作品コメント
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- 霜月あき
白を染め上げる紅
レビュー、失礼します。
良家に産まれた菫と庭師の冬夜。身分違いの二人。二人を繋ぐのは真っ赤な椿だった…。
読んでる途中で、これはラストに号泣するかな、と思ってましたが、そうはなりませんでした。ラスト、私の瞳からは驚くほど静かに涙が流れました。
綺麗な物語だな、と思います。恋愛のために人生を棒に触れる人なんてそうそういません。菫もそうでした。
菫のような女性はきっと昔たくさんいたんだと思います。今でこそ政略結婚などは聞きなれない言葉ですが、昔はそうではなかった。
菫は幸せな結婚生活を過ごすと思います。優しい人なので。
素敵な作品をありがとうございました!! - 笠貫 十
La traviata 【完】
レビュー失礼します。
こんなに切ない恋物語を読んだのは初めてでした。私的にセンスがいいな、と感じたのは舞台設定(時代、登場人物)です。やはり、現代では出ない雰囲気があるんでしょうか。話の中に入りやすかったです。
また、人物もそれぞれが確立していたのでより一層のめりこむことができました。
素敵なお話、ありがとうございました。すごく感動しました。 - 慧
切なく儚い世界
時代は、近代日本。
身分の違いにより、自分の想いすら相手に伝えられない恋。
お互いを名前で呼ぶことさえなくて。
そして、触れることさえ出来ない。
こんな切なことってあるのでしょうか。
二人の想いが汲み取るようにわかり、胸が苦しくなりました。
薫の想い、冬夜の想い、浅野の想い…
いろんな切なさが入り交じり、素敵な世界観を生み出している作品です。
儚く、美しい表現で一言一言が大切に思えました。
その言葉に涙が零れます。
ぜひ、読んでみてください。
この作品の虜になります。 - アトム
美しく残酷な物語。
旧華族の生まれで何不自由なく育てられた菫と、異国の血を引く庭師の息子の冬夜。
身分の差を知った上での二人の逢瀬は、微笑ましくもあり切なくもあり、一瞬一瞬とても大切に描かれていて、【白と赤】が重なる静かな情景と二人がリンクして、見惚れてしまいます。
ゆっくりと寄り添い合う前半とは対称的に、ラストに差し掛かるにつれて菫と冬夜に迫る残酷な運命は加速していき、あまりに悲しく切ない結末に呆然。
104ページ、決して目に見えることのない二人の思いが走馬灯のように回想され、心震わせながら次のページに進みました。
全て読み終えたあと、幸せだった二人をもう一度見たくて読み返してしまう程、救いを求めてしまいました……儚いですね。
凄く胸に刻まれる作品です。
ありがとうございました* - 如月 志乃
幸福な悲恋
旧華族のお姫様と、庭師である異国の男の、切ないラブストーリー。
どちらの気持ちに立っても、やりきれない想いと芽生えた恋心を抱く幸福感が味わえました。
ラストは、切ないけれどふたりの永遠の誓いみたいなものを感じて涙無しには読めなかったです……
じーんとしたい方にオススメの作品です。 - 高瀬なるみ
彼女の心を染め上げた一色
旧華族の家に生まれたお嬢様の菫と庭師の息子で異国の血が混ざっている美しい容姿をした冬夜。
そんな二人は密かに逢瀬を重ねていたが――
前半はゆったりと流れる物語で、菫の家柄や冬夜の立場について知り、胸が痛みました。
外の世界を知らない菫が、冬夜と関わっている時は世界が広がったような、
色づいたように感じることが、読んでいて温かくなりました。
二人の会話のシーンの言葉選び、丁寧な描写で情景が浮かんでくるので表現がとても好きです。
立場だけに触れ合うことのない愛。だけど確実に大きくなっていた。
相手を好きだからこそ一緒にいたいという想い。
だけど大事だからこそ、幸せになってほしいと願う気持ち。
冬夜を思ってこその決断をした菫に、胸が痛みました。ラストは、本当に切なくて。
穏やかで独特の雰囲気で繰り広げられる物語ですが、いつの間にか世界観に入り込み、二人の幸せを願ってしまいます。
切なく美しい、という言葉がぴったりのお話です。
素敵なお話、本当にありがとうございました! - 藤井 蛍
触れ合うことのない純愛
真っ白な雪と色鮮やかに紅く咲く椿の花。
その一つ一つの言葉から、情景がまざまざと浮かび上がります。
旧華族の一人娘として生まれた菫と、愛人の子で異国の血が混じっている冬夜。
立場すら大きく違えど、その心に潜む寂しさや孤独は同じ。
二人が惹かれ合うのは必然だったのかもしれません。
触れ合うこともなく、言葉で愛を確かめ合うこともなく、ただ寄り添い続けた二人。
二人の行く末に涙せずにはいられませんでした。
冬夜が椿に口付けるシーンは、本当に色っぽく、文章から感じる切なさや漂う静寂に圧倒されます。
胸を締め付けられるほどの切なさを味わえる、本格的な純愛作品です。