「相場師・天一坊」 

作者兜町の欲太郎

色が白くて好い男、いつも縮緬の羽織りに白正袋を履き、風雲に乗るや.、天下をも掻き回す、スケ-ルの大きい快男子、
敵を欺き、大儲けした策士の『天一坊』

大岡政談に登場する天一坊は、徳川八代将軍吉宗のご落胤と称して、江戸の人々をたぶらかし、やりたい放題の悪事を働き、ついに越前守によって処刑されたのですが、明治から大正時代の大阪北浜にも 「相場師・天一坊」 と言われた男がいたのです。 本名、松谷元三郎と言い、一家離散した廻船問屋の和田利兵衛の妾の子で、松谷家の養子となりこの家も潰れ、小学校中退で加賀商店という株式仲買店にデッチ小僧になったのです。