ふがいない僕が捧げるメリークリスマス

作者森山満穂

クリスマスイブの夜、僕は憂鬱な気持ちで机に向かっていた。その理由は、7年前のクリスマスイブに出逢った女の子・エマとの約束が関係していて……。
これはどうしようもなくふがいない、僕の物語。

※。.:*:・'°☆


 書きかけの小説が、腕のなかで暗がりに横たえている。渡せなかった一節は、時間に託つけて踏み出さなかった罰なのだと云わんばかりに素知らぬ顔してクリスマスイブの聖歌を歌っていた。完璧なきみには似合わないほど不恰好で、不器用すぎる僕の物語を、きみは知るよしもない。


※。.:*:・'°☆