!』と、サラリと本当の事を言っている。サラリと言われすぎて『あ~、なるほどそうですかぁ』と、さも当たり前のような顔をしながらウンウンと頷いている五人だった。
そしてどうやらこのオバチャン、見える人であったようであり、『中身のアンタも体の方も優しい人なのよ!!けどちょっとタイプ違うの!!中身のアンタは太陽みたいな人なのよ!!ちょっと鬱陶しいくらいの!!体の人は陰りもするけど、基本は明るい月みたいな人なの!!体の人の方がナイーブなのよ!!中身のアンタは反対に図太いのっ!!ほぼ傷付かない!!入ったついでに体の人に図太さ分けてあげな!!もう!!』と、体と精神を別々に鑑定してくれている。だいぶスーパーな霊能力オバチャンである。そして五人は『あ~、なるほどそうですかぁ』と、やはりまだ、さも当たり前のような流れに呑まれて頷いている。


「チャイニーズ以外の四人!アンタら、いつ自分の体に戻るの!まったく急ぎなさい!!中華街で遊んでいる場合じゃないでしょうがぁ!!」


四人「あ~、やっぱりそうなりますかぁ」


〝え?なに?なんの話?〟と、海風が目を丸くしている。


「チャイニーズにシュウマイ食べ比べさせて、土産選んでる場合じゃないでしょうがぁ!!」


四人「あ~、お見通しスかぁ。スーパーなオバチャンッスね~…」


『もう!早く戻りなさい!』と、オバチャンからの説教は続く。だがそもそも〝いやどうやって戻るん?!オバチャン?!〟と、素直に説教食らっていた彼らは、我に返りそこにたどり着く。〝オバチャン普通に言い過ぎだろう?!〟と。


「原因は、〝流れ星〟だろう!!」


四人は〝へっ?〟と言って一瞬目を丸くする。…――だが少しして、四人の中で今の現状とあの流星群の夜が結びついた。


四人「そう言う事かぁぁ~?!」


正直、あちらの四人組は、オバチャンの助言なしでも薄々気が付いていた事である。

…――その時オバチャンが『ん?〝来るよ〟』と。『な、何がスか?!流れ星スか?!』と四人。

すると流れ星ではなく、次の瞬間『見つけたぁ!オレの体を返して貰おうかぁ?!』と、ウルフを連れたまま、入り替わり雨神日本支部四人組がやって来た。

入り替わりオーシャン四人組は『あ~?!オレの体ぁぁ~~?!』と。

『なぜここが分かった?!』『向こうのオバチャンの助言だー!』『オバチャン有能だわ~…!…』…――さておき、入れ替わった両者四人組が対面した。

そしてウルフと海風も対面した。
〝あ~?!一番会いたくなかった奴~?!〟と、ウルフは眉尻を下げている。だが、こちらの気も知らずに海風が笑顔で小さく手を振ってくる。〝いや~…コイツ人を怒らせるの上手だわ~…〟と、思わず苛っとしているウルフだった。
すると海風がニコリとしながら隣にやって来て『これどうなってるの?』と。ウルフは『さぁなぁ。入れ替わってるらしいぞ。GWの行事ってところか~?まだ少し早いがな』と。

そして対面している両者四人組は…――


陽「瑪瑙!!早くオレの体を返してくれ!!今すぐ返してくれたなら、お前の体にオレの図太さを、ちょこっと残しておいてやろう!!」


瑪「えっ?!それって今がお得って事?!いつまでに体返せばソレ貰えますか?!ほしいです!!…――返す返す!!今すぐ返すから!!で?!どうやって返す?!」


雪「灰簾オレの体返してくれないか?お前のパソコンでエ◯動画見るの、落ち着けねぇんだ!何だか遠慮しちまって!…オレは自分の体に戻りてぇんだ!!」


灰「お前人のパソコンで何してんだ?オレはお前のだらしない異性関係を整理してやっていたと言うのに…!お前はオレのパソコンで◯ロ動画見てたっていうのかよ!ガッカリしたぜ!さっさとオレの体返せー!!」


