「あっ…90円と5円玉2枚しかない。100円の缶ジュ
ースも買えない。超ツイテナイな…」
主人公、菊川 梨々香 17歳は自分のお金の無さに
虚しくなっていた。
諦めて帰ろうかと思ったら、
「あのー、よかったら。」
同じ位の男子が10円玉を差し出す。顔は…
そんなことはどうでもよかった。これで缶ジュ
ースが買える。やったぁ!
「ありがとうございます!」
その男子はニッコリ笑って5円玉2枚を受け取る。
10円玉を「はい、どーぞ。」と言って渡してくれ
た。
そして、その人はその場から走り去った。
『あれ?ジュース買うのに並んでいたんじゃない
かな?』
脚元をふと見ると、黒い財布が落ちている。
『あの人ジュース買うのに並んでいたんじゃない
?それに財布まで落として。なんかとぼけてるな
。』
梨々香はその財布を拾った。
中には5円玉2枚しか入っていなかった…。
後、免許証。福沢 与吉(ふくざわよきち)18
歳。思わず、プッと吹き出してしまう。
この人1万円札の諭吉様と1文字違い、それに
さっき交換した10円しか持ってないのに何で
並んでいたんだろう?もしかして、私の困っ
ている様子に気がついてわざわざ声をかけて
くれたのかな?
梨々香は与吉さんに免許証の入った財布を届
けようと住所が書いてある駅へと向かう。
今日は日曜日で退屈してたしPASMOにはまだ
いくらか残っているからいいかなと単純に決
めた。
実は…ちょっと好みだったからかも知れない。
福沢 与吉は梨々香の元カレと顔とか不陰気が
よく似ていた。大好きだった元カレは一年前
に交通事故で他界していたーー。
この話はフィクションであり登場人物、場所等
全て架空のもので実在するものとは一斎関係あ
りません。