こんにちは、魔法のiらんど編集部です。今回ご紹介する注目作家は、今嶌ろねさんです。
2020年10月に開催した週刊ヤングジャンプで連載中のコミック『少年のアビス(作:峰浪りょう)』と魔法のiらんどとのコラボコンテストで作品『今日が命日』が大賞を受賞した今嶌ろねさん。本日は、作品『今日が命日 』に焦点を当てつつ、今嶌ろねさんご自身にも迫っていきたいと思ます!
▶今嶌ろねさん
―魔法のiらんどをご利用されたきっかけを教えてください。
元々とても小さなサイトで活動していたのですが、そのサイトが閉鎖するに辺り作品を移行し始めたこと、また活動初期に、当時から現在に至るまで尊敬してやまないホラー作家さんの活動拠点が魔法のiらんどだったことを知り自分もここに身を置きたい、と思い利用させていただくようになりました。
―はじめて書いた作品はどんな作品ですか?当時を振り返ってどんな思い出がありますか?
元々は漫画家志望だったので、物語を文字に起こし始めたのは十年以上前になるのですが、めちゃくちゃ口の悪い男勝りな死神の女の子と、高校生の男の子のSF小説でした。処女作だというのに背伸びをしすぎた結果、1シーンに3ページ(各1000文字)を費やし絵で表現することとの違いと、難しさを痛感致しました。
ーー代表作『今日が命日【完】 』についてお伺いします!
▽代表作『今日が命日【完】』
―作品を執筆された動機、ストーリーを思いついたきっかけなどを教えてください。
夏の終わりだったことだけは覚えているのですが、お恥ずかしながら何をきっかけに思い立ったのか全く覚えていないんです。取り憑かれたように書いて、終わり方は70点、と自己評価した記憶があります。
―完結までの執筆期間やその間の更新頻度を教えてください。
短いお話なので、その日に思いつき、その日に書き上げました。集中力が本当にないので、仕上げてしまわないともう書けないと思ったからです。
―執筆する上で、こだわっていた部分はありますか?それはどんなところですか?
これはこだわりと言えるかわかりませんが、得体の知れない何かにしようとして、あまり人らしく「新見」を認識していなかったように思います。死生観が人の形をして歩いていたらそんな不穏はないなと、意味にあとから身体をあてがおうと、注力していました。生にも死にも転がるような。
―完結までに苦労されたこと、大変だったことはありましたか?
短編だったので、これが本当になくて……(泣) 水酸化ナトリウムについて調べて、脱線しかけたので慌てて軌道修正をかけたような気はします(そして何も活かせませんでした)。
ーー普段の執筆活動や作品についてお伺いします!
―普段の執筆時、プロットやメモなどは作成しますか?作成する場合はどのように作成していますか?
以前長編を書いていたときに初めてプロット表を作りましたが、可視化すると際限なくこだわり抜いてしまい身動きが取れなくなってしまうので、基本は頭の中で大筋を練り、それで終わらせます。登場人物、名前、特性、伝えたい台詞などを箇条書きにして、要点だけをおさえれば、あとは自由に書きます。
―作品を完結させるまでの執筆期間やその間の更新頻度を教えてください。
作品によるのですが、短編であれば即日完結(集中力がないんです本当に)が目標で、長編は本当に亀さんなので、一時期「三日に一度更新にしよう」と思ったこともありましたが、日常が光の速さで私を追い越していくので、もう諦めました。好きなことを好きでいるために大切なことは、無理をしないことです。
―どういった時にストーリーを思いつきますか?
何気ない生活の中で降ってくることが多いですが、光や音から刺激を受ける時が多いように思います。写真もありますし、決まった時間で要点を人に伝える映画の予告編はそれらが合わさっているので、いつもグッ!と心を掻き立てられます。これから書こうとしているものは風景写真からですが、最近は新しく覚えた言葉の意味を紐解いたりしているときに、糸がほぐれて「おお…?」みたいなことがあります。日本語が下手で申し訳ありません。
―キャラクターの設定は、どのように決めていますか?
