物語のあらすじ




 異世界へと召喚された八人の現代人。高校三年生の須藤隆二はその一人だった。この世界では定められた運命に力が宿る。つまり彼らを召喚した帝国にとって不都合な運命を持つ者は消されてしまうのだった。


 召喚された一人、家族連れの父親は『革命者』の運命を持ちその場で殺された。その母も『復讐者』という運命を持ち、殺されてしまう。


 大学生グループのリーダー格、堂間一成は『勇者』の運命を持っていた。そして、須藤の運命は『偽りの勇者』。この世界において勇者を偽ることは大罪であり、その場で処刑されてしまう。


 須藤は偽りの勇者の能力で死を免れるが、知らない土地に転移していた。そこは帝国領の南西にある小さな集落だった。そこで部族長の娘であるセナに救われる。セナは『見抜く者』という運命を持っており、須藤の持つ『偽りの勇者』の能力を教えてくれる。しかし、セナは集落の皆に須藤のことを勇者だと宣伝しており、周囲から期待されてしまう。


 そんな折り、集落の生命線である湖にエビワラーという凶悪な魔物が現れてしまう。須藤は勇者として退治に向かうことになってしまう。


 勝てるはずがないと思われたが、偽りの勇者が持つ『人害交流』というスキルの効果が人に嫌われている生物に好かれるというものだった。エビワラーに好かれてしまった須藤は無尽蔵な食欲を持つエビワラー集落に置いておけないた旅に出ることになってしまう。


 エビワラーを押しつける形になってしまったことを気に病んでセナがその旅に同行することとなる。


 しかし、彼らを待っていたのは順風満帆な旅ではなかった。バハナ街で訪れたギルドには須藤の手配書が出回っており冒険者たちに追われることになってしまう。追っ手を交わすために隣国であるハルマンド王国を目指すが、帝国領とハルマンド王国をつなぐ大橋で帝国兵と一緒に召喚された家族連れの子供たちに遭遇してしまう。


 捕縛を恐れた須藤は八村飛鳥に自分を殺してくれるようにお願いし、再び転移することとなる。転移した先は目的地としていたハルマンド王国。運良く第一王女に拾われて勇者の情報などを教えることで協力を得られるとなり、はぐれてしまったセナを探すことに。


 セナの捜索には竜騎士のカリムが同行することになる。竜の背に乗って帝国領に戻った須藤を待っていたのは勇者の堂間一成だった・・・・・・。