NOEL

言葉足らずなおとながキモチを伝えるために行う、ごく自然な手段
序文だけでタイトルの意味がなんとなく掴め、けれどもその言葉に至るまで何があったかが知りたくなるためおもわず引き込まれてしまいました。


ストーリー的には社会人の恋愛であり、カズトや大上がする、学生の私には決して出来ないおとなの振る舞いや行動に戸惑いつつも、

主人公であるシオリはこどもらしさが残ったおとななので共感しながら読む事ができました。

また、仕事内容の詳細や、それを通して芽生える感情。序盤で何気なく出てきた付箋が後の展開に大きく関係することから、かなりの完成度の高さが伺えます。



言葉足らずな人間はくさるほどいるけど、おとなになればそれはただの欠点にしかならない。

しかし、だからこそ、大切な相手に正面からぶつかり、想いを伝え合える。

その手段が、こどもには大事なものに感じられるキスであり、おとなになるとキスは日常の出来事になり、寂しくも"成長した証拠"となってしまう。

それはなんだか切ないけれど、"伝えたい"から行動する事が、おとなには、まさに呼吸をするぐらい当たり前なのだと、少しだけおとなの世界を知れた気がします。