こういう人間を描きたい、から進むこともあれば、ストーリーが先なら物語に沿った人物を形成している気がします。命を吹き込めば、その内一人歩きして驚くこともあります。頭を痛めて生み出した人物は投影で、彼らの発言で自分がこう思っていたのか、と気づかせてくれる、みんな特別な存在です。
―ご自身の作品で特に思い入れのある作品をひとつ、教えてください。
『きみは僕の正しい光』です。
―『きみは僕の正しい光』について、それに対する思い入れの度合いや、あるいは作品のアピールポイントを教えてください。
いつか知的障がいをテーマにした物語を書きたいという思いが強くあったのですが、それを形にしたものです。
冒頭から書くのが辛く、泣いてしまい、自分を削ぐような作品になりましたが、それでも筆を折ろうとは決して思いませんでした。自分の代表作にしようと意気込んだ物語でもあり、生半可ではないので、今嶌ろねとして一番私らしく、私が書いていきたい方向性を的確に明示したものだと思っています。
▽『きみは僕の正しい光 』はコチラ
―ご自身の作品で特に思い入れあるキャラクターをひとり、教えてください。
『ビッチは夜を蹴り飛ばす。』の硯 司です。
―硯 司について、そのキャラクターに対する思い入れの度合いや、ここを見て!といったポイントがあれば教えてください。
元々当初は謎めいた人物にしようと必要最低限の設定しか考えていなかったのですが、個人的に私が素っ気ない人に心惹かれてしまうので、つれないのにやさしい、そしてギャップがある、低燃費気まぐれ無表情にしたら、私の好みをふんだんにあしらった人物になりました。センスの権化というか、洞察力に人一倍優れているのにヒロインの鳴と一緒になってバカになってくれる、大人になりきれない大人です。
今はⅡに着手していて、彼の心を作ってあげるお話を今からとても大切に扱いたいと思っています。
▽『ビッチは夜を蹴り飛ばす。 』はコチラ
ーー今嶌ろね さんご自身についてお伺いします!
―読者のみなさんとのコミュニケーションはどのように活用していますか?または、これまでもらったレビューやお手紙で、一番うれしかったメッセージはどんなものですか?
「あなたのおかげで、生きる勇気が湧きました」というとてもシンプルな一言だけの匿名メッセージを頂いたことがあり、震えて泣いてしまった感動が、いまでも忘れられません。誰にも見つけられないと思っていた私に、意味と価値をくれた、その言葉をいつも心に握っています。
―今後の展望は?現在更新中の作品や今後書いてみたいストーリーがありましたら教えてください。
その時々で全集中なので今はもぬけの空なのですが、現在更新中の夜蹴りと並行し、美しすぎる殺人鬼や夜に人間開花する教師と生徒であったり、世界の不条理を追求する学生の話や死刑囚と看守など、なんだか文字に起こすと物騒な物ばかり書きたいですが、青春はいつも心に携えていたいです。でも瞬間ごとに浮かんだ物語と手を取って、自分なりでいく、そんなノープランもきっと素敵ですね!
―好きなものやハマっていることなどがあれば、教えてください。
昨年初旬より韓国にハマり、語彙力トレンドが「尊い」と「性癖」になってしまいました。映画と音楽、写真は絶えず好みです。でも、いつまで経っても飽きずにこうして追求を続けている執筆活動こそ、私たちが一番信じてやまない「好き」と「ハマっている項目」だと思いませんか?(キメ顔)
―読者のみなさんへのメッセージを!
このどこにもいけない心の置き場をどこにやろう、と逃すために辿り着いた創作という場所で、私の蟠りや不穏をぶつけているばかりなのに、それを見つけて、声を上げてくださる皆さまに、いつも頭が上がりません。
重度の人見知りなのですが、頂いたコメントも全部スクショして励みフォルダに収めるほど、全てが私のたからもので大切にしています。私を物書きにさせてくれるのは、そこにいるあなたです。日々精進して参りますので、そのとき隣にいてくださると、幸いです。
――インタビューにお答えいただき、ありがとうございました。
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