彼女は綺麗な花となった

作者冬彩 桜月

その病にかかった者で治った者はいない。
体が徐々に花弁となって散っていき最後には
一輪の花だけが残る 誰にも言わず死を待つ
つもりだったのに 私の秘密を知ったのは
当時知らない人はいないくらい有名な不良だった。

彼女の遺した物を整理していると色んなものが

出てきた その中に1冊のひまわりのイラストの

日記があった。綺麗な字で半分は埋められている 書きたい時に書いていたのか、それとも書ける時に書いていたのか、今は確かめる術がないが 所々飛ばされて書いてあった。入学式から

死ぬまでの短い日記 それは彼女の人生という

物語がギュッと詰まったものなのだと改めて

実感する。最後のページの文、毎日夜中自分に

問いかけていた いつに戻ればやり直せる?

罪があるわけじゃない、後悔があるわけじゃないでも もし戻れるのならば 私はやり直したい

それか永遠に同じ日をループしたい それくらい私は紫苑を愛していたよ。ねぇ、日記見てるのでしょ?わがままなのはわかってるけどさ

私は幸せだったよ、幸せだったから紫苑も私を忘れて幸せになって。ノートに零れ落ちる涙

嗚咽を漏らしながら もしも入れ替われてたならと叶いもしないことを考える 忘れられるわけない。俺は一生忘れることができないくらい

彼女を愛していたのだから。