聖「わっ?!びっくりしたぁ?!黒曜、何でお前オレの顔にハイクオリティゴシックメイクしてんの?!オレがいねぇと思っていたら、この個性強い人がオレだった~?!」


黒「っ?!なぜ…なぜキミはオレの事をスッピンで歩かせている?!止めてくれ~!!ま、まさか入り替わっている間、ずっとスッピンで組織内を歩き回っていたのか?!悪夢だっ…―!」


純「オレの体、寝起きとか大丈夫でした?黄玉の体、めちゃくちゃ朝起きやすかったッス。あまりイライラもしねぇし。あ、心配しないで下さい。体はお返ししますんで!」


黄「初日の朝は地獄であった。危うく瑪瑙と灰簾を殴るところだったぞ。恐ろしい体だ…さっさと返したい。まぁ、コクの料理のお陰で、お前の体調は随分と良くなったがな。お前は自分の体質の為になる食生活を心がけろ。そしてオレの仲間には、感謝する事だな」


――するとやはり『睨み合ってないで早く戻んなー!!』と、オバチャンが声をかけてくる。
〝いやこの後が問題なのっ!!どうやって戻るの?!〟と八人苦笑である。

そしてその頃ウルフと海風は『あれ早く元に戻らねぇかな…――』『ずっとあれじゃ困ってしまうね…――』と、何気なくそんな事を話しながら、甘栗のシェアをしている。

そして、あちらではやはり『オレの体返せ~!』とワチャワチャとしている。


灰「お前ら分かってんのかよ?オレらの体で中華街で土産買ってはしゃぎやがって。元に戻った瞬間、そのシュウマイはオレらのもんだぞ!」


雪「はぁ~?!オレらが買ったのにそれはね~よ!!まぁお前の金で買ったけど~!」


灰「今体返せば、シュウマイお前にやるよ!だからさっさと体返せ!!」


雪「うわ、今返せばシュウマイついてくるって?!お前商売上手かよ~。今すぐに体返して~わ!」


『あれ埒があかないね』と、眺めながら頷いている海風とウルフ。

…―だがするとその時、再びオバチャンが『〝来るよ〞!』と。『今度は誰がスか?!』と問う。
――だがすると次の瞬間、〝流れ星〞が流れた。


「ホラ!入れ替わった時どうやったの?!」


陽「ラリアットかます勢いで、“ォラ!!〟の一言に皆一緒に同じ願いを乗せたら、こんな事になりましたー!」


瑪「うちはエルボーでーす!!」


すると『それだぁ~~!!』と一同。〝そうかその方法で、流れ星が消える前に3回願う事を可能にしてしまったせいだったんだっ〟と皆気が付く。…だが〝いや入れ替わりなんて祈ってねぇ!〟と。…――だが、純と黄玉が黙り込み、じっと何かを考えている。〝あれ?まさかオレが敵の情報がほしいと考えていたせいか?〟と。その通りである。そして〝ッ入れ替わっていたのに、敵側について何も調べていないっ!!〟と、今更気が付く。入れ替わりパニックで、そんな事は頭に浮かびはしなかった。

…――すると黄玉が『待てお前たち。生かしてはおけない。オレらの体を使い何の情報を得た?』と。『へ?』と言って目を丸くする入り替わりオーシャン四人組。そして、得た情報を正直に話す…――


陽聖純雪「〝酔った瑪瑙の体がキス魔〞!!」


黄「っ…それは…――」


瑪瑙が『え?!え?!』と言いながら、目を丸くしている。すると黄玉が『それは瑪瑙のアホが、すまなかったな……他は、何か情報は…』と、調子を狂わされながらも問う黄玉。すると…――


陽聖純雪「〝エ◯動画検索するだけなのに!黄玉の体で指を構えると、ピアノを弾き始めるかのような気品が漂う〞!!」


黄「っ…―?!……」


何かショックであったのか、目を見張ったまま黄玉が固まった。他の皆が視線が、純の体に入った黄玉と、純の入った黄玉の体を順番に見比べる始末である。…――すると戦意を喪失したのか、黄玉が『もう、いい…早く、体を返してくれ…』と。どうやら見逃して“生かしておいて”くれるらしい。すると純が慰めようと、善意で黄玉に『気にすんな。大丈夫だ。その話をしたら、翠玉が腹を抱えて笑ってたから。良かったな。親密になったぞ』と。『お前は翠玉に…そんな話をしたのか…親密に、だと?大きなお世話…――いや、必要のない世話だ…』と、そう言いながら絶望し、黄玉が後退りをしている。『もう止めてくれっ…!うちのオウをイジメないで下さいっ!』と、思わず幼馴染み三人が割って入るのだった。

