葬儀屋の令嬢、アイリーン・アダムズは彼女に関わった者がことごとく不幸になるという噂話から、『死神令嬢』と呼ばれ恐れられていた。


ある者は財産を失い、ある者は罪を暴かれ、またある者は恐るべき事件に巻き込まれ​、と噂話は後を絶たない。

皆それが単なる噂ではなく、真実であると思い、彼女に近づく者はほとんどいなかった。


​───────というのがアイリーン・アダムズ令嬢に関する一般的な通説であり、嘘偽りでもある。

実際の彼女は本を愛し、叔父とちょっと見た目が派手な従者と仲良く暮らす、ごく普通の、ただ少しネガティヴで事件に巻き込まれやすいだけの、ただの少女である。



彼女が、「本当の死神」であるということを除いて。