「本日、前任者の死亡が確認された。」
黒服の男は、玄関に着くなりそう言って、そのまま去った。
泣き崩れる両親。妹も不安そうだ。
しばらくして、ようやく落ち着いた両親に話が聞けた。
「昔、話したお話覚えている?」
そう言われてピーンと来た。それは枕話に子供に聞かせる類の話だが、我が家のソレは少し変わっていた。
何と言うべきか、妙に生々しいのだ。頭に銃弾を三発打ち込んだとか、襲われて近くにあった杭を首に刺してねじ切ったとか、とにかく生々しい。それでいて毎回倒される怪物は同じなのだ。幼い頃は、周囲のそれとの違いに疑問を感じていたが…
「あの話、全て事実なの。」
愕然とした。それでいて納得した。しかし疑問は沸き起こる。
こちらの心中を察した様に言葉を続ける。
幼い頃に話した話は事実だと言う事。
怪物を狩る狩人は持ち回りで前任者が死んだ場合、持ち回り候補で特定の年齢で一番若い者が持ち回る事。
それが自分だと言う事。
これは昔から、代々統治者によって管理されて来た事。
国民には秘密にされてる事。
報酬は非常に高額な事。しかし逃げれば即ち死。国を挙げて犯罪者として殺される事。
そして一番重要なのが、高額な報酬でも誰もやりたがらない事。それは即ち死亡率が半端で無い事。
昔話で聞いた事がある。狩りに失敗した狩人は惨たらしい死が待つ事。
幼心に恐ろしかったが、まさか自分が昔話の主人公になろうとは…