森尾月子

もりおつきこ

何気におばちゃんです。
今まで書いてきた書き物を残したくて登録しましたが
どうしたらよいかわからず、
別サイトより手直ししながらUPしています。
妄想ものです。夢物語です。

YUZURU 15

そう雑談しながら、食堂に行く。
すると大宮たちは夕飯を先に食べていた。

「おかえり、先に頂いているぞ?」
「ただいま戻りました。今日は何?」
「お前たち、どこに行ってたんだ?」
「ちょっとそこまで。」
「翔太?弓弦さん襲わなかっただろうな?」
「恐れ多い。弓弦さん襲ったらまず半殺しにされますよ。」
「うんうん、翔太じゃかなわないだろうなぁ(笑)」
「なんだ?その意味深な会話は。」
「な。翔太(笑)」
「あたしを襲うともれなく青あざが付くということですよ(笑)」
「女は怖い怖い。俺も敵に回さないように注意しなきゃな。」
「誠さんまで!」
「今日は何?何のゴチ?」
「今日の夕飯は地元めし!それもゴーヤ中心(笑)」
「それってあたし食べれるものがないということ?」
「あはははは、弓弦さんのは特別にあるよ。」
「槙村特製の`南国風チャーハン´だそうだ。」
「それって?」
「昨日食べれないって言ってたでしょう?
 で、今日のを見て槙村が気を使って作ったんだって、さっきな。」
「ありがとう槙村さん、助かった。何も食べれないところだったよ。」
「いや、気が付いたのは圭一郎だけどな。」
「いえいえ、みんなでありがとうございます。」
「お礼は、俺と一晩(笑)」
「圭一郎!俺が先だ!」
「それは却下の方向で。」
「槙村さんも大川さんも弓弦さんに半殺しにされちゃいますよ?」
「なんだ?翔太?やきもちか?」
「いや、先輩たち知らないから(笑)」
「言わないでいいわよ。そのうち知ることになるんだからさ(笑)」

そうふざけていると、21時前になる。
秋山が着替えて来いと声をかけ、みんなレッスン室に移動した。

「仕上がりを見せて。」

そういうと、イントロが始まり5人とも踊る。
そしてそれぞれの立ち位置の分を見せるように言われ
誠が元原の。真志が中村。貴志は上村。弓弦が翔太。俊哉が悠太。5人でそれぞれやらせてみた。
確かに`love is・・・´の方はOKだった。かなりな正確さだった。あとは歌だけ。
そして次の曲の`the monster´の方をやってみる。
前のと同じで5人で動かないとわからないだろうと始めは5人でやらせてみた。
するとどうしても弓弦が途中でこける、躓く。
何度やらせてもそこに来ると、同じようにこける。

「弓弦さんどうしたの?」
「前からなんですが、ここに来るとこけたり躓いたりするんです。」
「こうだよ、こう。」
「こうでしょ?」
「違うって。」
「こう?」
「もう、翔太!やれ。」
「こうでしょ?」
「だからこう。」

それのやり取りを見ていた槙村は何かが違うと思い秋山を止める。

「秋山さん、それ少しおかしくない?」
「なにがだ?」
「一つ聞いていい?」
「翔太。お前利き足はどっちだ?」
「俺っすか?俺は左です。」
「弓弦さんは?」
「右です。」
「ほら、秋山さんこけるはずだよ。
 その振り付けは左が聞き足だと楽なんだけど右でやると無理なんだ。」
「そうなのか?」
「秋山さんも左足が利き足だろ?」
「そっか、それがあったか。んじゃどうにかしないとなぁ。」
「おい、大川。お前右足が利き足じゃなかったっけ?」
「そうだけど?もしかして俺に考えさせるとか?」
「右足が利き足同士、何か考えてよ。」
「翔太の振り付け、圭一郎がアレンジしてみてよ。あっちの部屋使っていいからさ。
 誠さんたちの仕上げは、こっちで俺見てるから。」
「OK。弓弦さんこっちこっち。」
「はい。」
「手ぇ出すなよ?」
「あはは。どうかな?」
「俺も付いて行く。」

そういってその夜の練習が続く。圭一郎と向き合って、翔太が後ろからチェック。
ステップとか振り返りの視線の位置とかをチェックし
再度秋山を呼んでこのアレンジでおかしくないかとか細かくチェックを入れていった。
夜の23時を過ぎようとしてもまだ終わらなかった。

