今から出るから、そこで会おうよ

作者木村

超美形俳優として知名度が高い五六 一二三(ふのぼり ひふみ 通称:シナシ)には、バイセクシャルであることを公表したときから週刊誌にすっぱ抜かれ続けている相手がいる。それはシナシの幼馴染、占いライターで生計を立てている谷崎 晶(たにざき あきら 通称:あきら)だ。
しかし二人の関係は恋人ではなく、親…

超美形俳優として知名度が高い五六 一二三(ふのぼり ひふみ 通称:シナシ)には、バイセクシャルであることを公表したときから週刊誌にすっぱ抜かれ続けている相手がいる。それはシナシの幼馴染、占いライターで生計を立てている谷崎 晶(たにざき あきら 通称:あきら)だ。

しかし二人の関係は恋人ではなく、親友である。シナシにとってあきらは演技以外の涙を見せられる唯一の相手、あきらにとってシナシはある負い目から、決して見捨てられない相手だった。彼らは互いを「なあ、今から遊びにいこうよ」と誘い出す。それが昔からの彼らの合言葉だった。

しかしシナシは有名になるにつれ、日本というフィールドが狭く感じられるようになる。彼が移住を決断したとき、彼らはいつものように酒を飲みながら、最後の言葉を交わし合う。

「知らなかったかもんないけどな、俺はお前が一番大事だよ」

少し距離が近い幼馴染同士のブロマンス短編集。