「僕は一度もあなたを姉と思ったことはない」
ユークレイス公爵家の養女ベアトリーチェは、第三王子と政略結婚をする日の朝、絶世の黒髪美青年と名高い義弟のエリュシオンに壁際へ追い詰められていた。彼は背筋が凍るほどの甘い笑みを浮かべながら、ベアトリーチェの手を取り薬指に口づける。そして次の瞬間、
「さようなら、リーチェ。来世の姉さんは、僕と幸せになりますように」
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「――っあああ!! もう！ また死んだの!? あの極悪義弟め!!」
ベアトリーチェは勢いよくベッドから起き上がる。21歳の結婚式の日に初めて義弟に殺されてから、17歳の春に人生が巻き戻ること13回目。さすがに堪忍袋の緒が切れた彼女は、その衝撃で日本人だった前世を思い出していた。
「今回はもう絶対に許さないんだからっ！」
生家に捨てられたトラウマから、今までずっと『従順な公爵令嬢』でいる努力をしてきたが、前世の記憶のおかげで色々吹っ切れた彼女から見ると、些細な問題でしかない。
「というか、なにが『公爵家に捨てられるのが怖くて』よ！ そんなの死ぬよりずっとマシだわっ。むしろ捨てられるくらいがいい！ 見てなさいよ、エリュシオン・ユークレイス。極悪なあなたもビックリするような悪女になって、あなたの人生をめちゃくちゃにしてやる……！」
何度も人生をループさせるほどの魔力チートな極悪義弟へ復讐するため、ベアトリーチェは〝立派な悪女〟になって彼がもたらす死から逃げきってみせると決意する。
一方、幼い頃から一途にベアトリーチェに恋い焦がれ続けてきたエリュシオンは、悪女とはずれまくった行動を取る姉に、重たすぎる溺愛が止まらなくなっていた。独占欲が煽られまくるし、愛おしさで胸が苦しくてたまらない。
そんな義弟による甘々な溺愛モードは、毎日加速していくばかりで――!?
悪女としてずれている令嬢ヒロイン×激重感情に振り回されるこじらせ次期公爵の溺愛ラブコメディ！
キャラクター・プロット
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