森尾月子

もりおつきこ

何気におばちゃんです。
今まで書いてきた書き物を残したくて登録しましたが
どうしたらよいかわからず、
別サイトより手直ししながらUPしています。
妄想ものです。夢物語です。

YUZURU 2

「弓弦さんのお勤めは?どこのバーにいるの?」
「銀座の通りを一歩裏通りに入って突き当りの`mask´にいつもいますよ。」
「`mask´っていや、有名人や著名人の行きつけのバーじゃないですか?
 先輩たちもよく行くそうなんですけど。」
「そういえば、お顔だけは拝見したことがあるひともいるような。
 でも、あたしの担当ではなさそうです(笑)」
「落合先輩とかはお兄さんとその仲間と・・・・
 そうそう!西村正弘さんも来られてますよね?お知り合いなんですか?」
「あぁ。西村さんね。西村正弘さんは高校のOGでOB会で知り合って
 よくかわいがってもらってます。高校の時の部活吹奏楽部なんで。」
「そうだったんだ。学年は?」
「かなり違いますが、やっぱり西村さんもその・・・・・・ 
 翔太さんにあたしがそっくりだとすぐに顔を覚えてくれて(笑)」
「いいことじゃないですか、僕に似てるということも。」
「翔太さんは、いい男だけどそれにもまして人柄もいい。あたしとは正反対だわ。」
「元原ぁ。翔太が怪我した時頼めるな(笑)」
「話し声で偽物ってばれますって。」
「あの。」
「なんだ、悠太。」
「熱くないですか?この人数でお鍋だし。」
「そうですね、ちょっと暑いかも。」
「ほら、弓弦さんも。」
「あぁ、大丈夫です、上着を脱げば。」
「弓弦、それこっちにかける?」
「ん、頼んでいい?」

すると、上着の背中の内側には1本の三つ編み。

「あの。弓弦君。」
「どうかしましたか?社長。」
「やっぱり髪は腰のあたりまで長いが魅力的だなぁって。」
「あぁ。これですか?こうやってないとめんどくさいし
 邪魔じゃないですか。お風呂と女性とみてほしいときだけ
 三つ編みをほどいていますよ。」
「じゃ、ここでは翔太がいるから間違えんためにも
 その三つ編みをほどこうか。」
「ここでですか?」
「弓弦さんの髪がほどけたところも見てみたいよな。悠太」
「みんな期待しているのね。」
「まぁ、食べるのにも邪魔なのでここでは。」
「みんな無理強いしないこと。それよりもしっかり食べないと帰れないぞ?」

そういうと、箸を進める。
そんな楽しい時間はすぐに過ぎてしまうわけで、時計はもう23時になろうとしていた。
すると弓弦の携帯にメールが入る。

 `弓弦、今どこ?店がお休みみたいだけど?´

西村からのメールだ。

「あ、先輩からだ。何か用事なのかなぁ。」
「弓弦?誰?」
「弓弦さんも隅に置けないなぁ。誰ですか?」
「気になるなぁ、なぁ翔太。」
「ただの先輩ですよ先輩。」
「まぁ、君はやはりもてるということだ。
 さぁ、お開きにして弓弦さんと山本君を開放してあげないと。」
「そうですね、夜も遅いし。」
「ひかりちゃんに言うと弓弦さんとは連絡取れますね?」
「悠太?お前抜け駆け?」
「違いますよ、誰かと呑みに行くときバーだったらオシャレじゃないですか。
 一度行ってみたくてさ。」
「喜んでお迎えしますよ、`mask´は一見さんお断りなところもありますから
 お越しいただけるときは、連絡をいただいた方がいいかも。」
「そうなんだ。」
「一応有名な方もおられますからね」
「その有名な人たちに囲まれて、なかなか弓弦は来ないんだもんねぇ。」
「あはは。女として見られてないから、呼ばれて話が進むんじゃん。」
「それもなかなか微妙だな。でも槙村先輩は多分そういうところ好きかもな。」
「わかるわかる。渉さん、静かなのが好きみたいだし。」
「ねぇ、弓弦。メールは誰?」
「あぁ、先輩。」
「見せてよ、ねぇ。だぁれ?」
「ん?ほら。先輩だって。」
「え?先輩?西村って・・・・・。」
「うっそ、うわさをれすればじゃん。」
「弓弦さん、メール返してみてよ。どこかに呼ばれない?」
「どこかにって、どうだろう(笑)」
「何か用事で呼び出されるのかも?」
「でももう夜中だしなぁ。なんだろう。」
「もし呼び出されるんならさぁ・・・・・・。」
「もしかして一緒にってこと?」
「社長。もしかしなくてもプライベートでならOKでしょ?」
「男っぷりを学んでくればいい。向こうが良ければな。」
「弓弦さん、はやく。」

