もう独りじゃない。未来と過去に私の大切な家族がいる。
歌子、15歳引きこもり。家族は、いない。
6歳の時両親は離婚し、七夏おばさんに預けられて9年目の夏、7月7日。
高校に進学したのも束の間、始業式3日目で不登校になった。
家から出たくない、人と話したくない。
自堕落な生活を送る中、突然変な男が現れた。
その人は私の家に次々と妙な人達を連れて来た。
坊主頭の男の子、坊主君。
妊娠している女性、妊婦さん。
仏頂面の男性、サラリーマンさん。
ギラギラした格好をしている女性、ギャル。
何も喋らない少年、謡君。
互いが何者なのかもわからない彼らと入れ替わり、七夏おばさんを人質に取られた私は「人物当てゲーム」を強いられてしまう。
それぞれの名前と正体を明らかにするまで平穏な日常は戻らない。
コミュニケーション能力が低く、引きこもりの私はパニック状態になるもどうにかこの謎の人達との共同生活を我慢するのであった。
一体彼らは何者なのか。
それを知った時、別れを迎える瞬間に私は人生で一番多くの涙を流すことになる。
これは、家族とは何かを知らない私の、ひと夏の記録である。