強大な魔力を持つ魔女、ルシエンヌは森の奥で暮らしていたが、ある日急に魔力を失ってしまう。力を持つが故に尊大だった彼女は、散々馬鹿にした人々からの報復を恐れて遁走する。魔法でなんでも解決してきたルシエンヌは、実は常人よりもポンコツであった。魔法が使えなくなったくせに自由すぎる魔女と、彼女と関わること…

 とあるところに、それはそれは強大な魔力を持つ魔女がおりました。

 絶世の美女と誰もが称する、キラキラと輝く月光ような髪をした魔女です。


 見た目の麗しさとは裏腹に、その魔女は軍隊でさえも太刀打ちできない強さを誇っておりました。

 機嫌を損ねると、辺り一面がたちまち焼け野原と化すと噂されています。


 それ故に魔女は敬われてきました。

 不興を買うと国が滅ぼされかねないのです。


 森の奥でひっそりと暮らす魔女でしたが、王や貴族が常に贈り物を届けてご機嫌を窺います。

 長年それを繰り返してきましたから、魔女は有り体に言いますと、高飛車で傲慢でした。


 大きな力を持つだけに、人と深い関りを持つこともなく、一人で生きることに慣れていました。

 しかし、そんな魔女ルシエンヌは、ふとした時にその魔力を失ってしまったのです。

 こうなってしまうと、ただの――いえ、並以下のポンコツでしかありません。


 さあ大変――。