10th泣けるラブ用にシュールに改訂した作品です。超絶サイコパスな神埼組の若頭と男性恐怖症のヒロインの物語。
- コメント–
- スタンプ11
- しおり106
それは、極上の容姿から放たれた、氷の様に冷たい眼差しだった。
私が生涯で、一人だけ愛した人だったのに。
初対面は最悪だった。
「おい、お前」
「はい。何でしょうお客様」
ぶっきらぼうに声をかけ、煩わしげに私を見る。
「バイトを辞めるのを、辞めろ」
「は!!このお店、今日で閉店です。移転するんです、遠くに。だから、辞めるの辞められません」
艶々の綺麗な黒髪、白い肌。
長身大柄には似つかわしくない端正な顔立ち。
だから余計に、凍り付く様な冷たい感じと、王者の様な傲慢さを表現するのに『イエティ』が殊更似合って感じられた。
「そうか。じゃぁ、話は早い。黙って俺のものになれ。そしたら、好きなだけ贅沢させてやる。好きなだけ、カネを使え。望むなら、セレブな暮らしをさせてやる」
「えっ、困ります! セレブ、興味ありませんから。 あの私、高校生! 17歳なったばっかです。大人がコドモと付き合ったら……犯罪になるって知ってます?」
雪山から降りて来たばかりで、頭が正常に回ってないのかしら。
私、お弁当屋でバイトする高校生だよ。
人身売買される程、両親は貧乏だけど、おカネに困ってないし。
私だって、そこまで追い詰められちゃいない。
「あぁ、常識だ。安心しろ、俺も17だ、もうすぐ18になる」
嘘、学生?
本当かな……。
二十歳過ぎに見えますけど。
指摘したら、『老けてる』って激怒されたら怖いから言わないけど。
「……あの……そもそも」
「何だ?」
「嫌なんですけど!!」
「分かった。さっきも言った。黙れ、と」
「嫌です」
「良いから黙って俺のものになれ」
高校生にして都内一の実力を誇る極道の若頭をしている
サイコパスな冷酷若頭 神埼 静流
×
幼少の頃のトラウマを抱えながらも必死にそれを隠して生きる
一途で健気なおっとりヒロイン 田川 亜希
そんな二人の10年愛の物語(色んな意味で)
↑
毛虫さん事、@masso421様よりご提供いただきました。
孤独/巻き込まれ/独占欲/クール/愛され過ぎて/イケメン/トラウマ/切ない