らくがん

佐藤風汰には人気者の親友、祐と、風汰が思いを寄せる相手、南という大切な存在があった。

ある日、母親に重度の肝硬変が発見され、風汰は亡き父親に助けを祈ると、夢の中、父親に似た男が現れ、風汰の体力消耗と引き換えに願いを叶えること、願いは取り消せないことを口にする。

迷わず母親を助けた風汰は体調を崩すが、その力で人を助けられることを知り、その後も力を使い続けた。

結果、変わり果てた風汰は医者への夢を断念、祐は風汰を気に掛け進路を変更。南は結婚を断ることになった。

10年後、風汰は瀕死の南を目の当たりにし、例の力で救おうとするが、南は二度と力を使わないように言う。実は南、祐の二人も力を使った過去があり、それにより風汰の父親は死んでいた。二人が常に側にいたのは罪悪感からだったのだ。

そこに亡き本物の父親が現れ、風汰は人の為にのみ力を使用したため、神様に許されたことを口にする。

結果、10年前に元通りし、風汰は母親の肝硬変のために生活を変え、自ら医者の夢を叶えることになった。

結局、祐、南が側にいたのは、やさしく人を癒す、らくがんのようなその存在に惹かれていたからに過ぎなかった。

元の小説はこちら。

https://maho.jp/works/15591670281202571887