人間はなんと哀れなのだろう。
そう思う日々だった。
周りを見渡せばほら、あの人も。あっちの人も。
誤って道を外れてしまった人がちらほらいる。
夜、歩いていれば裏通りで鈍い音が聞こえてくることはごく当たり前になっている。
それに気付きながらも素通りする人々。
店の看板のライトなど人工的に作られた光で明るく照らされた繁華街と人々。
私は思う。
"何処にも本当の光など存在してはいない"
明るい様で暗い。闇。
口元で浮かべる笑みも涙も全て偽りに見えてしまう。
光を求めて天に手を伸ばすも届きはしない。いつになればこの手で掴めるだろう。一年後?十年後?…それとも一生来ないのだろうか。
それでも私は信じて手を伸ばす。
でないと崩れるから。人間は弱い生き物だから。
私はまた暗闇に姿を消した。
この話はフィクションです。暴力的な場面も出てきますからご了承ください。飲酒や喫煙などは法によって未成年には禁止されております。