森尾月子

もりおつきこ

何気におばちゃんです。
今まで書いてきた書き物を残したくて登録しましたが
どうしたらよいかわからず、
別サイトより手直ししながらUPしています。
妄想ものです。夢物語です。

YUZURU 10

「ただいまぁ」
「おかりぃ!弓弦、お前お手柄だったねぇ!TVで流れれたよ。
 でさ、さっき湘南の方のなんだっけ警察からも電話が入ったよ?」
「面倒だなぁ(笑)」
「面倒ってあるものか。いろんなところから電話が入って
 忙しかったんだぞ?店の方にも、こっちでも。
 お得意さんや、弓弦を知ってる人たちからの電話でてんてこ舞いさ。」
「明日から料亭は予約で忙しいかもな。なぁ、母さん」
「えぇ、弓弦が住み込んでいる料亭ってここは有名だものな。(笑)」
「商売繁盛はいい事じゃん。でも、あたし明日は仕事だから手伝えないよ?大丈夫?」
「なんとかするさぁ。なぁ、母さん。」
「何とかならないときは出勤前ぎりぎり手伝ってもらうさ。なぁ弓弦。」
「結局手伝わされるのか。(笑)」
「ひかりも明日は大変だわ(笑)」
「ていうかさ、弓弦?」
「なに?」
「携帯見た?」
「怖くて見れないさ、槙村さんの電話切った時もピカピカ光ってたし、
 さっきも着信音なってたし怖くて怖くて。」
「でも、仕事仲間と指名のお客さんには返さないと大変よ?」
「そうなんだけどなぁ・・・・・」
「さぁさぁ。夕飯は食べたのかい?」
「まだだよ?」
「さっきさ、隣の森本さんがさお前たちにって魚を届けてくれたんだよ。
 TVのニュースを見た口だね。どうしても食べてっていってさ、おいてったんだよ。
 今はまだ夜だからいいけど、明日が怖いね。食べないようだったら、
 明日お店で出すけどさ。」
「えぇ?どうするのさ、こんな大きな魚。4人じゃ食べれないんじゃ?」
「そうだねぇ。で、とりあえず半身は刺盛りにしたけど?」
「食べるっ。ひかりおなかすいたよなぁ。」
「うん、ご飯。ひかりもおなかすいたぁ。
 弓弦、洗濯物はランドリーにおいてていいよ、あたしがやるから。」
「ありがとう、とりあえず着替えてご飯だ」
「おーい、弓弦。」
「何?伯父ぃ」
「久しぶりに吞むか?」
「あ。のむのむ!何か珍しいの手に入れた?」
「今日は`赤´と`金´さ。お土産にもらったんだ。吞むか?一緒に。」
「呑むー!待ってて!」

そういってひかりの家では夕飯が始まった。
家の明かりが入ったころ、弓弦の友人たちや近所の知り合いや
`こんばんわぁ´のあいさつと共に玄関の戸が開く。
みるみる間に玄関の土間には来るが沢山あふれかえった。
今日のその話とかで盛り上がってわいわい騒いでいる。
すると隣もの森本さんまでその騒ぎに気が付き、押しかけた。
ひかりのうちではにぎやかな夜が更けていく。
久しぶりのこの賑わい、弓弦もひかりもみんな笑顔。
伯父も伯母もバタバタだけど始終笑顔のまま時が過ぎていく。

「弓弦?」
「あに?」
「弓弦、久しぶりに吞んでるから酔ってるでしょ?」
「そだなぁ。」
「弓弦は味覚が劣るからって吞まないんじゃなかったっけ?」
「今日は別。赤だぞ?こんな手に入らない貴重な焼酎。
 呑まないんじゃなくって、美味しいのしか口にしないんだって。」
「お酒でもおいしいとかあるんだ。酔っぱらうとわかんないんじゃない?」
「わかるさ。」
「でも弓弦?」
「なにさ。」
「忘れてる。」
「何を?」
「ご贔屓さんにメールの返信。」
「あちゃ(汗)」
「へべれけになる前に、返そうよ。」
「そうだなぁ、意識がある今のうちか。」
「もしかして意識なくなるまで吞もうと思ってたの?」
「いいじゃん、たまには珍しい事だろ?」
「それよりも早く、遅くなったら気まずいでしょ?」

