「esoraniコラボ・香り×思い出創作コンテスト」編集部コメント集

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本日、「esoraniコラボ・香り×思い出創作コンテスト」の結果発表を公開いたしました。

合わせて、佳作の受賞作への編集部コメント集をお届けいたします!


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かつて流行ったシャンプーが復刻して、城山さんは、クラスメイトの反応を気にしてそのシャンプーを買えなかった小学校時代を思い出す。おとなしい自分という枠から飛び出したくて、地元から遠い大学に入学したはずなのに変われない「無難」な自分に悩みながら、シャンプー売り場に向かうと学科でも可愛いと評判の綾瀬さんとばったり出会い……。2人の会話もさることながら、「学生時代の憧れのシャンプー」という題材に大共感です。学生だった頃、教室で前の席の子のシャンプーの香りがよく漂っていたのを思い出しました。

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ざっくばらんな口調で語られる、嫌で嫌でたまらなかった小学校のマラソン大会の思い出。 「冬の香り」に染みついたそんな記憶も、大人になって振り返ってみればなんとはなしに愛おしく見えてしまう、ということ。
「モコモコと厚着した体で」等々、ワードチョイスにもコミカルなセンスがあり、読み味も含めて面白かったです。

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柑橘の香りが思い起こさせる記憶。想いびとと結婚するため、故郷へ戻る寝台列車の中という情緒あるシチュエーションと、回想の中で2人の間に取り交わされる絵葉書が、静かに読者と2人の距離も縮めてゆきます。小説の終わりの余韻もふくめ、味わい深い作品でした。

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居酒屋で一人飲みを愉しむ場面からスタートする本作は、日本酒のラベルをきっかけに、居合わせたひとが幼少期に習字の先生の息子だと判明して、話は思い出に舵を切ってゆきます。
確かに、味と香りは、切っても切り離せない関係にありますよね。日本酒はもちろんのこと、墨や甘酒など、作品に常に香りや味覚を感じさせる要素が流れていて、五感豊かに味わえる小説でした。

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朝の通勤風景の一コマを描いたこちらの作品では、電車に居合わせた高校生たちの会話になんとなく意識を取られるあの一瞬をよく捉えており、グッと引き込まれました。また、高校生がカバンに入れている制汗剤から記憶の中にある香りを思い起こす部分も、懐かしい気持ちで読みました。

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深夜に真冬のキャンプで火の様子を確かめている「私」は、薪の香りから今は隣で眠っている恋人の彼との出会いを回想する。1200字程度の短編ですが、ものを大切にしているという彼が、旅先で少しずつ買い集めて、いつくしんで使っている品物の列挙が、二人の距離の近さを伝えています。
全編通して丁寧であたたかい作品でした。

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タイトルが短歌の詞書の役割を果たしている本作。研ぎ澄まされた言葉から様々な情景が広がります。
「置いてきた」町という表現がとても素敵で、なんらかの決意があって別れを告げた町に住む、かつての親しい相手からもらった手紙から「さわさわ」と思い出が香りの形を取って湧き上がっていく、そんなイメージがさらに強固になる感じがしました。