――『俺はお前に見合う男になって必ず帰ってくる。それまで待っててくれ』
身分と言う壁に阻まれながら、自らその壁を越えようと抗う。
たとえ一緒にいられる”時間”を犠牲にしたとしても
――『いつまでも側で。従者として貴方を見守って行く事を約束します』
ただ側にいられる事を願う。
たとえそれが、”気持ち”を犠牲にする事になるとしても
ある貴族の姫に恋をした二人の義兄弟。
姫を思う気持ちは同じ。
ただ愛し方が違うだけ。
ただ…それだけだったのに……
「どうして……どうしておぬしらが争わねばならぬのだ?」
己が信じ選んだ道を真っ直ぐに進んでいた3人は、いつしか抗えない歴史の渦へと飲み込まれて行く事に――
これは後に「平将門の乱」と呼ばれる歴史的事件を題材に、その裏に隠された男女3人の恋と友情、そして絆を描く物語。