嵐の夜の恋愛奇談 ~彼にはみえない~ special episode 

作者橘 弥久莉

彼にはみえないシリーズ特別編。嵐がつばさと出会う前のお話。考古学女子が恋に落ちたのは、中学生の嵐でした---。嵐の初恋。

「立てる?」



長身の体をかがめて、彼が手を差し伸べた。



「ありがとう」



大きな温かい手に引かれて、私は立ち上がる。



「オレのこと---- 覚えてない?」



初めて会うはずの、彼の言葉。



ワケもわからず、顔を見上げた。



切れ長で真っ黒な、澄んだ瞳、



形のいい唇は優しく弧を描いている。



少し長めの黒髪は風でキレイに流れて



日本的な面立ちを一層惹きたてていた。




-----あなたは、誰?------





彼の瞳に、微かに映る私の姿を見つめていた。




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神崎 嵐・・・・霊能力一族21代目当主。


        東山第二中学校3年生。




※この物語はフィクションです。


 お話に登場する学校名や団体名は実在しません。


※性描写あります。