「喉乾いたなぁ、少し休もう。弓弦さんも疲れただろう?」
「いえ、あたしはこの時間いつもは仕事してるんで全然。」
「遅くまで立ちっぱなしだもんなぁ。」
「でも目の前の人を満足させるためのこと考えながらだし
 神経使いっぱなしなんでしょ?」
「それが当たり前で来たから何とも。」
「弓弦さんはこんなに続けて踊ってても何ともない?」
「えぇ。高校の時大学の時のマーチングとしたら全然平気ですよ。」
「体力あるなぁ。あとは歌だな。西村さんと同じで
 楽器できるなら、音痴ではないよな?」
「多分。歌ってみないとわからないけど。」
「音域がどれぐらいなものかを明日試してみたいなぁ。」
「ということは、明日はあっちのピアノのあるスタジオの方でですね?」
「弓弦さんの女っぷりをとくとみせていただきましょう(笑)」
「なんかなぁ。だから歌うの嫌なんだよなぁ。」
「なんで?なんでそんなに気にするのさ。」
「話す声が低い人は大抵すごい高音なんですよね?」
「悠太、そうなのか?」
「ケタケタ笑いの翔太がそうじゃないですか。」
「翔太そういえば話す声は高いなぁ。歌ってる声は低いのに。
 そうなんだぁ。そういえば秋山さんも歌ってる声は低いな。」
「誠さんはハモれるんだよねぇ。すごくうまいんだ。
 去年のEXILEは練習の時からすごかったんだ。」
「弓弦さんは去年は?」
「後ろで踊るだけで歌ってない。本当は今年も歌うつもりなかったんだけど。」
「翔太と出会ってしまったもんなぁ。歌わされるよなぁ。」
「翔太君、歌うまいしな。早々あのフレーズは歌えない。
 舌をかみそうだ。それも、早口だしさ。」
「大丈夫、唄えるって。」
「明日がたのしみだー。」
「秋山さん。明日は?」
「明日は二次審査。歌は二の次だ。」
「というと、明日は?」
「明日の予定は大宮ら5人も翔太も悠太も
 そして弓弦さんも誠さんも一緒に行くこととなる。
 で、その時にな今日の出来上がりを見せてもらうこととなるが
 お二人さん大丈夫?だよな。」
「本当に?」
「受ける人たちに、これぐらいの時間でここまでやれるというところを見せて
 それにチャレンジさせるんだよ。」
「どれぐらいの時間でどこまでできるか。ということ?」
「そうだな。だから弓弦さん、お願いがあるんですけどいいですか?」
「なんですか、秋山さん。」
「お願いだから、さらしを巻いて(笑)」
「えぇ?」
「どうしてもその胸はわかるでしょう?俺らの会社は男しかいない。
 なのになんで女がってなるじゃん。しぐさは男なのに
 体が女ってところがもったいない(笑)」
「それはちゃんと考えてます。大丈夫ですよ、秋山さん。
 いつものようにできますから。お店にいるときはいつもです。」
「そっか、それなら大丈夫だな。まぁあれだけ踊ると大変だな。」
「正直、恥ずかしながら踊りながらだと揺れて胸が痛い(笑)」
「そこまで正直に言うか?」
「誠さん、真面目に痛いんですって。切り取りたいぐらいだ。」
「本当に正直な人だ。こっちが赤面するよ。」
「弓弦さんってさ、シャツ一枚になると本当に女の人だよねぇ。」
「そう言われると困るんだが(笑)」
「思い切って性転換するか?(笑)」
「お金がね。かなりかかるって話。」
「もしかして弓弦さん真面目に考えてて調べたりしたの?」
「えぇ。真面目に。でも失敗も多くて命がけなんでしょ?
 だからそこまではって思って気持ちだけでいいかなって。
 命かけてまではねぇ。」
「そうだな、大切な命としてご両親から生まれたからだと命だ。
 無理して命かけなくても、それを大切に生きるということも
 大切なんじゃ?」
「そうですよね。だから体には怪我以外メスは入れてません。
 それよりも、気持ちが心がけが大切なんですから。」
「でもいつかは弓弦さんは誰かと共に生きることになる。
 それがだれになるかがすごく興味あるんだなぁ。」
「あたしは一生一人と決めています。誰のものにもなりませんって。」
「弓弦さんの中の男はいつも表面に現れていますが、弓弦さんの中の女は?」
「心の精神の奥底に眠ってしまったままですよ。」
「起きてこないんですか?女心。」
「えぇ。たまーに目をさますけどすぐ眠る。」
「便利だな、弓弦。」
「誠さんにだって、女は目覚めてないし(笑)」
「俺には?」
「圭一郎さんに?無理無理(笑)」
「ちぇっ。」
「秋山さんだっていい男だぞ?」
「悠太も翔太も全然?」
「そうですねぇ。」
「槙村さんにもですか?」
「あたしの女が目を覚ますってよっぽどのことがないとありえませんね?」
「もしかして西村さんにも?」
「あははは、それは秘密。西村さんが野獣になるから。」
「お前らと対等に話す弓弦さんはやっぱり心は男だな。」
「秋山さん、それ正解。」
「そうだ、早く寝ないと明日目の下にクマができるぞ。おわろう。」
「だな。解散だ、風呂入ってねよねよ。」

