紅、私はもう行くよ。


君に泣かれようと何だろうと、行かなきゃいけないんだ。


村の人がいるから、ね、独りぼっちにはならないだろう。


……今まで肌身離さず持ってきたものだけど、これを、君に預けるよ。必ず、返しておくれ。


心はいつだって、それに宿って、君と共に在るから。




さようなら、紅。


  



著:宇月未咲