読書記録です。ちょいちょい読んだものをここに残しておこうと思いまして。
多分大体キャラ文芸ライト文芸ものばっかし、たまに中華BLが入ってくるかと。
ふつーにネタバレするので、嫌な方はバックしてください。
では……
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今回読んだのは↓です。
「斉国札術士録 活版書房と札見習い」 九条菜月 角川文庫
【概要】
舞台は「斉国」。多分春秋戦国時代辺りの「斉」をモチーフにしていると思われます。
斉国では黒い炎を纏う獣「妖」という存在が人間を脅かしており、彼らを退治できるのは神木札という特殊な道具を扱える「札術士」という存在だけ――という感じの舞台背景。
そして主人公の「朱雨露」はこの札術士の名門「朱家」でありながら、神木札を扱えない落ちこぼれ。
そんな彼は兄から黄土版(新聞みたいなやつ)の記者である「呂天佑」という男の護衛を頼まれます。
そこから雨露くんは天佑と共に行動しつつ、いろんな事件に巻き込まれて行く……という感じの話です。
【感想】
正直、う~ん……という感じでした。
というのも、「札術士」というタイトルと、「中華ファンタジー」というアオリ文句で手に取った作品だったので、なんとなく妖怪とかと戦っていく系の話だと思っていたのですが、そうではなかったというか……
読み終わってみると、中華風の世界観を舞台にしたバディもののライトミステリ小説、みたいな感じでした。
改めて作者さんの作品歴を見ると、最近のキャラ文芸に多い感じの、謎+αみたいな作品を書かれていたので納得。
恐らく続編を作る想定で書かれているのかな……という感じで思いはしたので、一応以下はそれ想定で書きます。
●良かった点
時代考証や活版書房の仕事、製紙業の事、国の仕組みなどはとてもしっかり書かれていて、目新しさがありました。
確かに古代中国で製紙系や記者系の職種に目を当てられることはあんまり無いなあと思い、読んでいて面白かったです。
また、天佑と雨露のキャラも良く、やりとりを見ていて楽しかったです。
●微妙だった点
上記の通り、もっとファンタジーしているファンタジーを期待していたので、ちょっと残念でした。
札術士という存在はあるものの、主人公は術が使えず、棍で戦う系。成長物語でもあり、この巻の最後ではちらっと術を使うのですが、ほんとに最後の最後。
「妖」という存在がいるという世界観の割には、この巻ではあんまり物語に絡んでこなかったり……どっちかというと、天佑が黄土版の記者、という設定の方によっていた印象です。
また、天佑の頭が良すぎて、雨露くんじゃないと持ってない知識とかもこの時点ではあんまり無いんじゃないかな、という感じもしたりして。
また、ライトミステリっぽいので、途中で事件の内容とかにも目が行ってしまったのですが、事件の内容的にも、どこかで見たことあるなあ……という感じのものが多かった気も。
まあ確かに事件に絡んでくるアイテムはこの作品ならではのものだったんですが、どこかで見たことある事件のアイテムを差し替えただけ……という印象が強く、この作品じゃないと読めなかった!的な感じでは今のところ無かったです。
まあ、キャラ文芸ってそういうのが多いので、そういう意味ではアリなのかな、とも思いますが。
でも、続編があるにしても、もう少し1巻で「妖」の存在感や「札術士」の仕事の実態などは書いてもいいんじゃないかなあ……とも思いました。
陰陽師もののライトミステリ系でも、結構妖怪や呪いが関わってきたりもしますし……
という訳で、総合的には10点中5点くらいでしょうか。
中華系のファンタジーって、本国の小説がものすごい壮大なので、それを知っていると、うう~ん、ってなっちゃうんですよね……
中華後宮ものは日本でも大量にあるのに、武侠ものや仙侠ものが少ないのは、価値観の違いの他にもそういう理由が合ったりするのかも。
今書いているものも中華系ファンタジーで若干謎解き?みたいな話なので、反面教師的に気を付けようと思いました。
ではではこの辺りで。