そういわれると、お店を出てからの通り道でメールに返事を返した。

 `こんばんわ。今日はオーナーの都合で臨時休業になりました。
  今、ひかりの会社の人たちと一緒に居ますが。どうかしたんですか?´

と返信すると、電話が即入った。

「弓弦?今大丈夫?」
「先輩どうしたんですか?」
「まだ起きてたんだ。て言うか今大丈夫なのか?」
「ひかりと一緒なんですけど。何かありましたか?」
「ちょっとさ。ちょっとね。」
「んじゃひかりをタクシーに乗せて送り出してそれからでも大丈夫ですか?」
「あぁ、それでも大丈夫だけれど弓弦は大丈夫?」
「えぇ。あの、ほかについて来たいって横に人がいるんですが。」
「誰?」
「西村さんと同じ仕事をしているひかりの会社の人間です。」
「そうなの?別にいいんじゃない?。」
「OKだって。」
「大勢なの?弓弦。」
「たったの5人です。」
「5人もかぁ。俺も顔を知ってる?」
「多分。んじゃ着いてからのお楽しみに。」
「待ってるよ。」

そういうと電話を切り、タクシーにひかりを乗せ家に帰した。
西村の言ったところまで行くと、これから呑みに行くからとの呼び出しだった。

「弓弦、ごめんな。てかさ、お前髪。」
「あはは先輩、ちょっとね。三つ組みほどかされちゃってさ。」
「て言うか一緒の5人ってMartinの5人やん。」
「初めまして西村さん。」
「初めまして。まさか弓弦のおともにMartinとはなぁ(笑)」
「ごめんね、先輩。」
「何がだ?」
「すみません俺たちもあつかましくついてきてしまって。」
「いや、大勢のほうが楽しいし。でも弓弦にみんな驚いたんだろ?」
「だって翔太が二人ですよ?(笑)」
「俺、戸惑ってしまいましたもん。」
「弓弦は女だから余計にな。」
「先輩。念を押さなくたって。それよりなんか用事あったんですか?」
「弓弦を呼び出したのはさ、呑みに行くのの相手にと。で、明日走りに行かないかなぁって思っさ。」
「西村さんもバイク好きですよね。」
「だな。君らは?」
「悠太が400もってるぐらいで、みんな車でだとあちこち行きますけど。」
「俺は免許もってないぞ?」
「翔太はなぁ。仕方ないさ、俺らはこういう風な仕事はじめる前に取ってたしさ。」
「そっか、お前たちはアイドルだからなかなか運転することも
 きっと社長が許さないだろうなぁ。」
「怪我したら元も子もないですしね。」
「今夜はどうしようか、こうにぎやかだと隠れるのも大変だな。」
「今日はこのまま帰りましょう。そうしません?」
「弓弦は?」
「もちろん帰ります。だってMartinの5人を先輩に会わせたし
 それでこの子たちも今日はいい一日になっただろうし。」
「西村さん、これからもよろしくお願いします。
 仲良くしてください。俺らみんなファンだったんですよ。」
「よくTV局では会うのになぁ(笑)」
「俺らが話しかけてもいいのかどうか、恐れ多くて。(笑)」
「見かけたら遠慮なく話しかけてよ。俺それがうれしいし。」
「さぁさぁ、もう25時よ?あたしも眠たい。」
「弓弦お休み。明日は午後から走ろうと思うけど、お前仕事だよな。」
「明日は仕事。夜は来てよ。」
「俺らも行きたい。」
「来るならメール入れて。ひかりに言えばいいから。」
「やったっ。」
「素直にいい奴らだな。知り合いになれてうれしいよ。」
「じゃ、俺らもこれで。」
「お休み。」
「先輩お休み。」
「弓弦、ちょっといい?」
「ちょっと待ってて先輩、この子たちタクシーに。」

「ねぇ、弓弦さん。」
「何?翔太君」
「西村さんと弓弦さん、付き合ってるの?」
「違うわよ?素直に先輩後輩の仲よ?彼女だったらファンが怖いわ。
 きっと殺される(笑)さぁさぁ、人のこと気にせずに乗った乗った。」
「弓弦さん、また今度。お休みなさい。」
「えぇ、おやすみなさい。」

