麻井深雪

鎮魂歌
世界で一人の生き残りかもしれない少女が、他に生きている人間を探す旅を続ける物語。

最初は孤独な物語だと思っていたので、アンシーが仲間になったことは嬉しい驚きでした。

シリアスな魔物達の生前エピソードに対し、魔物達とのコミカルなやり取りが重くなりがちな空気を緩和し、楽しい気持ちにさせてくれます。

文章力、情景描写は文句なしに秀逸で、魔物の生前エピソードへの切り替わりの自然さや、戦闘シーンでの臨場感は本当に見事でした。
まるで文庫本を読んでいるような読みごたえと満足感を得られます。

スプーキーのエピソードでは特に泣かされました。
動けないはずの子ども達が次々に立ち上がったシーンではもう号泣でした。

ラストのどんでん返しもすごく良かったです。
感動の嵐でした。

章が音楽の題名になっていて、その曲で魔物を鎮めるという設定もよく練られていて素敵です。

個人的にはオリベの「生まれるれる時は周りが笑って自分は泣いていたのだから、死ぬ時は周りが泣いて自分は笑うべきだ」という台詞に深く感銘を受けました。

本格的ファンタジーを読みたい方におすすめです。