眠空

天賦の俺様にメロメロ
地の文による説明などが普通の小説に比べて少なく、台詞ベースや手紙ベースで展開される物語。
最初戸惑いましたが、読んでいくうちに歴史的背景、登場人物の人となりが伝わってきて、真性にして神聖の俺様シチリア王は勿論、幼妻ヨランダ(可愛すぎる)、そしてエジプト王とその特使のやり取りにかなりツボってしまい、どっぷりと夢中になって読み進めていました。

うんちくだらけの堅苦しい歴史小説とは違い、著者様独特の描き方や表現の仕方はとても解りやすく、そして何より楽しく読むことができ、こういう書き方もあるんだととても勉強になりました。
歴史小説を書く上で大切なのは、取り上げる人物にどれだけ愛情を注いでいるかだと思います。
人間が書けているというのが何より大切ですよね。
これぞ本格歴史小説。目から鱗が落ちる思いです。感服しました。

その頃のヨーロッパ史、並びにシチリア王・フリードリヒ2世の魅力を存分に味わうことが出来たし、心から読んでよかったと思える作品です。