そうやってMartinの5人をタクシーに乗せ、西村の待つ公園に戻る。
ベンチに座り、ぼーっと座っている西村に声をかける弓弦。

「先輩。あの子たちあたしと先輩が付き合ってるって思っちゃったらしいわ。」
「俺はそれでもいいんだけどなぁ。」
「先輩?先輩の彼女のハードル高いからあたしじゃ無理ですよ。」
「なぁ、弓弦。」
「なんですか?」
「帰ろうか、部屋に。」
「ちゃんと先輩は先輩の部屋に帰ってくださいね(笑)」
「俺は俺の部屋にか?俺弓弦が俺の部屋に来ないなら
 俺が弓弦の部屋にお邪魔しようと思ってたのに。」
「だめに決まってるじゃないですか(笑)」
「わかったわかった。」
「お休み、先輩。」
「おやすみ、弓弦。」

そういって、弓弦はひかりの会社の前に止めたバイクをとりに行き
その足で家に帰って行った。
次の日、朝起きるともう9時を回っててひかりも誰も家にはいなかった。
弓弦は煙草をくゆらしながら、ひかりの弁当の献立を考えていた。
冷蔵庫を覗き、人参のグラッセ作って後はどうしようかと。
弓弦の携帯にメールが入る。それを知らないままキッチンに立って
何かを考えるということもなく材料を手前に並べ2本目の煙草に手が伸びる。
お弁当のがつくり終えたところ携帯のメールに気づいてメールを見た。

 `弓弦。おはよう。今日はやっぱり仕事だよな
  仕事でなければいつもの仲間で遠出できるのにな。´

 `おはようございます。ひかりちゃんから聞いてメール入れました。
  槙村です。明後日、帰ってくるので良ければ訪ねていきたいのですが
  お店は?ひかりちゃんが行くときは連絡をって言ってたから
  このメールに、日時を入れたら大丈夫なのか?
  気が付いたらメールをください。´

 `おはw弓弦、起きた?槙村さんから連絡もらって
  今メールしたけど、ちょっと前に槙村さんにメールアドレス教えたよ。
  んじゃね、楽しみにお弁当待ってる´

まぁ次々とメールが。弓弦はウザそうに携帯を見ていたが
迷惑メールではないのでと次々返信していった。
お昼前には家を出てまずひかりのお弁当を届け、
カフェに行き朝ごはんをとり、行きかう人波をぼーっと見ていた。
15時を過ぎる頃、ぶらぶらとしていた弓弦はお店に出勤。
身支度を整え、買い出しに行き開店の準備をする。
お店の仲間たちも携帯にも今日のお客さんからのメールが続々と入り始めた。
開店するのか、お気に入りの店員が行く時間にいるのか弓弦もそうだ。
そんなお客様からの確認のメールをチェックしている。
弓弦の携帯にもぼちぼちとメールが入りはじめた。
今日も忙しくなるのかもなぁとため息をついた。
そしてその一日の始まりが開店とともに始まる。
そういう日が続くのが弓弦の仕事なのだ。

 `先輩、お疲れ様です。今日は仕事ですよ、お店にいます。
  ツーリングのお誘いありがとうございます。
  しかし勤務があるので当分は一緒には無理っぽいみたいです。
  眠く疲れたままだと事故が怖いので。
  またお誘いください。お店で待っていますよ。´

 `お仕事お疲れ様です、槙村さん。
  まだこちらには帰ってこられてないのですね。
  帰ってこられた際には、ご一報くだされば
  お店の方でお待ちしております。
  私の勤めるお店`mask´は一見さんは入れません。
  なのでちゃんとまた来るときmailをください。
  よろしくお願いします。
  うちのひかりがいつもお世話になっているのに
  すみません。
  心からご来店をお待ちしております。´

 `ひかり。また入口で。中には入っていかない。よろしく´

そう返信を返しては、またチェックを入れ失礼のないように
受信したメールに返信をする。

その日の夜、山本社長が秋山と一緒に`mask´に来店された。
それも弓弦を指名して。
サテンの白いシャツに、黒のタイトパンツ姿の弓弦。
周りの男の人たちに紛れて、本当に男にしか見えないように。
入口の黒服に呼ばれ、弓弦は出迎えた。
自分のカウンターまで案内をし、挨拶。