そういうと、弓弦は携帯をとりに部屋に戻りバッグの中を探した。
ない。携帯がない。弓弦は`やばっ´とおもい、
部屋からランドリーから片っ端から探して回る。その時点で酔いがさめた。
最後、車?と思いガレージまで足を向けた。
すると、運転席の下に携帯が落ちていた。それに気づき見つけると
弓弦は携帯を見つけ安心した様子で部屋に戻る。
その携帯へのメールのすさまじい事。早く返し始めればよかったと後悔する。
そしてみんなのいる場所に戻るとひかりがお帰りと言った。

「おかえり。あった?携帯」
「あぁ、あった。あったけど見たくない(笑)」
「そんなに?」
「あぁ。どうしよう。」
「とりあえず、同じ文章で返せるところは一斉送信したら?」 
「そうだなぁ。どうにかしないと。まぁメールはPCからでもいいよね?
 お店からも着信が入ってるよ(汗)」
「早くしないと。」

そうせかされて携帯とにらめっこし始めた弓弦。

「お疲れ様です、原田です。」
「あぁ、お疲れ様。休みなのに連絡を入れてすまんな。」
「いえ、オーナーどうしたんですか?」
「それがな先ほどまで連絡がきたらって待っておられたのだが。」
「もしかして山本社長ですか?」
「よくわかったなぁ。そう山本さんが来られててな。弓弦に話があると言われて。」
「もしかして来週まとめて休みをってですか?」
「誰から聞いた?」
「山本社長の所のタレントさんで槙村さんから電話でお聞きしました。」
「そうか、それなら話が早い。」
「オーナー。本当にあたし?」
「それがなこの話は誠から出てるんだぞ?」
「なんでですか?」
「もしかしてお前忘れてたのか?今日の話し合いは知ってて欠席したんだと思ってたが。
 本当に忘れてたみたいだな。でも誠からは聞いてたんだろう?
 チャリコンの件。弓弦・・・・・踊って歌うんだぞ?」
「真面目にmartinを5人でやると????」
「お前がいなかったから多数決で決まったらしいよ。」
「まじでですか?」
「誠と貴志・真志・俊哉・弓弦でmartin。決定だそうだ。」
「で?」
「その話を誠がさ山本社長にしたら喜んで、来週の沖縄に
 お前たちを同行させて、練習を一緒にと言われた。」
「あちゃ・・・・・。」
「そんなに嫌がるな、本物と一緒に練習するなんてめったにないぞ?
 しっかりと練習したらあとは本番だけだ。」
「そりゃそうですけど。」
「`mask´から出すにも、きちんと完成しないとみっともないから。」
「そりゃそうですけど。」
「んじゃ、決定事項だからその報告だけ。」
「ほかの人にその話ししました?オーナー」
「いや、知ってるのはお前ら5人と山本社長ぐらいか?」
「槙村さんも知ってたし。」
「そりゃ山本社長からの話で知った人もいるだろう。
 今日のニュースで、お前はちょっとした有名人だからな。」
「オーナーも見てたんですか。」
「いやいや、弓弦の泳ぎも心意気も心底惚れたよ。」
「またまた。褒めても何も出ませんよ?」
「明日からはお前も忙しいな。」
「まいりましたよ。mailがすごくて。
 単に人として当たり前なことしただけなのに。
 それに内緒のお休みが(汗)正直明日が怖いですね。」
「でもそれもお前の人柄だ。堂々と出勤して来い。俺も鼻高々だよ。」
「なんだか、恥ずかしいなぁ。」
「まぁ、今日はゆっくり休んで。おやすみ、弓弦」
「お疲れ様です、オーナー。」

