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2

イト

日々を編む

0310

0310
心斎橋iiieにて

本町で何をして時間を潰そうか悩む。別に難波でもよかったなとか思ったり思わなかったり。よく母と服を買いに行ったビルを見つけた。あそこのらんちが最高に美味しかったこと、祖母と三人で食べた時には私は黙って二人の話を聞いていたこと、祖母が酢豚を頼んでいたこと、私は何を頼んでいたっけ。そう言えば思い出せない。
結局商店街の喫茶店に入る。店員さんいなくて、手前に外国人たちが座っているのが目に入った。しばらくすると店員さんが出てきた。おタバコ吸われますかだって。見た目で聞いているのか、誰にでも聞いているのか。見た目で聞いているのだとしたらもう私は大人に見られるようになったのがとちょっと誇らしくなる。すぐ決めないといけない雰囲気だったので、咄嗟に目についたシナモンティーを頼んだ。しばらくするとクリームがのってて、横にシナモンが添えてあるものが届いた。多分混ぜるんだろうと思ったので、クリームを沈めていくようにまぜた。シナモンティーの飲み方を調べたりした。あの木を齧るのはマナー違反らしい。ホットワインに入ってたシナモンを齧って味見をしていた友人を思い出した。
今日の授業の復習をした。最近真面目に授業が聞けていて、余計なこと考えてない。健康であることがとても嬉しい、この調子。
冷めた渋いシナモンティーを飲み干し、お会計480円。本町の駅に戻って心斎橋へ向かう。心斎橋の駅は外とは比べるベクトルが違う明るさだった。金曜の心斎橋と比較するとなんだか異質だった。
地上に出るといつもどっちに向かって歩けば良いか迷う。マップを見ながら青い点が目的地へと進むことを確認して安心した。お店の前に着くと写真を撮ってる1人の女性。後を追うようにわたしも写真を撮って中へ入った。3400円、4000円、600円のお釣り。お酒は空きっ腹によくないからジンジャエールにした。おしゃれなグラスに入れてくれてるから、ビールに見えたらいいななんで思った。ジンジャエールは本当の生姜の味がした。マスクの下でも口を固く結ぶ私の中をしばらくひりつかせた。
まずはりゅーきちさん、誰か全然知らなかったけど、三曲目ぐらいでアユさんが推していたバンドのボーカルだと気づいた。気づいてからよく歌詞が入ってきた。高校の頃のはぎの先輩を見ているようだった。真面目に生きて、不器用で、気を遣って生きている人、インキャだと言われたけどそれも、そうやって思ってくれていることも一つのキャラクターだから、なんも思ってくれてないより嬉しいって言ってた。
きんやさん、本当におじさん。無職。夜明けに考えたこと、人生には3つの柱が大事で、一つが見た目、二つ目は強いということ(ケンカとかに)3つ目はお金。これに気づいたらしい。でも朝五時には音楽が必要ということに気づいたらしい。
なんかどんな怖い顔してるひとも、楽しい人もみんな悩んでるんだなという印象。みんなで歌ったの楽しかった。曲を聴いている時だけは他人が仲間のように思えた。ボーイミーツミュージック、きみしにたまうことなかれ。Twitter、インスタそんなのはいらない、TikTok至上主義がいいって。楽しいとかバカとかそういったポジティブがいいっていってた。
アユさん。声がいい、本当にいい。バンドではさらさらと流れていく歌詞が、今日は頭の表面を覆った。本を読んでいるときのような没入感があった。
顔を赤くする、そういやさっき酒飲んでたもんなとか思ったりする。でも酔ってないですよ、本気で思ってることなんでとか言ってたりした。
無力だと何度も言ってた。ギターも借り物、ホテルも取ってもらった、俺は歌うことしかできないって。インドアだけどほんとは外に出ることも好きみたい。用がないから外に出ないだけで、買い物も通販だしとも。
無力、無力だけど、もうすぐ30だし、知り合いは離れていきたいみたいなこと言ってたって言ってた。でも俺もまたそうして人を選ぶんだろうとも。なんか歳をとって選別されていくんだろうなと私はおもった。本当にほんとうに不器用な人なんだとおもう。でも良い不器用(本音ではなすとかそういったこと?)だから周りの人もそれを好きでいてくれてるって感じ。人の目気にせずに、そのままでいて、それが誰かに好かれる。とても良い。
オギャーと生まれてから良いものを残そうとして生きてきてるわけじゃないって言ってた。嘘をついてまでバンドをやりたいわけじゃない的なことも。
幸せ、幸せみたいなのがありますよう。と言って歌う前線に告ぐ。愛書はなぞり終えたのですのところで目が合った気がした。でも彼はどれだけ綺麗に、素敵に、声が伸びるように、柔らかいように歌って彼の世界に連れて行ってくれたとしても、余韻を残すことなく歌を終える。一気に現実に引き戻される感じ、その緩急もまた彼らしいと思ったりした。彼は人のために歌ってるんじゃなくて、歌いたくて歌っていて、私はそれにただ感情を乗せているだけなのだとまた思ってしまった。なんかでもそれが歌なんだろうとも思った。
自分が自信を持てること、今日の出演者にはたくさんあるんだろうと思った。私だって、きんやさんの三本柱は何にもないけど、彼が音楽を残すように言葉を残すことはできる。みんななんか持ってる。出せないだけでみんな持ってる。そう思った。
楽しい夜、音楽に救われてもいいと思える夜。そういや私はずっと音楽が好きだったんだと気づくことができた。ライブと違って耳鳴りなんて残らないけど、アユさんの伸びる声しばらくの間思い出せると良いな。
あゆさん良いライブは忘れてくださいっていつも言ってるらしい。何考えてるかわからないように思われるかもしれないけど、そう思って欲しいわけではない、でも、という繰り返しにハマってしまっていた。それをきんやさんは微笑むように聞いていた。なんかそういう関係がとても良い。良い人のいい音楽が聞けて幸せな夜だった。
自分を見つけて、自分を誇って、自分を愛してこの先進もう。もうライブはしばらく行けないかもしれないけど、今日があってよかった。大人になる私、とっとと立派な大人になってやろう。

22:30
今日は父は一人旅に出ている。母に迎えに来てもらう。父いないのにライブ行って2人にさせて申し訳ない気持ち。明日は祖父の退院。晩御飯はなんだったんだろうか。食べようか迷う。でもなんか今日は飲みたい気持ち。とても、なんとなく。あとジンジャエールの作り方調べよう。

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