 「ようこそ`mask´にご来店いただきありがとうございます。
  山本社長。お隣は?」
 「あぁ、秋山君だ。K'sbrotherのリーダーだよ。」
 「初めまして、原田です。いつもひかりがお世話になっています。」
 「初めまして秋山です。受付嬢のひかりちゃんの?。」
 「いとこになります(笑)」
 「この間はうちの槙村がお世話になったそうで。」
 「いえ、困っているときはお互い様ですから。」
 「でも本当に社長、髪が短ければそのまま翔太ですね。
  しかしびっくりするぐらいにほんといい男だな。」
 「それは褒めてますか?」
 「褒めてるんですよ。社長についてきたのは、俺スカウトも兼ねてるから。」
 「へぇ、仕事ってそういうのも兼ねてる時もあるんですか?社長。」
 「えぇ。彼らの目線はやっぱり大切でね、
  自分たちの仕事を共にこなしていくことができるかできないかと
  ちゃんとした目線で見てくれるからな。」
 「そうなんだ。でもあたしは、きっと不合格ですよ?」
 「なぜ?俺の目は共に仕事がしたい雰囲気をつかんでるけど。」
 「山本社長のM'scompanyはタレントは皆さん男性でしょ?」
 「例外なく男性ばかりだなぁ。」
 「それが問題?」
 「そうですね。ここも仕事上、表にこうやっているのは男ばっかりですが
  もしかして男に見えてるんですか?」
 「え?ちがうの?」
 「社長、もしかしてだまって連れてこられたんですか?」
 「秋山の目をためしてみたかったんだともいえるが。」
 「秋山さん。仕事の話は無理ですよ。」
 「なんで?」
 「あたし女ですから(笑)」
 「うっそ。声低いし、
  背ぇたかいし話すところ一緒に働いてる人とかわんねぇじゃん。」
 「社長も人が悪い(笑)秋山さんかわいそうですよ?」
 「そうかな?まぁ、それはそれで。
  そういえば、ここは早い時間来店する人は少ないね。」
 「そうですね。でもしばらくするといろんな方々が見えられますよ。
  そしてここではいろんな話が飛び交います。男性であれ女性であれ
  安心して話ができるように、カウンターも広いし
  席が離れているでしょう。店内も薄暗くしてあるし。」
 「そっかぁ。お忍びで来られる有名人も多いんだ。」
 「では、あちらでも呼ばれているので
  山本社長と秋山さんにふさわしいのをお出しして
  あたしはちょっと離れますが、よろしいですか?」
 「あぁ。ひかり君が言ってたとおり君は人気者だな。
  私はリッキーを頼む。秋山君は?」
 「俺の分は、おすすめで。」
 「では、リッキーを2つにしましょうか。」
 「あぁ、頼む。」

そうやって弓弦は、社長と秋山の分を作り少し離れた席にずれた。
その弓弦の仕事姿を横目で見ながら社長と秋山は仕事の話をし
弓弦は、隣の人を相手にしていた。
社長と秋山がふと弓弦から視線を外し、その客を見るとよくは見えないが
見たことがあるような気がしていた。

「社長。弓弦さんと話しているのはあれって???」
「西村正弘さんじゃないですか?」
「そうかぁ、彼と弓弦さんはやっぱり仲がいいんだな。」 
「すごくいい顔して話しをしていますね、弓弦さん。」
「でもためはってる顔だぞ?男と女の話す顔じゃない。」
「でも、彼が一人ででもここに来るのはやっぱり少しは気持ちがあるのではないでしょうか?」
「ちょっと挨拶してくるかな。」
「行ってらっしゃい、社長。」

そういって席を立ち、弓弦と西村のそばに行った。

「こんばんわ。西村君。」
「あ、こんばんわ。えっと」
「M'scompanyの社長の山本様です。」
「あぁ、昨日のmartin5人組の所の。」
「いや、昨日はうちのものがあなたと話ができたって喜んでましたよ。」
「そんなまたまた、同じタレントなのに。」
「いえいえ、あの子らにとっては大御所と呼ばれる大先輩ですし
 君みたいな人をわが社にも欲しいね。」
「そんなほめられる僕じゃないですよ。」
「社長お連れの方、一人ですよ?」
「秋山君もこっちにいいかね。」
「K'sbrotherの秋山君じゃないですか、一緒にどうぞ。」
「秋山様、あちらに移動しましょう。」
「あ、弓弦さん。いいんですか?」
「三人での話の方が、きっと盛り上がると思いますよ?」
「んじゃ、呼ばれようかな。」
 
そうやってその夜は弓弦の紹介で西村と秋山と社長でつながりができ
またここで会おうと、話をたまにするのはいいなと言いながら
お互いの立場のいろんな話で盛り上がっていった。

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