大学三年生の瀬戸祐樹は、大学一年の時から同学年の女子、三島加奈子に片思いしていた。
ある日、学友の計らいで加奈子と二人きりになる機会を得た瀬戸は彼女に告白をする。すると加奈子も一年の時から瀬戸が気になっていたと言い、二人は晴れて恋人同士になる。
初めて異性と付き合う者二人、恋人たちのむずがゆくも幸せな時間――。
しかし、ふとしたことから指先を切った加奈子の血を見た瞬間、瀬戸は全身が震えて恐ろしい衝動に襲われる。
――加奈子の血が飲みたい。
瀬戸に芽生えた吸血衝動は消えることなく続く。
そんな中で瀬戸は小学生からの腐れ縁である学友、山岸夏海を思い出す。
彼女は中学生の頃から、リストカットを繰り返していた。
瀬戸の止まることのない吸血衝動。その対象を加奈子から夏海に変えることは出来ないだろうか。彼女の自傷して流した傷の血を飲んでこの衝動をやり過ごせれば、誰も傷つかないのではないか――?
瀬戸はその考えを実行に移す決心をして……。
どうしようもなく愛おしい人と、その代償を求めた青年。
彼らの縺れ、狂いゆく物語。
歪んだ愛
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