1話
佐藤風汰はさえない高二男子。人気者の親友、祐と思いを寄せる調理部部長、南と平凡で楽しい日々を送っていたが、ある日、母親に重度の肝硬変が発見される。風汰が亡き父親に助けを祈ると、夢の中、父親に似た男が現れ、風汰の体力消耗と引き換えに願いを叶えること、願いは取り消せないことを口にする。
迷わず母親を助けた風汰は体調を崩すことになるが、その不思議な力で人を助けられることを知り、その後も力を使い続けた。
体力消耗によりすっかり痩せた風汰は、美少女、菅田あかねから告白を受けることになるが、南への思いもあり、断ろうとする。そこで風汰への嫌がらせを危惧した祐は止めに入り、風汰が突然痩せたことを心配していること、南もそれは同様であることを口にする。
結果、風汰は二度とあの力を使わないことを決意する。
2話
あの力を使わなくなり、高三に進級した風汰。しかし、失恋した南のため、再度力を使ってしまう。南は思う相手と結ばれたが、風汰の体力はいっそう低下、病人レベルになってしまう。
高校を卒業した風汰は、通勤負荷の少ない地元の食品工場で働き始め、2年が経過した。そこで、祐が地元に残った理由、南が結婚を断った理由は、二人が自身を心配したためだと知り、絶望する。
風汰は、自身が幸せにならないと、側にいる人をも不幸にすることを知るのだった。
3話
やがて、風汰は27歳になった。祐は再度閉店危機を迎えた和菓子屋で働き始め、南は地元の建設会社に就職した。そんなある日、瀕死の状況の南を前に、再度あの力を使う決意をした風汰だったが、南に止められる。実は南も力を使った過去があり、それにより風汰の父親は死んでいたのだった。
泣き崩れる風汰の前、亡き本物の父親が現れ、風汰は人の為にのみ力を使用したため、神様に許されたことを口にする。
4話
風汰が目を覚ますと、高二の肥満体形に戻っており、高三の南の存在もあった。父親の言葉通り、全てが10年前に元通りになっていた。
母親の肝硬変と再び向き合うことになったが、風汰は医療知識をつけて母親を支え、治療費のために大好きだった調理部を引退、祐の和菓子屋でアルバイトを始めた。祐も調理部を引退し、和菓子屋で働き始め、結果、閉店の危機を迎えた際も復活を意気込むほど和菓子作りへの愛を見出した。
また、風汰は一度諦めた医者の夢を叶えるため、再度努力を試みる。
5話
さらに10年後。再び27歳を迎えた風汰は無事、医者の夢を叶え、祐は閉店した和菓子屋を復活させ、南は都内の大手食品メーカーに勤務していた。全てがうまくいったようだったが、再び南に死の危険が訪れる。
風汰は医者として南を救うことを決意する。
6話
手術は無事成功したが、助かる見込みは50%。南は目を覚まさなかった。風汰は南の手を握り、必死に祈った。
結局、南だけでなく祐も、風汰の側にいた理由は風汰の父親を死なせた罪悪感からだった。
しかし、風汰にとって、側にいてくれたことが嬉しかった。そのあたたかな思いは二人を癒した。
その後、南は奇跡的に目を覚まし、風汰は喜びに溢れる。
祐、南が風汰の側にいたのは、罪悪感からだけではない。やさしく人を癒す、らくがんのようなその存在に惹かれていたからに過ぎなかったのだ。