「大人になったら僕と結婚しよう」
「うん。その時はよろしく」
それは私にとって過去の言葉でもあり、未来の言葉でもあった。
蜃気楼のように見える映像に形はなくて、触れることさえ出来なかった。
時は麗らかに流れて、時に悲しく俯いた時期もあったけれど私は愛する人と結婚した。
そんな中、幸せな毎日を過ごす中でふと思い出すものがあった。
遠い出来事はまるで目の前にあるようだった。過去はけっして遠くはないという事を空を見上げて感じた。
ずっと昔からこの空は変わらずに私たちを包んでくれていたんだろう。
見上げた空は青く向こうには雲が見えた。風は懐かしい香りをまとっていて、私は地に足をつく。
だから、ここがそうなんだと思った。
ここが私の愛の場所なんだと思う。
それが私の答えだった――