きみを捨てるにはもってこいの日

作者井関和美

新藤拓海(しんどうたくみ)、二十四歳。
二歳の頃、母親と思しき女に養護施設へと置き去りにされた後、
天涯孤独の身と右肩に残る古傷をセックスアピールにするNo.1ホストとして
何不自由ない生活を送っていた。
そんなある日、拓海が勤めるホストクラブ『Full Moon』に一人の青年が尋ねてくる。
青年…

新藤拓海(しんどうたくみ)、二十四歳。

二歳の頃、母親と思しき女に養護施設へと置き去りにされた後、

天涯孤独の身と右肩に残る古傷をセックスアピールにするNo.1ホストとして

何不自由ない生活を送っていた。

そんなある日、拓海が勤めるホストクラブ『Full Moon』に一人の青年が尋ねてくる。

青年の名は、佐嶋智広(さじまちひろ)。

日本有数の企業・佐嶋グループの二代目社長である智広は、拓海を見るなりこう言った。

「兄さん、迎えに来たよ」

「僕の幸せは、兄さんの犠牲の下で成り立ってる。だから、返しに来たんだ」

自分は弟なのだと言い、連日のように押しかけてくる智広の存在を煩わしく思う拓海。

だが、智広にはそうせざるを得ないある秘密があった……。


過去の思い出を何一つ持たない兄と、

ありあまる過去と未来を手渡そうとする弟。

違う世界で別の人生を辿ってきた二人の兄弟の行く末は……?


(完結作品)