ヒトはアンドロイドに夢を見る~Cafe Androdiaの双子~

作者蒼衣ユイ

『死者が生きる店』と呼ばれるカフェがある。
九月になっても散らない桜の木の下で、赤いエプロンのウェイターは遺影を抱えている。だが映っているのは今彼の隣に立っている青いエプロンの青年だ。
「君も生き返らせたい人がいるのかな」
青年達はただ微笑んでいた。美しすぎるその微笑みはどこか作り物めいていた。

何の前触れもなく、日南千夏(ちか)の双子の弟が交通事故で死亡した。

呆然としたまま生きていた九月上旬のある日、千夏は『死者が生きる店』と呼ばれるカフェを知る。

そこは千夏と同じく双子の弟を亡くした青年が経営しているらしいのだが、なんと彼は弟を生き返らせたのだという。

千夏は引き寄せられるようにカフェへ向かうった。

するとそこには弟の遺影を抱えた青年と、遺影そのままの姿をした彼の弟がいた。


「君も生き返らせたい人がいるのかな」


店には今時期咲くはずの無いソメイヨシノが咲き誇っていた。