人は生まれながらに属性を持っている。その属性だけで人の優劣が決まってしまう現代ファンタジー。例えば歴史に名を残す大犯罪者には闇属性が多く、この属性を持って生まれてしまっただけで周囲からは犯罪者扱いされてしまう・・・・・・。


 物語の主人公である千道 雅人は光属性である。光属性を持つ者は少ないが、世界に恩恵をもたらす属性とされ属性カーストのトップに君臨していた。


 千道は桜花学園にこの春から通ことになった。その通学路で同じ中学校に通っていた山田茜に出会う。中学時代に告白してくれた女の子。当時の千道は不良グループに目をつけられていたため、迷惑をかけないために大好きだった茜からの告白を断っていた。


 足かせのなくなった千道は茜に告白し二人は付き合うことになった。しかし、千道の幸せは長くは続かなかった。

 始業式を終えた千道は学園長に呼び出され、特待生で入学した経緯を話される。学園長の一人娘である桜花まひるは闇属性で嫉妬の炎という能力を持っていた。嫉妬してしまうと理性をなくし意中の相手を殺してしまう恐ろしい能力だった。殺してしまった者を蘇生させてきたことで罪にはなっていないが危険すぎる娘を父親は自分の学園で管理することにした。


 そして生まれたのが王子制度。まひるが惚れてしまった男子生徒は金色の腕章を着けなくてはならない。そして、女子生徒はその者(王子)に決して好意を抱いてはならない。必要以上の会話をしてはならない。故意に触れてはならないという暗黙の三原則が存在した。


 光属性の中でも希有な能力である不死を持っていた千道に学園長は目をつけて、娘の生涯のパートナーとするために特待生として学園に迎え入れたのだった。

 千道と茜と交際中であることを伝えるが、退学をチラつかされて王子役を了承することとなる。

 学園長に指令で二年の教室に赴いた千道を待っていたのは窓際に佇む黒髪の美少女だった。


「あなたは本当に死なないの?」


 学園長から話を聞いていた千道は救ってやりたい、と正義感が疼くのだった。


 新たな王子の誕生は瞬く間に学園中に広まり、翌日から千道に話しかける女性は誰一人いなかったが、茜は千道のことを諦めきれなかった。彼女は何とか千道への接触試みる。二人が接触していたことがまひるにバレてしまい千道は撲殺されることとなる。


 死になれていた千道は殺されてもまひるへの態度に変化がなかった。そんな千道にまひるは惹かれていき、嫉妬の炎がどんどん燃えやすくなっていくのであった。