貪欲な仕手戦が蠢く魂が鎮座している兜町。半世紀を過ごした歴史の中、独特の生活風習や秘話。武将達の悲喜劇のドラマを餓鬼大将の人生を通じて知って戴きたい。

はじめに兜町の象徴だった証券取引所の株式売買立合場が、平成十一年四月、百二十年の歴史に幕を閉じた。


此の立合場の閉場はGHQ指令の空白時代から再開された昭和二十四年五月十六日以来幾多の買い占め劇や莫大な資産を稼ぎ出す人や、判断の失敗で逃げ出し自殺した人等など多くの生臭いドラマが繰り広げられて来た所で、関係者を始めとし投資家の方々からも時代の流れとは云え強く惜しまれ寂しがられ、兜町独特の手サインで株式売買をしていた最高時、約一千五百人いた “場立ち達は完全に姿を消してしまった。


一時、空き家になった1800平方メ-トルの空間面積跡地だけがポッンと残り、再利用案にはビャホ-ルかダンホ-ルにしたらどうかと耳を疑う“ 珍案” まで飛び出した結果、現在既にテレビや広報等でお馴染みの近代設備機能を整えた新世紀のシンボル・アプローチマーケットセンター “ 東証アローズ” として姿を顕している。