知佳
“おとな”と“こども”
青いにわとりという、少々奇抜で不思議なタイトル。読む前と読後ではまた感じ方も変わり、なんともうまく物語の主軸を表しているな、と舌を巻くばかりです。
私自身はまだハナとタイチの年齢には達していませんが、“おとな”と“こども”の間で揺れている感覚にはとても共感しました。
是非私のような年代の人にも読んでもらいたいなと思いました。
また、出だしこそ少々驚きましたが、読み進めるうちに構成力の高さを感じ、短編小説ながらどっしりと、それでいてテンポが良いことに読んでいて気持ち良かったです。
これはもう作者様の技量に脱帽でした。
おとなとこどもの狭間という難しい時期の、葛藤や見えない未来への不安という気持ちを、本当にリアルに描いていたと思います。読んだあとの胸に染み込んでいく感覚、一歩前に進もうという気持ちになれる温かさ。
この温かさの中にあるほんの少しの切なさが、物語全体の雰囲気を尚良くしていたのではないでしょうか。
もうお腹いっぱい、大満足の作品です!
素敵な作品をありがとうございました。