冷徹上司の氷の瞳が溶ける夜

作者

もしも、レンズの向こうの瞳に触れられるなら。きっとその温度は氷点下――そう思っていた。






私の上司は、

有能だけれど性格に難あり。



冷徹で厳しく、言葉一つで切り捨てる。

あの人の眼差しはいつも冷たく、他人を寄せ付けない。



どんな感情も持たない人なのだろうと思っていた。



どう考えても幸せな恋にはならない。



見ていれば分かるのに、どうして好きになってしまったのだろう――。



「君が嫌なら、いつでも解消しよう」



夜更けに一人。狭いアパートで涙を流す。



悪いのは全部私だ