「喜べ、シュネ―。お前の結婚が決まったぞ」
それは、わたしにとって死刑宣告のようなものでした。
これはよくある政略結婚。
しかし、わたしはこの政略結婚が決まった時点で余命一年となった。
常冬の国インベルノ帝国、常夏の国アスティウ帝国――――
二つの大国は山脈をはさみ隣接していた。しかし、何百年もの間この大国は貿易を行うことが出来なかった。
理由は、山脈の呪いと呼ばれるものにあった。インベルノ帝国の民がアスティウ帝国に、アスティウ帝国の民がインベルノ帝国に足を踏み入れた時点で余命一年となる……そんな呪い。
二つの国の未来のため、わたしはアスティウ帝国の皇帝と結婚する事となる。
自分の命を引き替えに、子を成す為だけの道具として……
政略結婚の筈なのに、何故?
そして余命一年と分かりながら皇太子はわたしに愛していると伝えてきて――――……
これは、わたしが自由と幸せを手にし死ぬまでの物語。