――だがさておき一同は、〝敵側の情報を探り放題〟であったという事に、今更気が付いた。…―さぁ、このまま本当に、体に戻ってしまっていいのか?…――


八人「情報?…は?…いや、もう、戻りたい…」


もう懲り懲りである。〝この体を使い、敵側の情報を!〟などという気力と元気がある者など、もういないのだった。更に海風が『明日会議だから!瑪瑙たち、早く体に戻って!』と…―現実的すぎる一言である。『戻るから!今すぐに!』と、全員、同じ思いだっただろう。…――瞬間、偶然流れ星が流れた――
すると、両者四人、見えている視界が、一気に逆になった。先程まで自分の体と睨み合っていた筈なのに、今は“敵”と睨み合っている。

自分の手を見て体を見て、その体が〝自分の体〟である事に気が付いた。…――そう、ようやく自分の体に戻れたのだ。

オーシャン四人組とウルフは、歓喜の声を上げて、包容し合って喜んだ。

…――だが、こう無防備に喜んでばかりもいられない。目の前に敵の幹部たちが勢揃いしているのだから。五人は生唾を飲み込み、雨神の幹部たちを見据えた…――

だがすると海風が『一旦休戦。ね?…―』と、そうクスリと笑って話してくる。その片手で瑪瑙の肩を叩き、そうして自分の味方側にも言い聞かせるようにしながら。
…――人で溢れ返っている中華街を眺めてから、瑪瑙も海風に頷いて返す。どっちにしろ、こんな場所で揉め事など起こせはしないだろう。
――するとウルフも『オレたちも今は争いたくない』と。他の四人も頷いている。…――こうして両者五人組は、この夜は休戦とし別れる事になった。

『ほら約束の』と言いながら、灰簾や他の三人も雪哉たちに中華街で買った土産を返す。『あ!サンキュ…』と、“何だか変な気分だな”と思いながら土産を受け取る四人。


W「あ、純、お前の財布の中に入ってる領収書、彼らにお返しして」


純「あ?…あ、これか。はい。どうぞ。」


黄「…――覚えてろよ…お前たち…――」


料亭の領収書を彼らにお返しする五人。すると黄玉が財布を取り出し、『ほら』と領収書分の現金を純へと返した。
〝何気に雨神律儀だな?!〟と目を丸くしているオーシャン四人。
そして海風は領収書を覗き込みながら、心なしかシュンとしている。〝…アレ?オレの行きたかった店の…〟と。

そして聖と黒曜は、なぜか握手を交わしていた。そして『あ、桃廉さんにクレンジングオイル返しておいて?』『?…ああ。わかった』と。

陽介は瑪瑙に『約束通り、ちょこっと残しておいてやったぜ!図太さ!』と。瑪瑙は『ありがとう~!大切にとっておくよ!』と、そう言って可笑しそうに口元を綻ばせる…――。そして瑪瑙は愛想の良い笑顔を作りながら、陽介たち五人に手を振ってみせた。
――雨神五人組は、この場所から翻して去って行く…――

そしてオーシャンの四人は…――


『…嫌になるほど、愉快な夜だったぜ~…』


――いつかの夏の夜と同じ言葉を吐きながら、ウルフと共に、中華街の奥へと見えなくなっていく、雨神の彼らの背中を眺めていた。

そして彼らの背中が完全に見えなくなると、手相占いのお婆さんに礼と挨拶をしてから、彼らもこの中華街から去っていくのだった。
『GWには、まだちょっと早いって…ホント勘弁してくれよ~…』と、あの星を見上げて話しながら…――



【第十三回ブログで感謝企画🌸春のスペシャル版🌠END】


皆様いつも、本当にありがとうございます!また十四回と本編でお会い致しましょう!ありがとうございました🌠

コメント

ログインするとコメントが投稿できます

まだコメントがありません