懸案事項Qシリアルキラー

作者名無し太郎

妹を殺したエージェントの末路

幼い頃から殺す事を宿命とされた自分がいた。来たるべき時に備え、過酷で時に熾烈な生活が続いていた。


厳格な父は納得がいかない結果を出すと苛烈な罰を与えた。そんな父に盲目的に従う母。


逃げ場など無い。あるのは悠久の地獄にも似た日々、幼い姉妹は互いに支え合いながら生きて来た。


何度も怪物の恐ろしさについて聞いた。だが最も恐ろしいのは父だった。父に愛されたいと思い努力した。しかし終ぞ父は褒めてくれる事は無かった。


ある時、父が殺された。勿論、怪物にだ。激しい憎悪にも似た感情が沸き起こった。


自分の居場所が、存在意義が全て無くなった様に感じた。自分を認めてくれる前に父が殺されたのだ。


それからは、その憎悪を糧に目覚ましい成果を挙げ続けた。そして、辿り着いたSランクエージェントの地位。


父は褒めてくれるだろうか?


父と共に愛情を感じていたのは妹だった。自分の存在意義。偏愛にも似た感情を抱いていた。もしも殺されるなら、せめて自分が殺してやりたいとも思っていた。


そう…他人に殺される位なら。