不幸せではない。しかし幸せでもない。
自分は不幸ではない、そう言い聞かせながら息をするのも苦しく毎日を過ごす美音。
そんな彼女を取り巻く環境は、様々な出会いで少しずつ、変化していく。
降り続ける雨の中、彼女がその先へ一歩強く踏み出すために、雨隠(あまがくれ)できる場所を見いだしていく、そんな物語。



降り続ける雨は、私の体温を奪い、呼吸すらも危うくしていく。



自分は不幸じゃない。だけど、幸せでもない。



彼女が悪いわけじゃないのに、彼女を嫌いだと思う自分がいる。その事実が、自分がどれだけ酷い人間なのかを物語る。



苦しい。まるで、体内の酸素が少しずつなくなっているかの、ような。



ザアザア、コポコポと耳元で囁く雨の音。



体を自ら抱き締め、目を伏せる私に傘を差し出してくれたのは、貴方でした。





この作品に登場する人物、場所などはすべて架空のものです。



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