ムーンライト・メロウ

作者森山満穂

その人は夕日色の紅茶を飲みながら、月明かりの下、口元に静かに皺を刻んだ。爽やかな香りが冷えた夜風に絡まって、季節外れに空気をかき混ぜる。苦い思い出話を語る、寂しげに翳った貴方の瞳が好きだから、私は檸檬味のクッキーを頬張って、満月を痩せさせる。私だけが満たされる甘い一時。







この夜が、一生終わらなければいいのに。