13世紀イタリアに、
「悪魔」と呼ばれた王様がいた。
※史実を参考にしていますが、これはフィクションです。
※いないとは思いますが、引用/転載は禁止です。
- 最終更新日
- 2013/08/18
- 作品公開日
- 2011/10/04
- ページ数
- 完結 143ページ
- 文字数
- 69,348文字
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作品コメント
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- 緑茶
人の欲と善と悪 恥ずかしながら13世紀のイタリアを知りませんが、そんな知識は必要ありませんでした。史実に基づきながら完全オリジナルな物語です。 宗教戦争の真っ只中に生まれたシチリア王。権力という魔物に憑かれた教会に翻弄されながらも己の信ずる道を行く王に涙を禁じ得ません。 彼を支えた女性も素晴らしい。彼の根を作った母。彼を理解した妻。彼に平和の道を説いた後妻。 彼女達が居たからこそ、彼は異なる宗教同士が手を繋ぐという偉業に辿り着けたのだと思います。 正直に申せば、もう少し膨らませても良かったのかなと思いました。展開が早く、主人公はあっという間に大人になってしまいます。 個性的なキャラクターを揃えながらエピソードが少なく次々話が進んでしまうのが勿体無い! 前妻との結婚生活、教皇になった先生はシチリア王に何を思っていたか、息子達は父をどう感じていたか等サイドストーリーが気になる所です。 “宗教戦争”という難しい題材ですが、王たる者皆シチリア王の様な思想を持てば彼が目指した世界が訪れるのに、と考えさせられる素晴らしい作品でした。色んな方に読んで欲しいです。
- 芙佳
軽妙なのに深い!歴史物(しかも世界史って新鮮!) 歴史物がチョー苦手な私ですが、登場人物たちの台詞の面白さに助けられ、 読破という偉業を達成。←大袈裟かつ失礼。 読んで良かった、が率直な感想。 手紙と台詞で状況を読ませるという、形式的にも面白いと思ったし、 軽妙に展開していく簡潔な文章ながら、描かれているテーマの深さに考えさせられるものがありました。 宗教戦争は本当に根深い。大昔のシチリア王や王妃が刻んだ『最初の一歩』から、現代はどれだけ進めたんだろうかと思うとちょっと複雑。 名言ありすぎの本作より以下、お気に入りを抜粋。 『そんなわけで、夜は頑張りたまえ。若いんだろ?期待しているぞ』 エピローグの日本人観光客のブログも好きです。ぐわわっと現代視点に引き戻される面白さ。
- アイリス(yuki)
本当の悪魔は誰? 史実に基づくストーリーに作者さまらしい味付けがされていて、軽快なテンポの会話を読むうちにすっかり取り込まれしまい、計算された文章力にはシェークスピアを思い出しました。 当時キリスト教圏内では、敵である異教徒と親しく交わる事を禁じられていましたが、その状況下で破門をも恐れずエジプト王と友情を深めたシチリア王の勇気ある生き方には感動しました。 中世の十字架軍や教会の権威などに興味のある方には読み応え十分の作品だと思います。 宗教戦争は今も続く難問ですが、神の名の下で戦いの犠牲になった多くの民。 この陰謀の首謀者は誰だったのか? 操られる事なく、生涯己を貫いたシチリア王と妻の献身的な愛と儚い死、今の世の中にも通じるものがあると思います。 力作でございま~す!どうぞお読み下さい。 再レビューさせて頂きました(汗)