幾夜は職場の書店で夢未という少女に出会う。夜中まで書店に残っている彼女を放り出せずに自宅まで送り、父親から虐待を受けていると知る。夢未と幾夜は本を通して交流を深めていく。児童文学に見る、想いを口に出すことの大切さ、世の中から得るためでなく与えるために生まれてきたと思うこと。幾夜の言葉に包まれ成長を遂げた夢未はいつしか高校生になっていた。ある日父に酷く殴られた夢未を幾夜はかくまう。電話口で夢未は返さないと伝えれば、父親は憔悴しきった様子で夢未を返すよう懇願する。父が心配でならなくなった夢未は幾夜の静止を振り切り、自宅に戻る。夢未のスマホから幾夜の居場所を割り出し、危害を加えにいくという父の言葉に戦慄し夢未はその背にピストルを放ち、気を失う。目覚めた夢未は二つの人格を持つ障害を患っていた。一時的に元の人格を取り戻し、病を抱えながら自活の道を探すという夢未に幾夜は自分のもとに来るように言い、口づける。豪雨のような非情な運命が止んだ束の間の今を、二人は噛み締めるのだった。
恋愛
- #切ない
- #青春
- #恋愛
- #児童文学
- #メリー・ポピンズ
- #赤毛のアン
- #みどりのゆび
- #書店
- #純愛