そういってわいわいとスタジオを出て自分の部屋に戻った。
部屋に戻ると26時。少し夜風に当たりながら、ひかりにメールを返していた。
その返事を返すまでにそのまま寝てしまった。
次の日の朝、起きるとまぶしい光がさしていた。
手元を見るとメールを最後まで返事も書かずに、送信さえもせず寝てしまってたようだ。
あわててひかりにメールを返す。
そして、みんなが集まって朝飯を食べているところに弓弦も顔を出した。

「おはようございます。」
「おはよう、今日もご機嫌かい?」
「槙村さん、どうしたんですか?」
「なんで?」
「その挨拶は貴志の口癖で。」
「そう、その貴志さんは早くに東京に帰ったよ。」
「なんで?何も聞いてないけど?」
「なんかお店であったらしいぞ?お前の携帯にメールは来てなかったのか?」
「何にも?」
「弓弦さんだけにメール行ってないんだ。」
「誠さん、ほんと?俊哉!お前には来たの?」
「あぁ、俺にも来た。隆がメール来た直後に俺の部屋に来て言うから
 どうするって話してたら真志も俊哉も来てさ。
 で、貴志はもともとやってたからOKだったし一番で来てるだろ?
 で、代表で貴志に帰ってもらった。
 なんか誰だっけ?怪我したからお店が大変だとさ。
 誰か一人帰れば、間に合うんだったら俺が帰るからって
 みんなをお願いしますって言って帰ったよ。」
「秋山さん。本当ですか?」
「あぁ。俺の所にも電話が入った。で、話して決まったからって言って 貴志さんを返した。」
「あたしは?」
「弓弦さんは歌のレッスンがある。残りだ。」
「でも。」
「歌のレッスンがうまく終わらないと、長崎にもよれないぞ?」
「長崎に行くのか?」
「あぁあ・・・・秋山さん口軽いんだから。槙村さんたちにばれちゃったじゃん。」
「ごめんごめん(笑)ついさ。つい、正直もんだから(笑)」
「んもぅ。」
「さあさあ、早く食べていくぞ。」

そう言った秋山も大宮達もそそくさと食べ終わり部屋に戻って着替えて降りてきた。
弓弦も早くと思いさっさと食べ、着替えてきた。
その日の2次審査の会場に行き、昨日言われたとおりに協力して
審査の進行を手伝った。

「なんだかあたし達、ここのタレントさんと同じ扱いなの?」
「なんで?」
「なんだか、一緒に動いているとへんな気分。」
「何が?」
「なんだか社長の思惑にはまってしまってるというか。」 
「ここだけの話な。絶対言うなよ?」
「何かあったんですか?」
「弓弦さんの話が取締役会の時に出て、何でうちの会社は男しか
 タレントとして受け入れないんだっていう話になったらしい。」
「で?」
「今後の方針として、実力のある人ならば性別は問わないと
 そうしようかって話が浮上してたって。」
「それって??」
「弓弦さんのことは社長が大乗り気だし、江藤さんも。」
「でもあたしは今の仕事が大好きですし、多分言われてもお断りすると思います。」
「俺たちの中だってたぶん反対する奴がたくさんいると思うぞ?」
「秋山さん、どうしてさ。」
「槙村とか圭一郎はまず反対派だな。翔太わかんないか?」
「えぇ、なんで反対なの?いつも一緒に居ることできるし仕事も一緒で楽しいじゃん。」
「はいっ!わかった!」
「悠太!(笑)」
「弓弦さんが仕事仲間になると、口説けない!」
「悠太正解(笑)社内恋愛は確か厳禁だったよな?」
「んじゃ、仲間になった方がいいのか。」
「俺も反対派だな。」
「翔太も?」
「俺も反対、弓弦さんせっかく女なんだし。」
「みんなで何考えてるんですかっ」
「俺は一緒に仕事したいよ?
 弓弦さんはいろいろと深い人生を歩んでるみたいだし
 いろんなことを勉強して、頭よさそうだし。
 そつなく何でもこなすし。こんな人と仕事したいって思うなぁ。」
「そうほめられるあたしでもないですけど?」
「さぁ、あともう少し。めし食べたら、次はいるぞ」

そう声がかかり、おしゃべりも途中のまま次のことを始めた。
これが終わると審査で人数を絞り込まれる。
弓弦が座っている。終わると一息ついて歌のレッスンが始まることが気にかかるのか
不安そうな顔をして座っている。それを見ていた翔太は弓弦の手を引く。

「ねぇ、弓弦さん。」
「あ。なに?」
「僕も弓弦さんのことを知りたい。」
「なんで?」
「友達として知りたいことがたくさんある。」
「何を知りたいのさ。」
「それはあとで。もう少ししたら終わるだろうし。」

そう話しかけたところを槙村も見ていた。翔太、抜け駆けか?と。
弓弦も槙村の視線がわかった。槙村の怪訝そうな視線。
翔太君と話をしているのが気に入らないのか、
何をはなししてたのか気になってなのか、こっちをじっと見つめている。

弓弦たちは汗かいたからと言って、シャワーを浴びに部屋を出た。

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