そういって電話を切るとひかりにに明日は朝から大変だと伝えた。
真面目に山本社長が弓弦たち5人を連れて沖縄に行くと。
そして、お前も映っていたからきっと会社でもすごく騒がれると。
でもひかりは弓弦がますます自慢できると大喜び。
とりあえず、ひかりも赤霧島で酔っぱらっているのか気持ちよくなっている様子。

「伯父ぃ。あたし部屋に戻るね。ひかりも寝ようよ。」
「え?もう寝るの?」
「酔っ払いは寝ないとな。明日もあるんだし。」
「えぇ。まぁだぁ。」
「あたし知らないよ?」
「意地悪だなぁ。」
「あたし部屋に戻るね、伯母ぁ。酔っ払いになる前に
 メール返さないとさ、まずいし。誰も部屋まで運べないでしょ?」
「そうだねぇ。見かけによってお前は重いからね(笑)」
「そこまで言う?とりあえず、寝るわ。弓弦と一緒に寝るっ!お休み。」

そういって部屋に上がる弓弦とひかり。
弓弦は部屋の戻ると、また携帯のmailを確認するように見直していた。

 `弓弦、お疲れ。見た見た。そういわれるとあまり好きじゃないんだよな。
 だけどすごいな。お前の友達でよかったよ。´

 `こんばんわぁ。今社長からの連絡でmailしました。来週ご一緒ですね。
  楽しみです。また明日でもお店に行きます。´

 `お疲れ様、今日は休みだったかね?
  明日早いが開店と同時に、お邪魔しようかと思っているが
  大丈夫かね?連絡を待っているよ。山村より。´

 `弓弦。お前さ、いい加減女になれよ。
  お前の姿見たら、誰にも渡したくなくなった。
  でも、素直に人を助けれるお前はすごいな。お前がますます好きになったよ。´

 `こんばんわ。弓弦さん、今日の弓弦さんを見て
  きれいだったなぁって素直に思いました。
  来週はご一緒できると信じていますよ。楽しみにしています。
  それと明日花が届くと思いますが、受け取ってくださいね。
  俺ら5人からの気持ちです´

 `弓弦。明海だよ!やっぱり弓弦だね。全然変わらない。
  弓弦は男だったらレスキュー隊に入ってたかなぁ。
  でも、泳ぐ速さも劣ってない。すごいわ。
  この人あたしの同級生って、お母さんたちに自慢しちゃった。
  また、お邪魔するね。お仕事がんばって!´

 `弓弦さん、あまり男っぷりあげないでくださいよ。
  来週は一緒に沖縄なんですからね?貴志や俊哉もいるんだからさ。
  先輩、女磨きしましょうよ。では、真志より。´

そういったメールがたくさん入っていた。
とりあえずのメールを返した後、ちゃんと同じ返信をできないものだけを
返し始めた。

 `西村先輩。こんばんわ。
  弓弦は弓弦です。ただ、自分が助けなければ
  その子は息絶えたかもしれないし、当たり前のことです。
  それがかっこいいとかいろんなことにつながることとは思っていませんよ?
  そうそう、来週はお店にはいませんから。
  オーナーの命令で沖縄行なんです。すみません、そのうち顔だします。´

 `こんばんわ、山村様。明日は大丈夫です。
  一番ですね、腕によりをかけてお相手させていただきます。
  それと来週はお店にはいないので、そのご報告も。
  明日のご来店を心よりお待ちしております。´

 `真志、来週はよろしく。
  明日の出勤時点で開店は大変になるだろうけどよろしく頼むな´

 `こんばんわ、えっと元原さんですよね。
  お褒めの言葉ありがとうございます。来週はお世話になります、
  よろしくお願いしますね。そしてお花ですか?ありがとうございます。
  またのご来店を心よりお待ちしておりますね。メールをありがとう。´

