後藤寿宏は迷っていた。内定をもらった会社は、どうやらブラック企業として悪名高いところらしいのだ。どうしよう。優柔不断な寿宏は、バイト帰りに見慣れない店の前で立ち止まる。アンティーク調の喫茶店、『黄昏古堂』作務衣姿の店主に誘われるまま、寿宏は足を踏み入れる。