愚図

要約する


ということが出来ない。
話を纏めるだの着地点を見つけるだのが出来ない。
ふわふわウロウロとあっちへ行っては帰ってきて、こっちへ行っては帰ってきて、を繰り返す。
上がったり下がったりを繰り返す。
鬱病になっちゃうね、と言われて微笑む。
謝らせてばかりだなあと思うけれど、あんまり深く考えないから、という言葉を信じて俯瞰することにする。
足りないことを自覚しているような口振りで一生懸命に私を宥めたり一緒に解決してくれようとする様を見ていると、自分が如何に信用することを諦めているのかを実感して悲しくなった。
このひとはこんなに紳士でいようとしているのに(好むと好まざるに関わらず)、私はいつだって愚図愚図と情けない声を出しているばかりで変わらないことに固執して、臆病に生きているのだ。

慈しみだよ、という君の本心を見ようとせずにいること、気持ち良くなりたいだけの他人にカテゴライズして、甘んじてくれることに甘え切っているのだ。
同じ時間軸で生きていくこと。
歩幅を合わせようとしてくれる君の、出来ないと言ったこと。
認められることと認めていくこと。
人間同士の関わりを大切にしたがる君と、それを睨んでいる私とではちぐはぐが過ぎて、幸せになりたがらない狡さが浮き彫りになる。
君はいいひとで、私は悪い子、だ。
ちゃんと言って、というけれど、私は君の何かじゃないから、と言ってしまいたくて言葉に詰まる。
口にしたら最後なのではないか、と怖がっている。
君は私の恋人でもなんでもないから、と言ってしまえば君は困って黙り込んでしまうと分かっているから、私は今日も明瞭なことは何も言えずに口を噤んで木偶の坊になってしまうのだ。
一体どうしたら寂しいだの会いたいだのと言えるのか、誰でもいいから分かりやすく教えて欲しい。
私は手離すことばかり考える。

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