そう返していく間に弓弦は眠りに落ちて行った。

朝、ひかりたちのあわただしい出勤のバタバタで目が覚めた。うるさいやつだなぁ。
と思いながらベッドから出ずにただ窓の外の青空を見て眩しいと。
9時を回るころ、電話が入った。伯母さんが弓弦を呼ぶ。

「弓弦!弓弦!起きてる?藤沢北警察署から電話よ?」
「はい、今降りてくるよ。」

そういって着替えると部屋から降りてきた。

「おはようございます、原田ですが何か?」
「おはようございます。藤沢北警察署の永沢と申します。
 昨日は、少女を助けていただきありがとうございました。」
「いえ、人として当たり前のことです。
 単純にレスキューより一足早く自分がその場に行けるというだけで
 飛び込んでまいましたが、少女が助かって本当に良かったです。
 本当に良かったですね。」
「実はそのご両親が、今、お見えになられているのですが
 どうしても、原田さんにお会いしたいと申されまして。」
「そうなんですか?でも私も今日は仕事なので時間が。」
「手間は取らせることはないのですが、どうしてもお会いしたいと言われてまして。
 昨日あなたのことを聞いた警官から書類を見せてもらったんですが
 夜の仕事なんですか?どういった・・・・・・。」
「隠すことでもないのですがバーテンダーをしておりまして
 銀座の`mask´に勤めているのですが開店までに
 いろいろとすることがありまして、今日はバタバタなんですよ。
 本当に人として当たり前のことをしただけですから、あまり・・・・。」
「でも、ご両親にしたら娘の命の恩人だ。気持ちはくんであげたらどうでしょう?
 とりあえず電話を替わりますが、よろしいですか?」
「えぇ、それは。」
「あの、おはようございます。
 昨日助けてもらった娘の父の小川と申します。本当にありがとうございます。
 娘は、今日これから迎えに行くのですが怪我も何もなく元気なんです。
 原田さんのおかげで娘は元気なんです。ありがとうございます。
 娘も、あなたにちゃんとあってお礼を言いたいと言っているのですが。」
「そんなにまで、あんな状況助けて当たり前のことですよ?
 たまたま、あたしなだけであって。
 でも、本当に良かったですね。海は怖い場所です。
 だけど、美しい場所です。怖い思い出だけを背負わずに
 これからを元気に精一杯楽しんでくださいと申し上げてください。」
「でも、我々はあなたにちゃんとあってお礼を言わないと
 親としても、助けられた娘も気がすみません。
 銀座の`mask´と言われましたね。開店にはお邪魔させていただきます。」
「そこまでされなくても(笑)でも、喜んでお待ちしております。」
「一番原田さんに会えると喜んでいるのは娘なんです。」
「でも、娘さんは未成年でしょ。」
「えぇ、だからお店には入れませんが
 会いたいと言っておりますので連れて行きます。」
「では、お待ちしておりますね。」
「では、永沢さんと変わります。」
「はい、また後程。」
「原田さん。そしてわが警察署からも感謝状が出る。
 それの日程もあとでご連絡を差し上げたいが。」
「いえ、感謝状だなんて。そういうことはいいですよ。
 言ったじゃないですか、人として当たり前だって。」
「一応その連絡もあったので、後日お伺いします。」
「しつこいですよ?(笑)でも、そこまで言われるのなら仕方ないです。
 またあとで連絡をお願いします。」
「では。」

そういって電話が切れた。その横でおじさんと叔母さんは聞き耳を立てて
にやにやと笑っていた。

「弓弦ちゃん。感謝状だって。」
「弓弦。お前一気に人気者だな。」
「伯父ぃも伯母ぁもおちょくらないでよ。」

そういって珍しく伯母ぁのつくる朝ごはんを食べて出勤の用意をし、
買い出しに行く弓弦だった。

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